4612−4 | アフガン復興に向けて |
アフガン復興会議:カルザイ議長が羽田に到着
アフガニスタン復興支援国際会議に参加するアフガン暫定行政機構のカルザイ議長(首相)が20日、中華航空機で羽田空港に到着した。「会議に非常に期待している。十分な成果を国に持ち帰りたい」と語り、重点分野として教育や女性への支援、社会保障の充実などをあげた。
首相はまず「日本に来ることができてとてもうれしい。日本はアフガンと古い歴史的関係があり、援助し続けてくれた」と感謝し「日本は最大の援助国になってくれると思う」と話した。さらに、会議では「アフガンがどれほど苦しんでいるかを参加国に説明し、国の基礎を作るのに十分な支援が得られるかどうかを確かめたい」と述べた。
「ベストドレッサー」と評される首相は、黒のコートに身を包み、手を振って報道陣の前に現れた。予定外のインタビューにも気軽に答え、最後は日本語で「ありがとうございます」と話した。 【斎藤義彦】
[毎日新聞1月20日] ( 2002-01-20-19:15
アフガン復興会議:会場周辺の警戒強化 警視庁
21、22の両日開かれるアフガニスタン復興支援国際会議で、警視庁は、閣僚級の国際会議としては過去最多の1日最大約3000人の警察官を動員し、会場周辺や関係国の大使館の警戒を強化する。報道機関の取材器材をエックス線で検査したり、会場の半径1キロの範囲はヘリなどの飛行自粛を国土交通省などに要請している。
20日には、会場となる港区のホテルで特別検索を実施。私服の警察官約150人が金属探知機や棒の先に小型カメラのついた器材を使い、会議場や植え込みなどをくまなく調べた。新宿中央公園で消火器を使ったとみられる爆発事件が起きたため、消火器なども念入りに見て回った。
[毎日新聞1月20日] ( 2002-01-20-19:05
アフガン復興:国家警察組織の創設方針 米政府が独などと協力
米政府はアフガニスタン復興のカギとなる同国の治安維持について、ドイツ政府とともにアフガン暫定政権と協力し、早ければ3月下旬までに国家警察組織の創設を図る方針を決めた。東京都内で開かれている「アフガニスタン復興支援国際会議」に出席している米政府高官が22日、明らかにした。
米政府は、人員・資金支援両面でアフガン国軍の早期の本格的な創設にも積極的に貢献する方針で、今回の復興会議で決まった国際的援助の枠組みを有効に機能させるため、治安維持の確保に全力をあげる構えだ。
アフガンの治安維持については現在、英国軍を中心とする多国籍部隊である「国際治安支援部隊」が任務にあたっているが、ブラヒミ国連事務総長特別代表は復興会議前の毎日新聞などとのインタビューで「多国籍部隊は早期に任務をアフガンの警察組織に移行すべきだ」との考えを示していた。
一方、米政府は復興援助に伴い、ケシなど麻薬栽培・取り引きの撲滅を掲げており、そのためには、早期の本格的なアフガン国家警察組織の創設が不可欠となっている。
[毎日新聞1月22日] ( 2002-01-22-11:40
アフガン復興会議:ロシアが2000万ドル以上の援助提供へ
東京都内のホテルで開かれているアフガニスタン復興国際支援会議に出席しているロシア代表団は22日、3月までに2000万ドル以上の援助を提供する方針を明らかにした。その後の長期支援は、基本的に技術者の派遣など人的支援を行い、資金援助は今後検討するという。
ロシアは、1979年にアフガンに侵攻した歴史的背景もあり、これまで具体的な支援額を明らかにしていなかった。
[毎日新聞1月22日] ( 2002-01-22-11:16
アフガン復興会議:NGO代表が一部討論に出席
アフガニスタン復興に関する政府主催の「NGO(非政府組織)会議」(20日)への参加を外務省から拒否された日本のNGOなど2団体で代表などを務める大西健丞(けんすけ)氏が22日、アフガン復興支援国際会議の一部討論に出席した。
同日午前、会場のホテルに現れた大西氏は、首から下げたNGOの登録カードを示しながら「このカードは、僕のいい記念になるかもしれません。なかなか手に入らなかったカードなので」と素直に喜びを表した。
報道陣から「よかったですね」と声をかけられると「これからアフガンの人のために頑張らなければならないので、こんなことで喜んでいられない。本当にちゃんとした仕事を始めたいと思う。サッカーでいえばあと5分か10分しか残っていないけれど頑張ります」と決意を新たにしていた。
【早田利信】
[毎日新聞1月22日] ( 2002-01-22-12:30
アフガン復興会議:カルザイ首相が田中外相に「会議は成功」
アフガニスタンのカルザイ暫定行政機構議長(首相)は22日、田中真紀子外相と会談し、「大変うまく運営されている。大変な成功だと思っている」と復興会議に満足の意を表明した。また、外相が「今後はアフガンの内部和解を進めて欲しい」と要請。カルザイ首相は「それは自分たちも気にしている。アフガンの平和を望む声は大きい」と述べ、和解に努力する姿勢を示した。
カルザイ首相は「支援は適切な目的に使われると思う。日本は復興の責任の所在、透明性の確保に関わってくれると思っている」と語った。
[毎日新聞1月22日] ( 2002-01-22-12:23
アフガン復興会議:総括文書まとめ閉幕へ
アフガニスタン復興支援国際会議は2日目の22日も東京都内のホテルで討論を行い、2日間の協議内容を踏まえた総括文書をまとめ、午後に閉幕する。その後、緒方貞子・アフガニスタン支援政府代表ら共同議長が記者会見し、総括文書を公表するとともに、復興に向けての国際社会の支援をアピールする。
