補足 ブントが目指し潰えた過程考

 (取り敢えず資料だけ)

 (以下は、裏共産主義者同盟ブント資料館より「現代・過渡期世界と世界革命の展望」)

 当時誕生した日本赤軍の流れから、全共闘運動を逆照射させてみたい。と思って取り組んでみたが、「現代・過渡期世界と世界革命の展望」【戦旗第141・2号(戦旗社 1968年8月5日) から】の読み取りがこれほど難しいとは思わなかった。掴みきれ無いのは、私の能力の至らなさをさることながら、語り部が必要以上に難解にしていることにもよるだろうと思われる。只今苦闘解析中。
 この頃のブント系諸派の理論的課題は次のような認識によっていたようである。一言でいえば、レーニン的「帝国主義論」では把握しきれない第二次世界大戦後の「新帝国主義論」を創造することであった。

 その為には、次のことをまず解析し認識を一致させる必要があった。
戦後ヤルタ体制秩序による現代帝国主義国家の形成の特質と、その後の法則的不均等発展と、それらに規定される国家間関係の矛盾の解析。
中ソスターリン主義の特質の解析。
現代的国際反帝統一戦線の課題と位置付け。
世界プロレタリア統一戦線結成の意義と任務。
過渡期世界革命論の創造。
プロレタリア国際主義のもと全世界人民の実力武装闘争。
世界赤軍・世界党建設、世界同時革命へ!。世界赤軍にプロレタリア本隊を各国で組織し、自ら自身を世界革命の前衛として、単一の世界党へと組織していく。
自国帝国主義打倒=革命的敗北主義とプロレタリア国際主義の現代的革命論的再構成。

 かかる位置付けを為しえないところから、中ソ両大国からするプロレタリア国際主義の歪曲の体系がはびこっており、このことが先進国共産主義運動を分裂―解体させずにはおかない。中ソスターリン主義の理論の特徴は、中ソ対立下にあるとはいえ、主体抜きの帝国主義の全般的危機→資本主義の自動崩壊論に支えられており、国際階級動向を過渡期世界の階級闘争として設定できないため、共に戦略戦術を「米帝一元支配」に対して一国社会主義を防衛する体制間矛盾論から立てていることに共通項がある。ソ連派のプロレタリア国際主義は【平和共存世界戦略】に象徴されるが、後進国に民族自決統一戦線、先進国に人民戦線戦略・戦術を指針させている。これは、米帝反革命に屈服した結果現象にすぎない。中共派のプロレタリア国際主義は【周辺二段階革命―反米中間地帯化戦略】に象徴され、後進国に武装民族解放戦争、先進国に左翼人民戦線戦略・戦術を指針させている。しかし、ソ連よりも「左」こ見える中国の毛沢東派も、先進国の共産主義者が遭遇している先進国相互のプロレタリア国際主義の現在的摘用という視点を全く欠落させており、独帝、日帝の侵略、反革命活動を捨象し、闘争を反米民族主義に歪曲せずにはおかない。

 【戦後の米帝国主義と軍事同盟】
 現代革命の基本問題は次のことにある。 戦後、米帝は「全面的な君臨国家=国際憲兵」としてたち現れることになった。それは、第二次帝国主義戦争による独、日、伊帝への再分割戦の勝利を基礎にした圧倒的経済力、軍事力、政治力であった。ここに現代革命における米帝の分析の特殊必要性と云う特質がある。米帝国主義は、戦後帝国主義世界の盟主としてあっただけではなく、「過渡期世界の盟主」ともなった。西欧・日本帝国主義に対する圧倒的経済的、政治的優位において制圧し、全世界各国に侵略、反革命軍事網を張りめぐらし、核を独占した。米帝国主義は対他帝国主義、対労働者国家と世界プロレタリアートへの反革命をその経済政治、軍事力によって統一し、現代帝国主義国家の危機を突破し、逆に労働者国家群をも含め自己の利益を貫徹する世界的秩序(=ヤルタ体制)に再編した。

