4614−2 日本経済への影響

沖縄県の観光業、4分の3が売り上げ不振など訴え

 米国の同時多発テロ事件以降、米軍基地が集中する沖縄県の観光関連産業の約4分の3が売り上げ不振などの影響を訴えていることが、沖縄振興開発金融公庫の調査で分かった。同公庫は、観光業者向けの緊急融資制度を設けるなど対応に乗り出した。

 同公庫がテロ事件1カ月後の11日から2日間、ホテルやレストラン、土産物店、バス会社など観光関連の70社に電話で聞き取り調査を実施。66社から回答を得た。

 「テロ事件の影響があるか」の問いには、74%が「ある」と回答した。特に、ホテルや観光施設などのサービス業への影響度が高く「影響がある」は82%に上った。また「影響がある」とした企業のうち18%が、売り上げが30%以上も減る見込みと答えた。

 このため同公庫は今月上旬、観光関連中小企業向けの「緊急融資制度」を創設した。11〜18日だけで77件の問い合わせ・相談があった。

 県によると、テロ事件以降「基地があるが大丈夫か」などの問い合わせが相次ぎ、9日現在で修学旅行など団体旅行約650件7万7700人のキャンセルがあった。

 こうした状況に、県議会が15日「沖縄観光の安全宣言」をするなど、官民あげてPR活動を展開している。 【野沢俊司】

[毎日新聞10月23日]


東京で開催予定の「国際鉄道会議」が延期へ 

 世界23カ国の鉄道事業者や労働組合員らが参加して来月6日から、東京・池袋で行われる予定だった「国際鉄道安全会議」(主催・JR東日本など)が、米国の同時多発テロ事件の影響で延期された。会議は90年以来、鉄道事故防止のための各国の取り組みなどを発表し、鉄道の安全輸送に向けて取り組んできた。今回は海外からの約80人を含め、約350人が参加する予定だった。

[毎日新聞10月23日]


NEC、半導体事業部門の9000人を一時帰休
 NECは23日、半導体事業部門の9000人を対象に24日に一時帰休を実施することを明らかにした。11月、12月にも1日ずつ実施する。これまで製造子会社で一時帰休を実施しているが、本社社員にも拡大することで現在の半導体不況に対する危機意識を高める。本社社員の一時帰休はオイルショック後の1974年以来、27年ぶり。

 対象となるのは社内カンパニーのエレクトロンデバイス社の設計開発、営業要員。一時帰休時は給与の8割を支払う。同社は10月初旬にNECセミコンダクターズ九州の3工場などで一時帰休を実施したが市況回復の見通しが立たないことから、設計・営業部門まで対象を広げる。

 半導体業界では富士通が10月から11月にかけて国内主力三工場で一時帰休する方針を明らかにしている。


(10/12)株評価損ばらつく対応・9月中間、業績修正幅にも影響

 大手行の9月中間決算で、保有株式の評価損の計上の仕方にばらつきがでた。時価が簿価を50%以上下回った銘柄について一律、評価損として処理した銀行と、「株価回復の可能性がある」として評価損を一部計上しなかった銀行に分かれた。評価損を厳正に処理すればするほど減益幅は膨らむので、これが各行の業績見通しの修正幅にも影響を及ぼしている。

 評価損の計上額が最も大きいのは三菱東京フィナンシャル・グループで4170億円。下落率が50%以上の銘柄は一律に評価損を計上、30-50%の銘柄についても、債権回収に注意を要すると区分されている企業のものは処理した。大和銀行も厳しく処理し、3600億円あった株式含み損のうち3100億円相当を評価損として計上した。

 一方、三井住友銀行の評価損計上額は613億円と他行に比べ少ない。評価損を計上しなければならないほど時価が下落した銘柄が少ないためと説明する。また、同行やみずほフィナンシャルグループ、UFJグループなどは下落率が50%以上の銘柄でも、「株価回復の可能性」があると合理的に説明できると判断したものは評価損を計上していない。

 日本公認会計士協会が定めたルールでは、保有株式の時価が簿価を50%以上下回った場合でも「株価回復の可能性」を合理的に説明(反証)できれば、評価損を計上しなくてもすむ。しかし、この反証は株価が1年程度で簿価まで回復するのが条件。今後も株価低迷が続けば反証は難しくなる。株価回復にかけた思惑がはずれれば、見送り組は2002年3月通期決算で大きな減益要因を抱え込むことになる。(日経)


