4612-13 「タリバン兵のGuantanamo Bay(ガンタナモ監獄)での生体実験」批判

「グァンタナモの捕虜たち」考 れんだいこ 2003/10/29
 今年(2003年)ノーベル文学賞の受賞が決まった南アフリカ出身の作家、J・M・クッツェー氏が、2003.10.21日付毎日新聞文化欄「グァンタナモの捕虜たち」で次のような告発している。れんだいこがかなり意訳しているが次のような見解であった。

 「9.11同時多発テロ」後の米英軍によるアフガン報復戦争の際に捕らえられたタリバン兵約700名が、キューバ島にあるガンタナモ米軍基地内の収容所に拘束されている。この捕虜は劣悪な環境に置かれており、戦争捕虜への人道的待遇を決めたジュネーブ条約による戦争捕虜収容所の待遇を受けていない。そればかりか米国内の刑務所的取り扱い基準からも見放されている。法的な助言も面会も許されない。容疑も示されず、拘束期限も未定だ。米国市民には収容所内の様子を知る権利が与えられていない。

 いわば、タリバン兵捕虜は「法の外」に置かれており、法が及ばなくされている。国外での監禁だからという理由で、米国司法の権限も及ばない。ガンタナモ収容所が法規制の抜け穴として作られていることが判明する。このような行為を指図したブッシュ政府は早晩歴史法廷で裁かれることになるだろう。

 第二次世界大戦の際に日系人を収容したことを想起せよ。1988年になってレーガン大統領が謝罪し、一人2万ドルの補償を認める法律に署名したが、それは決して抑止効果を持つものではなかったことが分かる。米国という国は、ほん何でもない日常では「法と民主主義の正義」も説教してくれるが、いざとなると平気でそれらをかなぐり捨てて恥じない。つまり、「法と民主主義の正義」が美名仮面であることを証左している。米国にかって「平和と民主主義」の時代があったのかなかったのかの詮索は別にして、ブッシュ以来「狂気国」への道をひたすらに突き進みつつあることは疑いない。

 ガンタナモ収容所内でタリバン兵捕虜がどのような扱いを受けているのか誰も知らされていない。既に捕虜達は2年余にわたって外界から途絶されている。肉体的精神的虐待、生体実験が為されている可能性がある。「正義と人道に背く違法」が今現に為されていることは疑いない。世界の良識ある人達がこれを告発し続けないのは変調である。日本は、かって同様の制裁を受けた当事国でもある。ブッシュに抗議し得る政府として歴史的正当権を有しているというべきだろう。

 以下、れんだいこの単独の見解。小泉-川口ラインにこれを期待するのは、海へ山菜を採りに、山へタコを釣りに行くようなものだろう。「政権交代」を目指す民主党ならこれをよく為しえるだろうか。社民党、共産党なら為しえるだろうか。あぁどこの党もそういう姿勢からは千里ほど遠いことが分かる。

 真紀子新党ならあり得るか。かも知れないなぁ。云うべきことは云って日米同盟の絆を深める戦略がいるからね。しかし、ブッシュの代では無理だろうな。又、アーミテージ国務副長官にいらまかされ、それを支援するマスコミにより袋叩きにされるのが落ちだろう。

 しかし、中曽根が大恥じかかされた上で引退を余儀なくされたのは象徴的だ。80年代からの全く不毛な「日本列島解体計画」と決別するいい機会がやってきているように思う。この間のし上がってきた無能体面士の一族郎党を引き摺り下ろし、有能仕事師に再度国政を預けるチャンスだろう。

 上が変われば下も変わる。逆もいえるが、上を替える時には替えるようにせねばなるまいて。のべつくまなく「五十年一日の、半身構えの、腰のひけた、逃げ逃げ鉄砲撃つような、正義論」聞かされて肯くのはもうよしこにしたい。

 2003.10.29日 れんだいこ拝

米最高裁判断

 2003.11.14日付け赤旗「グアンタナモ海軍基地収容所 アフガン拘束者の処遇 内外の批判強まり 米最高裁が判断示す方針」を転載する。

 「大統領権と司法権との衝突へ」(ニューヨーク・タイムズ紙十一日付)。米最高裁が十日に明らかにした判断が注目を集めています。ブッシュ政権が推進する反テロ戦争の無法ぶりには、米国の裁判所さえ、目をつぶっていられなくなりそうだからです。問題になっているのは、キューバにある米グアンタナモ海軍基地に収容されている約七百人の扱いです。多くは、アフガニスタンで拘束され、移送されたアルカイダ関係の容疑者や元タリバン兵です。