 【帝国主義の二律背反的な抗争と依存】
 だがかかる米帝国主義国家の存立の基礎は一方での西欧帝国主義、日帝の再分割の挑戦に60年代に於て全面的に迫られ、他方西独帝、日帝にはNATO―安保の再編と核保有(すでに仏帝は核武装)を要求され、後進国に於てはヴェトナムを頂点とする人民の反撃の前に後退を余儀なくされた。50年代から60年代後半において、米帝国主義以外の先進帝国主義国家、あるいは後進ブルジョワ国家は、米帝国主義の軍事力を利用することによって、一応の平和的形態で内のプロレタリアートを支配したが、米帝国主義との相対的劣位な同盟の下に制圧され、かつ国家の支配の論理を不純なものにしたが故に、小ブル、農民、都市中間層、学生、 市民主義、民族主義からの反抗を受けざるを得ず、常に政治的不安定を露呈せざるを得なかった。

 かくして、米帝国主義の侵略と反革命の統一し得る経済的政治的軍事的基盤は失なわれた。戦後ヤルタ「体制」は最終的にそれが、安保、NATOの日帝、西独帝によって再編される地点で、米帝を世界の盟主の地位から引きずり落さずにはおかない。不均等発展の深化と攻撃型階級闘争の進展は、米帝をして侵略と反革命を統一し得る根拠を消失せしめ米帝国主義国家を死の苦悶に追い込んだ。だが、それは米帝国主義だけの危機だろうか。

 以上のことは米帝国主義のみでも、西独・日帝のみでも、単独では現代過渡期世界をブルジョア的に維持し得る方向をもちえず、即ち侵略と反革命を統一し得ず、安保・NATOを強化しつつその内部でのにない手をめぐっての争いとして激化し、帝国主義はその侵略と反革命の不統一性を、国際関係に妥協相互依存と抗争の二律背反的質をもって体現させるのである。仏帝国主義は 米帝国主義の後退に挑戦し、西欧帝国主義の盟主として登場せんとしたが、自己の経済的政治的軍事的力量故に、他帝国主義に対する一定の制圧力を持ち得たが、労働者国家と攻撃型階級闘争に対する妥協は、帝国主義国家の根本的危機を回避したブルジョワ的な意味で過渡的でしかなく、独帝との抗争、米帝の巻き返した破れることと結合し内部崩壊を五月革命として露呈し、地 的、没落帝国主義特有の永続的危機、死の苦悶を開始した。

 【危機と攻撃的階級闘争】
 新興帝国主義西独帝、日帝は 米帝にとって替って、かっての米帝の如く侵略と反革命を統一せんと志向している。だが彼らは米帝国主義を苦境に追い込め得ても他帝国主義に圧倒的優位を確保し、同時に帝国主義の腐朽と不均等発展から自然発生的攻撃型階級闘争を反革命―制圧する 能力を現在の時点においては持ち得ていないし、また、国内の労働者人民の戦闘組織と議会民主主義制度を解体するファシズム形態も今は持ち得ていない。新興帝国主義国西独は、その新興性故に対外膨脹からの他帝国主義への対抗・攻撃型階級闘争への 反革命を統一することを、極度に要請されつつ、国内矛盾を外化し、逆にその結果としての対外矛盾を激化させ、それを再び国内矛盾として累績せしめ、政治的矛盾を深めている。

 【ファシズムかプロレタリア独裁か】
 以上のNATO―安保を軸とする過渡期世界の全体の動向の中心点は、以下のことがらである。  第一に帝国主義が死の苦悶を開始し、現代帝国主義国家固有の危機の拡大と侵略反革命の増大を、帝国主義個々の侵略反革命 を統一し得ないところの弱さの反映としての相互反撥・依存の二律背反的国家間関係の強化を通じて実現することによってます ます危機を増大させる内部構造を形成することによって政治的帝国主義の破局の歴史的一時代を迎えたのである。安保・NATOを 軸とする反革命侵略同盟は、帝国主義世界防衛の最後の帝国主義=日・独・米帝国主義にとって世界各国プロレタリアートと自 国のプロレタリアートに対して、侵略・反革命・抑圧の最後の同盟であり、侵略と反革命をファシズム以外の形態で統一せんと する、或いはファシズム以外のに連続させんとする最後の死活をかけた最終的反撃の性格故に、安保・NATO〈改訂〉維持強化せ んとする日・独・米帝国主義の攻撃は自国労働者・世界プロレタリアート労働者国家へも拡がり反革命に転化する質をもつものである。

