4612−2 | タンソ菌事件 |
炭疽菌:米国内の極右過激派の犯行か 捜査当局
【ワシントン斗ケ沢秀俊】米国の炭疽(たんそ)菌事件は、同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏のテロ組織「アルカイダ」とは関係ない米国内の極右過激派の犯行だとの見方が、米捜査当局の間で強まっている。27日付ワシントン・ポスト紙が政府高官の証言として報じた。米連邦捜査局(FBI)などが収集した情報は、いずれも外国のテロ組織との関連が薄いことを示し、炭疽菌の分析からも他国の政府や研究機関は関連していないとみられるという。
捜査はFBIのほか、米中央情報局(CIA)や米郵政監察局が担当している。
同紙によると、FBIやCIAは連日60〜80件の事件関連情報を入手している。情報はいずれもアルカイダや既知のテロ組織とは結びついていないと、複数の政府高官が証言した。
FBIなどは、イスラム原理主義過激派のテロ行為に共感を抱く米国内の極右グループを視野に入れて捜査している。これらのグループは「反政府」「反ユダヤ」の主張が特徴で、イスラム過激派と共通する面がある。同時テロ後、「ユダヤ人と戦うアルカイダへの支持」を表明したグループもあるという。
米政府はアルカイダがさらにテロ事件を起こす恐れがあるとみているが、政府高官は「だれも炭疽菌事件がそれだとは思っていない」と語ったと同紙は伝えている。
この記事は、ウォーターゲート事件報道で知られるウッドワード記者らが執筆したもの。
炭疽菌事件とアルカイダの関連について、ブッシュ大統領は「関連があることを前提にしなければならない」との見解を示していた。一方、アシュクロフト司法長官やモラーFBI長官は一貫して「テロ事件との関連を示す証拠は得られていない」と語っていた。
[毎日新聞10月27日] ( 2001-10-27-19:59 )
免疫学者失そう テロ目的誘拐の可能性
免疫学の権威で日本国際賞を受賞した米ハーバード大教授が今月中旬に失そう、米連邦捜査局(FBI)などは28日までに、バイオテロリストに誘拐された可能性もあるとして本格捜査に乗り出した。
行方が分からなくなっているのはドン・ワイリー教授(57)。顧問を務める病院の定例会合に出席するため訪れたテネシー州メンフィス郊外で、16日に消息を絶った。教授のレンタカーがミシシッピ川に架かる橋に乗り捨ててあったのが見つかり、捜査当局は同川周辺を捜索している。
FBIは誘拐を裏付ける証拠はないとしながらも、教授がエボラ出血熱などの研究で知られることから、「あらゆる可能性を排除しない」と誘拐も視野に入れて捜査網を敷いている。(ニューヨーク共同)
[毎日新聞11月30日
炭疽菌事件:「軍関係者の可能性が高い」と上院民主党院内総務
今年10月、ワシントンの事務所に炭疽(たんそ)菌入り郵便物を送り付けられたダシュル米上院民主党院内総務は8日、CNNテレビのインタビュー番組で、炭疽菌事件の犯人は軍関係者である可能性が高いと述べた。
ダシュル氏は犯人像について、軍関係の背景を持つ人物と考えるかとの問いに「その通りだ」と明言。「すべての可能性を考えたとき、現在、それが最も信じられる説だと思う」と述べた。
ダシュル氏は、軍関係者と考える根拠については具体的に明らかにしなかった。しかし、事件に巻き込まれた同氏は捜査当局とかかわりが深い。ダシュル氏の発言は捜査当局の見方を反映している可能性もあり、注目される。
一連の事件で検出された炭疽菌の種類がいずれも、米軍の研究施設で研究のため使用しているものと同じ「エームズ株」であることや、特殊な加工方法から、研究者や軍の関係者による犯行という見方があることは、これまでにも報道されている。(ワシントン共同)
[毎日新聞12月10日] ( 2001-12-10-11:50