 米最高裁は十日、米裁判所がこれらの人々の裁判を管轄するかどうかについて、原告らの訴えを聞き、その見解を示すとの方針を明らかにしたのです。訴えには、同基地に収容されている英国人二人、オーストラリア人二人、クウェート人十二人がかかわっています。

 拘束者たちの現在の立場は、「囚人」でも「捕虜」でもありません。「囚人」なら裁判を受けることになりますが、米政府は、外国で拘束・連行した外国人であるとして米国での裁判を認めず、弁護士もつけていません。「捕虜」なら、捕虜の扱いに関するジュネーブ条約の適用を受けますが、米政府は、条約の適用を拒否しています。

 米政府が「テロリスト」と名づけただけで、あらゆる法の保護の枠外におかれた収容者。何のために、どれだけの期間、拘束されるのかは、米政府の一方的な判断によるだけ。いずれ軍法会議にかけることになるとの見方があるものの、当面は何も決まっていません。

 いつまでとも知れない、動物園のようなおりの中での生活と尋問。精神的拷問といえる毎日に、障害をきたしたり、自殺をはかる人が出ていると伝えられます。国内人権団体や国際機関からの批判にもかかわらず、米政府は国際団体などの視察もほとんど認めず、実態は隠されたままです。

 拘束された人々の中には、反テロ戦争での同盟国である英国やオーストラリアの国籍を持つ人々もいます。米政権の対応には、各国から批判が上がっています。

 「法の支配」要求

 訴訟を起こした憲法的権利センター(ニューヨーク)の弁護士たちは、収容者の状況を「法的ブラックホール」と呼び、最高裁決定を歓迎しながら、「裁判所は米国が法の支配を受け入れるのか、それとも拒否するのかを決めることになる」としています。同センターのラトナー会長は、「民主主義のもっとも基本的な原理が危機にさらされている。まさに憲法にかかわる問題だ」と指摘しています。(ワシントンで浜谷浩司)


【グアンタナモ当局が被拘束者と取引(http://www.asharqalawsat.com/ )】

 サウジアラビア資本の(ロンドン発行)同紙は、次のように報じた。キューバのグアンタナモ基地の被拘束者たちの弁護士は、「同基地の取り調べ当局者たちと、罪を軽減する見返りに、被拘束者たちがアルカイダ或いはタリバンに所属していることを認めるという合意到達に関して、交渉をしている」と語った。

 情報筋によると、アメリカの高官たちは、英国人(二人)とオーストラリア人(一人)の被拘束者たちとのこのような合意することにより、裁判所前で彼ら3人が後悔している旨の発表する結果になることを望む」と述べた。
-以下略-

 【投稿者注】 要するに、基地の当局者が非拘束者3人の弁護士たちに次のような取引を持ちかけたもの。彼らを皆の前で(マスコミでも呼ぶのか)「我々はアルカイダかタリバンに所属していた。そのことを後悔している」という声明をしてもらえないか。そうすれば罪を減じてやるんだがなあ。


 2006.6.29日、米連邦最高裁が、ブッシュ政権が米中枢同時テロ後にキューバのグアンタナモ米軍基地に設置した特別軍事法廷でテロ容疑者を裁くことの正当性を認めず、米国内法と戦争捕虜の取り扱いを定めたジュネーブ条約に照らし合わせ、「違法」との判決を言い渡した。

 通常の司法手続きを経ない同法廷の違法性を主張した国際テロ組織アルカイダのメンバーの主張を認め、下級審の判決を覆す内容。政権には逆転敗訴で、「対テロ戦」を優先課題と位置付け、テロ容疑者に対し超法規的な措置を取り続けたブッシュ政権には大打撃となる重要判決だ。

 同法廷の違法性が明確に指摘されたことで、欧州連合(EU)諸国から閉鎖要求が高まるグアンタナモ基地のテロ容疑者収容施設をめぐり、ブッシュ大統領は施設閉鎖も含め、大きな政治判断を迫られることになりそうだ。