 後進国に於てベトナム解放民族戦線が反革命軍に対し戦闘のヘゲモニーを握り、初期の侵略、反革命戦争の様相を革命戦争に 転化させたが、安保・NATOの攻防戦を通じてプロレタリアートとブルジョアジーの力関係を逆転させ、即ち七〇年前後を境に世界階級闘争は全世界各国で革命と反革命の激突に発展する。  

 【スターリン主義の破産】
 他方スターリン主義によって労働者国家群はヤルタ「体制」に組み込まれ、帝国主義に屈服し、スターリン主義とスターリニスト・レジュームを定着されるかにみえたが、帝国主義の膨脹と弱さの反映としての反革命同盟の強化の過程で、スターリン主義の破産を労働者国家内部の階級闘争の発現に対して、反革命的対応と、後進国→国民的統一戦線から民主的民族国家の建設、 先進国→人民戦線の路線の反動性として表現した。

 労働者国家内部の階級闘争は、かかるスターリン主義とその対極としてのブ ルジョア民族主義・帝国主義のゆ着派を抬頭させ、かつ真に革命的な攻撃型階級闘争と結合し、世界革命→世界社会主義に於て 、自己の経済的危機を合せて結合せんとするプロレタリア独裁・世界革命派の萠芽を生み落した。これらの動向は今やベトナム を接点とする段階から、東西独問題、38度線、台湾の緊張等々を媒介に安保―NATO同盟と激突し、世界階級闘争は結合されざる を得ない。

 スターリン主義は、自己の歴史的優勢の力としての労働者国家をプロレタリア独裁を形態としての世界革命根拠地国家たることから疎外された。スターリン主義の発生基盤は帝国主義の包囲の中での経済建設の困難性、主体的には、その克服の方向を攻撃型世界革命戦略を解明し、その下にプロレタリア独裁擬制的労賃制を結合させ得ず一国社会主義―二段階戦略、プロレタリア独裁の放棄、 出来高払い制の導入として攻撃的自然発生性に拝跪し、ついにはマルクス・レーニン主義を放棄した。

 中共はいち早く反米後進国階級闘争の激化からその周辺二段階革命―反米中間地帯化戦略の破産を迫られ、国内階級矛盾をソ連と結合し、帝国主義との軍事的均衡を基礎にして平和共存(裏返しの冷戦)―国内一国社会主義建設の路線をとる方向で解決するか、或いは世界階級闘争と結合し世界革命根拠地国家としてプロ独により解決する方向をとるかを問われた。だが、毛沢東派は従来の世界戦略を後進国に於て経験主義的に修正しつつも先進国革命を機軸にした世界単一の同時革命戦略確定に到らず、周辺―中間地帯化革命戦略を固執することによってベトナム政策、国内政策を反動的なものにしつつあり、安保―NATO闘争の巨大な意義を見失っている。

 【革命戦争、世界同時革命、全世界永続戦争へ】
 こうしたスターリン主義の歪曲に拘らず、革命戦争、世界同時革命、全世界永続戦争へと発展する過程を迎えつつある。今こそ世界のプロレタリアートは世界党の指導の下、世界プロレタリア統一戦線の一環として、正規軍を赤軍として組織し、帝国主義の普遍的危機を見通し、自ら政治過程を革命戦争として創出し、世界同時革命を実現し得る。まさにプロレタリア革命の型は、過程に向けプロレタリアートの国際的革命戦線への一環として正規軍を組織し鍛え抜き 、警察権力を陵駕する力量を保持し、帝国主義軍隊内部に不断に動揺から革命軍と反革命軍に分解せしめなければならぬ。公然たる革命戦争を不断に組織し抜き持続し得る党―赤軍―プロレタリア統一戦線(=ソヴェト)の系列が準備され、これを基礎に 中央権力闘争とそれへの陣地戦の統合が運動論的に整理されねばならぬ。

 かかる戦略―戦術の設定の質はいうまでもなく、革命の条件の形成の仕方、根本的には帝国主義国家の現代的危機に起因することはいうまでもない。だが、スターリン主義は、かかる攻勢の戦略―戦術を国際プロレタリアートの攻撃性を物化し、疎外し、 外化させ、帝国主義に和解せしめ、同時に自己を世界革命根拠地国家から疎外された労働者国家へと物化せしめたのであった。