(10/23)米テロ被害の保険金300億円に・国内損保、見通し100億円拡大
  

 米同時テロによる被害で日本の損害保険会社が支払う保険金が、当初の見込みから100億円程度拡大し、約300億円に達する見通しになった。救助活動が進むにつれて被害が世界貿易センタービルにとどまらないことが次第に明らかになってきたためだ。

 日本損害保険協会の植村裕之会長(三井住友海上火災保険社長)は9月20日の定例記者会見で、国内損保の保険金負担は約200億円になるとの見通しを示していた。ところが現場周辺のビルも破損が想像以上にひどいことが救助活動の過程で分かってきた。破損の被害を直接受けていなくても立ち入り禁止になり営業ができなくなった企業に対し、休業中の逸失利益を補償する保険の支払いが膨らむ公算も大きくなっている。

 東京海上火災保険は当初の保険金支払見込み額30億円を、80億円に上方修正した。ニッセイ同和損害保険も5億円から14億円に改めた。このほか複数の損保が支払見込み額の上方修正を検討しており、業界全体では約100億円増える見通しになった。 


日本国債:1段階格下げし「Aa3」に 米大手格付け会社

 米大手格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは4日、日本国債の格付けを「Aa2」から「Aa3」に、1段階格下げしたと発表した。「Aa3」は上から4番目で、先進7カ国ではイタリアとともに最低の水準となる。格付けの中期的な見通しはネガティブで、さらに格下げされる可能性もある。先月28日には、スタンダード・アンド・プアーズも、日本の国債の格付けを上から3番目に一段階、格下げしている。【藤好陽太郎】

[毎日新聞12月4日] ( 2001-12-04-12:19


ムーディーズ、日本国債格下げ・先進国で最低水準に

 米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは4日午前、日本政府が発行、保証する国内債券の格付けを「Aa2」から「Aa3」に一段階引き下げると発表した。主要7カ国(G7)で、イタリアと並ぶが、格付けの見通しは引き続き「弱含み(ネガティブ)」としており、実質的には最低水準となる。

 Aa3は最上級の「Aaa」から三段下の水準で、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の「ダブルAマイナス」に相当する。S&Pは11月28日に日本政府が発行、保証する債券の長期格付けを「ダブルAプラス」から「ダブルA」に一段階引き下げている。今回のムーディーズの格付けはS&P社の格付けより一段階低い。

 ムーディーズは引き下げの理由について、景気低迷の長期化と政策対応の難しさから、財政面の制約が続くことを挙げた。世界経済が後退局面に入り、「日本の一般政府債務と債務返済の負担が増大し続ける」と指摘している。


経済財政白書:財政破たんで、国民生活かく乱と警告

 竹中平蔵経済財政担当相は4日午前の閣議に、01年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。今回の白書は戦後54回続いた「経済白書」から名称を変更。副題は「改革なくして成長なし」で、このままでは将来的に財政は破たんし、「国民生活は大変なかく乱を受ける」と警告している。また、「不良債権問題が経済を押し下げている」と述べ、経済再生に金融システムの抜本解決が不可欠と訴え、小泉改革の重要性を前面に押し出した。

 白書は旧経済企画庁の内閣府統合と経済財政諮問会議の発足に伴い衣替えした。諮問会議での議論を活発化させるため、従来の殻を破り財政や金融システム、金融政策にも立ち入って分析した。

 財政について、景気回復でも改善しない赤字構造になっており、「このままでは債務残高が増え続けて破たんし、超緊縮財政を取らなければならなくなる」と指摘。早期の国民の受益と負担の見直しを迫った。また、「公共投資を追加しても日本経済は難局から脱却できない」と従来型の積極財政を明確に否定した。

 金融システム問題では、銀行が不良債権処理の重荷で7年連続で実質赤字に陥り、金融の機能不全を招いているほか、不良債権が低成長分野に経営資源を停滞させていると分析。「この問題の抜本的解決が日本経済の難局打破に重要」と小泉内閣の最重要課題のひとつであることを強調した。ただ、銀行への公的資金注入の是非については触れなかった。

 このほか、デフレは経済全体にとって問題として、日銀に一段の量的緩和など政府と協調した行動の検討を求めた。経済の先行きについては、構造改革が実施された場合、潜在成長力は現状の1%が2、3年続いた後、2%程度に高まると予測。ただ、改革が実現しない場合は現在の水準で低迷するとの悲観シナリオを示した。 【白戸秀和】

[毎日新聞12月4日] ( 2001-12-04-10:12