 「米 : グアンタナモ:収容状況がますます悪化 」を転載しておく。
 アムネスティの最新の報告書によると、グアンタナモ基地内の新しい収容施設は、極度の隔離と感覚遮断という、さらに過酷な環境を生み出している。

 2006年12月に開設した第6収容場の状況は、「残虐で非人道的」と言われている。被収容者は1日のうち22時間、鉄壁で囲まれて自然光が入らない、他人との接触を最小限に抑えられた独房で監禁される。運動もできず、24時間照明をつけられたまま、看守によって常に監視されている。

 国防総省によると、165人の被収容者が、開設から1か月の間に第6収容場に移送された。その多くはこれまで第4収容場に収容されており、兵舎に共同で生活しており、レクリエーション活動が認められていた。第4収容場には、2006年5月には180人が収容されていたが、現在は35人しかいないと伝えられている。

 米当局が第6収容場を「最先端の施設」で被収容者にとって「より快適」と説明しているにも関わらず、施設の環境は、米国内の「最厳戒」刑務所の最高厳戒レベルより苛酷に思われる。多くの被収容者の精神や身体に深刻な影響が出るのではないかという懸念が高まっている。

 さらに100人の被収容者が第5収容場の独房に、エコー収容場に約20人が収容されている可能性がある。エコー収容場以外の環境は、「極度に苛酷」であると言われている。全体的に見て、被収容者の80パーセントは隔離拘禁されていると考えられる。

 アムネスティは、グアンタナモの収容施設は閉鎖され、被収容者は公正な裁判にかけられるか、そうでなければ釈放するよう訴えている。その間にも、米政府は収容施設の環境の改善のために迅速な対策を講じるべきである。

 グアンタナモについてもっと詳しく:http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=757

 最新のグアンタナモに関する報告書(英)は、USA: Cruel and inhuman – Conditions of isolation for detainees in Guantánamo Bay http://web.amnesty.org/library/Index/ENGAMR510512007

 AI Index: AMR51/063/2007 2007年4月5日

【収容者の告発証言】
 「アムネスティ情報」、「アムネスティ情報」その他を参照する。

 国際的な人権侵害監視告発機関としてアムネスティ・インターナショナルがあり、過去それなりの告発をしてきたことで知られている。そのアムネスティが遅まきながら、キューバのグアンタナモ米軍基地に最初の被収容者が移送されてから4年が経過した2006.1.16日、グアンタナモ問題告発に向かい、米国が運営する拘禁施設内での被収容者に対する拷問や虐待に関する新たな証言と、その他の被収容者に関する詳細について発表した。

 報告書には、グアンタナモに初めて移送された、バーレーン国籍で32歳のジュマ・アルドサリ氏の証言が含まれている。アルドサリ氏は、アフガニスタンのカンダハル空軍基地に駐留する米軍によって拘束され、2002.1月、グアンタナモ基地に移送された。ジュマ・アルドサリ氏は次のように証言している。
 「グアンタナモでは、約500人の男性が、どのような生き物であれ強要されるべきではないような、徹底的に侮蔑された取り扱いを受けた。自分の運命がどうなるのかまったくわからない状況で数年が経過した後、無期限にグアンタナモの拘禁施設に収容されるよりも自ら死を選ぼうと考える被収容者がいることは、当然の結果とも言える」。

 アムネスティはまた、バグラムとカンダハルの施設に収容された後の2002年6月にグアンタナモに移送されたアルジャゼラ氏とジャーナリストのサミ・アルハジ氏の件、またイエメンの実業家で、グアンタナモに移送される前に秘密収容所に収容されていたアブドゥルサラム・アルヘラ氏のケースについても、さらなる詳細を発表した。

 アムネスティは次のように訴えている。

 本日、38カ国以上にいる数千人のアムネスティの会員が、ブッシュ米大統領とライス国務長官に署名を送り、すべてのグアンタナモの被収容者に対して公正な裁判の機会を与え、施設内における拷問・虐待に関する報告の調査を実施するよう訴える。

 「グアンタナモ問題に妥協の余地はない。拘禁施設を閉鎖し、2002年から続いている拷問に対する調査を早急に進めなければならない」。





(私論.私見)