 【国際主義の現在的内容】
 今回の国際反戦会議においてわれわれが獲得しようとするものは、(1) 国際共産主義インターの協議機関設立のための準備と、(2) 革命的国際学連の再建、(3) および当面の行動方針の一致である。過渡期世界の階級闘争(先進国階級闘争・後進資本主義国階級闘争・労働者国家階級闘争の三つの有機的結合)を同時的に 統一するプロレタリア国際主義の基本任務は次の五つのスローガンに要約される。
一、帝国主義打倒・世界革命を目指すプロレタリア独裁の樹立!
二、帝国主義政府の侵略と抑圧と反革命粉砕!
三、民族解放・社会主義革命!
四、労働者国家人民への一切の反革命粉砕!
五、世界革命を放棄し、プロレタリア独裁をさんだつする労働者国家の党官僚打倒!

 以上から、「帝国主義の侵略・反革命に対決し、国際的階級危機を世界革命に転化せよ!」が導き出されるテーゼとなる。この戦略スローガンの具体的形態こそが、NATO打倒―安保打倒・ベトナム解放闘争の勝利を保証する。

 以上の基準を設定する理由は次のとおりである。帝国主義の基本法則は不変でありこの本質的な法則を死滅させうる唯一の手段は世界革命の勝利のみである。だが、過渡期世界の階級闘争は帝国主義相互の侵略戦争を困難にしている。過渡期世界の帝国主義侵略は、(1) まず経済的・政治的侵略に対峙する後進国の権力は解放闘争に直面し、これを鎮圧する反革命軍事力が要請される。(2) そのためには自国労働者人民の体制内的抑圧と反革命体制が要求される。(3) 更に後進国階級闘争の根拠地=労働者国家人民の革命的力を封じ込め、スターリン官僚から平和共 存政策を引出す反革命軍事力を持たなければならない。

 【世界的階級闘争の現状況】
 それは何よりも、19C世界市場の成立以来なかんずく、帝国主義段階に突入し、レーニンの言うところの「帝国主義が全地球 を分轄しつくし」金融資本による圧倒的資本の集中、集積と、その国内市場に対する生産力の過剰が構造化し、かつ世界的な意味での帝国主義列強による資本、生産手段の集中と、政治力・軍事力の集中以来、地球のすみからすみに到るまで、一国において自足し、生存し得る国も人民も存在し得なくなったことに基くものである。いかなる支配階級も、人民も国家も自己の世界戦略を、なかんずく帝国主義列強に対する自国と民族を媒介した連関を打ちたてることなくしては、将来は勿論、一刻も自己 の存在する事を許されないこの世界史的時代に規定されているのである。

 【帝国主義列強の争闘激化】
 1968年以後の戦後世界の最大の特徴は、キューバ、ベトナムと続く植民地武装解放闘争、それに大きく規定されたアメリカ の黒人暴動、ベトナム反戦と、汎太平洋において展開されてきた突出した闘いが、それらを構造的要因とし、かつ拡大しつつも 、フランス、西独、日本を貫ぬく新興帝国主義における危機と激動が開始し、アメリカ―ヨーロッパ―日本―帝国主義心臓部に おける革命と反革命の決着が70代に向けてせまっていることを示したことであり、70年安保、69 NATO、ベトナム反戦の闘いが 、それへの焦点となろうとしていることである。

