4618−2 ボランティア市民団体の動き

NGOとは、英語でNon−Govermental−Organizationの略語。「非政府組織」と訳す。もともと国連が1945年政府とは別に政策決定の主体の一つとして位置付けたことに始まる。「様々な役務と人道的役割をこなし、市民の関心事を政府に提示し、政策を監視する」のが存在理由とされている。国連には、NGOの代表が公式に協議の場に出て、意見を交換する機関が作られている。難しい政治状況の中での難民支援、平和や軍縮などに政府では出来ない仕事をするのがNGOの役割として評価されている。



アフガン難民救援:日本のNGOが子どもたちの教育支援へ

 米英の空爆と20年以上の内戦の影響で、犯罪に巻き込まれたり、人権を侵害されているアフガニスタンの子どもたちを救おうと、NGO「シャンティ国際ボランティア会(SVA)」(旧曹洞宗国際ボランティア会、東京都新宿区)が来月、パキスタンの難民キャンプで心のケアや医療、教育支援など「アフガン難民子ども救援事業」を始める。空爆後、国内のNGOがアフガン難民の子どもを対象に、このような支援活動に取り組むのは初めてという。

 計画によると、パキスタン国内で難民キャンプの約半数(105カ所)が集中するペシャワルで、SVAの他、NGO「燈台(アフガン難民救援協力会)」(埼玉県北本市)と現地NGOが連携。戦火のトラウマを抱えた孤児やストリートチルドレンなど6〜10歳までの約60人を対象に、心身ケアのためのカウンセリングや栄養補給、衣類提供に取り組む。1年間の予定で、地元NGOに引き継ぐ。

 同会スタッフで阪神大震災直後、神戸市長田区で約2年間、ボランティアコーデイネーターを務めた市川斉さん(40)は今月初め、難民キャンプを視察した。内戦や空爆で親を亡くす子どもたちも多く、着の身着のままで泥水をすすりながら100キロ以上歩いて国境を越えている。子どもの中には、麻薬の購入費用や食糧配給券、姉の結婚費用などを確保するために、1人5000〜1万ルピー(1万〜2万円)で親に売られ、売春や手足を切られて物乞いを強いられるケースもあったという。

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 市川さんはこのほど、京都市中京区の平安女学院高で講演。「阪神大震災時の経験を生かし、アフガンの社会システムを尊重して、難民が自立できる有効な支援に取り組みたい」と語った。同校2年で生徒会副会長の中原広絵さん(17)は「1本のジュースを我慢して、アフガンの子どもたちに少しでも役立つことをしたい」と話し、生徒会で募金に取り組む。

 SVA(03・5360・1233)でも、募金を呼びかけている。 【中尾卓英、田倉直彦】

[毎日新聞11月27日] ( 2001-11-27-15:01