初日の会合では、参加国数の約半数にあたる30カ国が具体的な支援拠出額を表明した。拠出期間に幅があり単純に集計はできないが、最初の1年で総額20億ドル弱、暫定政権期間である2年半までで30億ドルを超え、5年間では四十数億ドルになる見通しだ。復興会議に出席したカルザイ・暫定行政機構議長(首相)は来年度について18億ドルから20億ドルが必要としており、日本政府は「当面の資金要請には応える会合になった」(外務省幹部)と分析している。
総括文書は、支援国、国際機関が復興支援の進展や資金の利用状況を調整するための機関をカブールに設置することや、世界銀行に「アフガン復興信託基金」を設置することを正式に打ち出す。また、復興にあたり官僚機構の確立や教育、地雷除去、女性の地位向上の重要性なども強調する。
国際会議に先立ち開かれた「NGO(非政府組織)会議」への参加を外務省から拒否された、日本のNGO「ピース・ウインズ・ジャパン」など2団体は、22日の会合の一部に、オブザーバーとして出席する。
[毎日新聞1月22日] ( 2002-01-22-10:37
アフガン復興会議:「25億ドル超」30カ国が拠出金額表明
アフガニスタン復興支援国際会議は21日午後、東京・港区の新高輪プリンスホテルで、各国や機関が支援内容を報告する一般討論を行い、初日の会合を終えた。最終的に参加61カ国の約半数にあたる30カ国が具体的な拠出金額を表明した。日本、米国、欧州連合(EU)に加え、世界銀行やアジア開発銀行がそれぞれ今後2年半で5億ドルの支援を明らかにし、暫定政権期間である2年半後までの拠出表明総額は、世界銀行などの融資を含めて25億ドルを超えた。
一般討論ではイランが5年間で5億6000万ドル、パキスタンが5年間で1億ドル、また、インドも1億ドルの支援を表明した。いずれもアフガニスタンの周辺国であり、和平プロセス、復興後の主導権確保をにらんだ資金拠出表明となった。
会議の共同議長が表明した支援は、(1)日本=今後1年間で2億5000万ドル、2年半で5億ドル。(2)米国=今年度2億9675万ドル(3)EU=今年度5億ドル(4)サウジアラビア=3年間で2億2000万ドル。さらに、世銀が今後2年半で5億ドルの無利子融資と5000万〜7000万ドルの緊急支援、アジア開発銀行が今後2年半で5億ドルの長期低利融資を発表、主要国と機関の拠出表明が出そろった。
全体の復興支援需要は、世界銀行などが1年間で17億ドル、2年半で49億ドルと試算している。
[毎日新聞1月22日] ( 2002-01-22-00:44
小泉首相:「たくましく立ち上がって」カルザイ首相を激励
小泉純一郎首相は21日、アフガニスタン暫定行政機構のカルザイ議長(首相)、アナン国連事務総長らと首相官邸で相次いで会談した。小泉首相はカルザイ首相に対し「最初の指導者として困難も多いと思うが、たくましく立ち上がってほしい」と激励するとともに、「貧困撲滅のためには教育が一番重要だ」と訴えた。カルザイ首相は日本が表明した5億ドルの資金拠出に「アフガン人の士気を高めてくれる」と感謝したうえで、道路建設や水力発電、通信分野などでの日本の支援を要請した。
カルザイ首相は支援策については「数分野に特化してほしい」と述べ、道路建設などとともに歴史的遺物や仏教遺跡の保存、博物館の建設、情報通信施設の整備などを挙げた。また「教育の重要性は理解している。3月から大学を再開したい」と語った。
アナン事務総長との会談では、小泉首相は日本の政府開発援助(ODA)について「日本が国力にふさわしい国際社会での役割を果たすためには、今は国内の改革が重要だ」と述べ、削減に理解を求めた。アフガン復興については「長く続けられる援助、止むことのないテロ撲滅への意欲が重要だ」と指摘した。
[毎日新聞1月21日] ( 2002-01-21-21:51
田中外相、NGOのアフガン復興会議出席を強く指示
田中真紀子外相は22日の閣議後の記者会見で、アフガニスタン復興支援国際会議への出席を拒否されていた一部の非政府組織(NGO)が同日の会合にオブザーバー参加することを正式に発表した。
外相によると、野上義二外務次官は「政治家の関与などいろいろあって、簡単じゃない」と難色を示したが、外相が「職を賭してそういうことを勝手にやるのか。2日目にはオブザーバーとして必ず来ていただきなさい」とNGOの参加を強く指示したという。
カブールに支援調整機関・アフガン復興会議
アフガニスタン復興支援国際会議は22日、共同議長の緒方貞子首相特別代表が2日間の協議を総括して閉幕する。議長総括は各国が表明した支援内容の調整にあたる実施機関を首都カブールに設置し、国際社会による人道支援から復旧、復興まで切れ目のない支援を打ち出す。
参加国・地域、国際機関の支援総額も明記する見通し。最初の1年間で20億ドル程度を確保しており、世銀などが試算した同期間の復興需要額やカルザイ議長が前日の演説で要請した初年度18億―20億ドルを上回る。各国が表明した拠出額は1年から5年まで分かれるが、単純に積み上げると今後2年半分で30億ドル強、5年分で40億ドル近くに上るとみられる。議長総括はテロや麻薬の撲滅とともに、新憲法制定や総選挙を経て今後2年半以内に正式な政権を発足させるとしたボン会議での合意以降の和平プロセスの着実な実行を求める。そのうえでアフガンの自立を促すための復興支援策として難民帰還や教育、医療保健、道路、電気、通信などの社会資本整備、通貨システムの再構築などを明記する見通し。