 70年代にむけての世界帝国主義の危機は世界市場争奪戦の激化、保護主義の擡頭、INF機構解体のもとでの侵略・反革命戦争 、ファシズム、統制経済へと不可避的に進行する鉄の法則である。60年代後半〜70年代にかけての世界資本主義の構造的危機はアメリカ、イギリス両国の通貨危機が、世界的な不況圧力が不安定要因として一層構造化し、他方それをもたらした不均等発展の対極にあるEEC諸国――なかんずく西独にみられるごとく戦後最大の不況(1968年)―新興帝国主義の構造的危機を抱える中で、各国帝国主義の対外分轄戦―勢力圏確保へとかり立てざるをえないことである。50年代の世界経済を支えた―新興 帝国主義、ヨーロッパ、日本に於ける20年代―大戦前にかけてアメリカで開始された技術の導入―新規産業構造の確立にもとずく高度成長。(2) 世界経済の統一性の鍵である国際通貨ドルの200億以上に及ぶ金準備。(3) 巨額の貿易収支黒字、資本収入にも とずく対外援助、資本輸出による各国輸入能力の増加―は全て逆転した。これらは商品市場をめぐる争奪戦、一方における工業間貿易をめぐる保護主義、他方での50年代EEC、日本の工業間貿易の発展と後進国市場の停滞によって自立不可能を証明された植民地諸国の危機にもとづく、各国帝国主義に対する経済的・政治的・軍事的従属を押し進め更には国際通貨ドルの危機、あるいはその国際通貨としての機能の停止にもとずく世界経済の統一性の解体と、世界的デフレ―不況への展望として、今、各国帝国主義者をして脅やかしているのである。

 【西独非常事態法の成立】  
 われわれはファシズムを、帝国主義戦争による破壊と革命の嵐、労働者国家の成立を経た帝国主義段階で、持たざる帝国主義が再度再分轄―戦争を準備するときに、小ブルをも動員し、労働組合、社会民主主義政党(共産党は勿論)ETCの民間における民主主義組織と議会制度をも粉砕する専制権力と規定する。第一次帝国主義戦争にあっては、帝国主義が全世界を支配しているが故に、労働者階級を域内平和のもとで排外主義的に戦争に動員しえたのに比し、第一次帝国主義戦争の結果としての労働者国家の成立に規定される帝国主義内部の構造的政治的不安定性(それは労働者国家が帝国主義に対する恒常的内乱と武装したプロ レタリアとして第一義的に存在するからであり、これは客観的には帝国主義の支配力の限界と帝国主義内部における共産主義運動の存在を前提しているからである)この問題は、当然にも第二次帝国主義戦争以降の、東欧、中国にわたる労働者国家群の登場と、後進国武装解放闘争の拡大の中で、引きつがれ、ファシズムの再登場と、国際反革命同盟として現在ある。   

 【「五月革命」、危機の仏帝】
 「五月革命」は支配階級をして革命軍の登場に対して「共産主義かドゴールか」の宣言。 ドイツ駐在NATO軍と戦車隊のパリ進駐、アルジェリア叛乱軍のマシュー・サランとの結合によって第一義的に国内反革命を設定した。だからこのことは、プロレタリアをして密集した革命軍・二重権力運動として登場させ、人民戦線が独自の世界政策を持つ理由をなくし、支配階級をして赤裸々な反革命と、NATO、ドイツ反革命軍を結合せざるを得ない方向に追いやることが、いずれをも粉砕する唯一の道であり、この地点へ向けての独プロレタリアと結合した、独、仏帝国主義同時打倒を推進することである。(この問題は独においても政治的に真理である)

 五月激動におけるフランスプロレタリアートの要求は、第五共和制打倒=ドゴール打倒と賃金の20%アップであった。指導し た新左翼諸潮流とプロレタリアートの闘争形態は、街頭暴力デモと工場占拠(生産停止)であった。闘いは戦闘的であったが、 ドゴール打倒後の革命的展望を示しえなかった。指導部は激動の導火線たりえたが、権力獲得の準備は出来ていなかった。思想的には、アナーキズムと伝統的サンジカリズムと毛沢東のフランス版的サンジカリズムの混在としてあり、世界革命を具体的に志向する戦略戦術で理論武装し得ず、既成公認共産党と訣別したが、未だみずからを別個の前衛党として位置ずけていなかった。

 したがってドゴール打倒後に革命を全ヨーロッパに拡大して、プロレタリア独裁を樹立する目的意識性にかけていた。そのことは戦術的にも表現されている。即ち、工場は占拠したが、行動委員会を地区ソヴェトへ組織し、工場労働者を軸とした地区ソヴェトによる「生産管理」を実行することができなかった。街頭暴力デモも戦術的にはバリケード戦を展開し、都市の市街戦形態を全世界に示した成果は大きいが、権力中枢をマヒさせ、占拠し、全国ソビエト(行動委員会)で運営する攻撃性がなかった 。中央官僚機構の占拠と管理運営、中枢暴力=軍との対決を通した解体を電撃的に追求すべきであった。

 政治権力奪取なき工場占拠(生産停止)は小ブル中間層を生活と政治危機脱出の展望に対する動揺と不安からプロレタリアー トに敵対させる結果を招いた。新左翼の指導部は、ドゴールの選挙戦術を、断固として拒否し実力で粉砕するべきであった。選挙を粉砕出来なかった時点で 決着はほぼ決っていた。フランス五月激動の敗北は、国際階級闘争史上いかなる位置を占めるか。  

 30年代ドイツプロレタリアートの敗北は、ファシズム反革命の勝利と帝国主義侵略戦争の開始を意味する、国際階級闘争の全面的敗北にもつながる一時代を画した敗北であった。だが五月激動の敗北は、一時代を画するような敗北ではなく、世界的高揚の中での小局面としての敗北である。

 【日帝のアジア侵略と安保】
  かかるNATO粉砕、自国帝国主義の侵略、反革命に対する闘いと軌を一にしたASPAC―沖繩―70年安保、即ち自国帝国主義の侵略反革命と日米同盟に対する闘いとの結合が日本プロレタリア人民の任務となる。

 それは一方に於ける体制間矛盾論が日本プロレタリア人民の任務を日米同盟、或いは、米帝への日帝の加担にのみその任務を限定し、民主連合政府、人民戦線的、日帝の米帝反革命同盟からの離脱運動という(かってのフランスにおける反独ナショナリズム 、あるいは仏共産党の反米・反独ナショナリズム)反革命同盟それ自体がもたらす自然発生的昂揚に埋没すること、従って、危機への深化がもたらす反革命・膨張運動の暴力と排外主義の前に粉砕される(何故なら新興―持たざる帝国主義日本における革命と 反革命の決着はドイツと同じく、かってのフランス人民戦線的余裕、すら持たないからであり、且つ日米同盟か否かという形で基本問題が設定されるわけでもないからである。この反ベトナム侵略、反日米同盟の延長に革命を考える考え方は日本帝国主義とその危機への過少評価であり、危機が生みだすアジア侵略にむけての権力と一体化したファシズム運動との対決を想定しない。反ベ トナム、反日米同盟の実力闘争と大衆の自然発生的昂揚が帝国主義のかかる方向性に対する再度の分解と結合をなし得るか否かが勝利の鍵を握っていることを見抜けぬ日和見主義となるからである)必然性にあることである。

【これ以上は纏めきれず、再度中折れ】


(以下は、裏共産主義者同盟ブント資料館より)

【共産主義者同盟赤軍派結成総会報告(1969年8月)】のれんだいこ流整理で、この時赤軍派が何を云おうとしていたのかその論理と理論を解析してみたい。
 
【過渡期世界−世界武装プロレタリアートの過去、現在、未来】
 世界武装プロレタリアートによる世界史的根底的矛盾の累積−爆発は、かってどの国際共産主義運動もが挫折し、創造的実践的に切り拓けなかった地平である。同盟はこの要請に挑み、世界革命の在り方・形態・世界武装プロレタリアートの団結様式の最良の手法での世界武装プロレタリアートの最高統合司令部の構築を任務とする。これを遂行する理論として、@・過渡期世界論、 A・世界同時革命・世界革命戦争→世界党・世界赤軍の創設論、 B・世界=日本での前段階蜂起−世界革命戦争→世界革命戦線としての[ (一国)協議会]樹立論に依拠する。これは、その一国性と世界性の矛盾を後者において止揚する世界革命等へと自らを止揚することと一体に闘われてのみ唯一展開され得る。同盟の世界性と一国性、「党」と「軍事」の矛盾を止揚する党組織の創出が目指されねばならない。

 現代帝国主義−現代帝国主義国家−現代過渡期社会と世界階級危機の把え方、権力再編と階級闘争の転換と闘争の在り方、 党−先進的集団−プロレタリア大衆の連関の措定と、これと一体の党建設とその先進的集団、大衆組織への関り合い方、統一戦線の措定と党からの関り合い方等についてこれまで様々に議論が積み重ねられてきたが、今や結局、前段階蜂起−世界革命戦争の一環として「前段階決戦」を闘い抜くかの問題として煮つまった。

 それは別の側面において (イ)レーニン主義を発展止揚するのか、 (ロ)レーニン主義を教条化、化石化するのか、 (ハ)これを修正するのかの問題と密接関連している。この識別は、二つの側面のただ一つの問題としてマルクス・レーニン主義の根幹に関する実践的問題として必要となっており、 これは誰の恣意でもなく、又、党建設一般において、もっとうまくやっておれば良かったという性質でもなく、世界史に普遍化される国際的な三つの流れの不可避の深刻な闘争の発端であり、潜在的なものの顕在化であり、その選択は世界武装プロレタリアートの未来が唯一審判するものである。

 我々同盟赤軍派は、我々に課せられた世界史的事業を、大胆に公然引き請けるであろう。我々は、今秋の前段階蜂起−世界革命戦争を真に最後まで貫徹するだろう。我々は同盟内の新カウツキー主義、レーニン主義の教条、化石化、新ベルンシュタイン主義傾向(=レーニン主義の修正)、中央派、中大派を粉砕、一掃し、革命党建設に、画期的な同盟第九回大会を獲得するであろう。

 【第一章 共産主義者同盟の危機と我々赤軍派】
 【第一節 世界=日本階級闘争の大転換と国際共産主義運動の世界史的再編及び同盟の位置】
 今、革命的党派に問われているものは、
(1)  自国一国の矛盾の解明や、帝国主義世界のそれでもなく、明らかに過渡期世界を解明し、その総体を革命する世界観−世界戦略の構築。
(2)  その実践的課題は、一国プロ独→世界プロ独や、プロレタリアートをまず国民的支配階級に高めそれから世界的階級へではなく、一国権力奪取→世界革命戦争ではない。自国権力自体が世界=一国的である以上、権力闘争も又、世界=一国的であるのだ。(国家と革命戦争)だから権力闘争はただ一度や瞬間の攻撃や闘いでなく、長期で、一国のブルジョア権力の最終的打倒が、同時に、全地球上のブルジョア権力の最終的打倒と して実現される世界的有機的一体性として同時性をもった闘い=世界革命戦争であるのだ。

 それ故、一国プロ独への高次の自然発生としてのソヴィエト運動を自己目的化するのでなく、世界革命戦争の勝利に向けた世界的に有機的、単一的な世界革命戦線へと形成し、プロレタリア人民を単一の世界武装プロレタリアートとして 組織することが目指されねばならない。
(3)  階級闘争が様々な階層、階級の様々な種類の従来の一般的民主主義的闘争ではなく、自らの階級性を公然化する階級闘争として、戦争として、展開されるのに対して、それを戦争の論理に立脚し、いつもこれをプロレタリア的に展開し、戦略−戦術を貫徹し得る人民の軍隊=世界赤軍を獲得することである。
(4)  党にとって世界武装プロレタリアートのその「世界性と一国性の矛盾」、「階級性と軍事の矛盾」を党において統一し、世界武装プロレタリアートの矛盾を止揚展開せしめる前衛の政治性−組織性=党派性と党組織の型であり、規律である。何故なら敵権力が過渡期世界の階級危機に対して自らの世界性と一国性の矛盾を擬制的 価値において提起し、そこにおいて、軍事=暴力を大衆に承認せしめるべくねらっているからである。  

 この階級闘争の煮詰まりは、換言すれば「世界性と一国性」を分裂させたままの、「階級性と軍事」を分裂 させたままの、自然発生的武装闘争の発生−発展と分解再編として体現される。世界階級危機が67年10.8−11.12以前、第三世界において爆発することにより、世界武装プロレタリアートは、後進国プロレタ リアートを中心として登場し、日本プロレタリアートはその一部であり、これを媒介に世界プロレタリアートへの成熟を開始した。そして、日本帝国主義の自立的なアジア侵略、抑圧=反革命の動向とその危機を媒介に 10.8−11.12以降自国帝国主義打倒の鋭角的闘いをもって、その世界性を一国性のなかに体現させ始めたが、党派においてその世界性と一国性を分裂させたまま進行させたのであった。

 【第二節 第八回大会、その限界と「赤軍派」の誕生】
 「世界性と一国性」、「党と軍事」の矛盾を「戦略−戦術」、党建設論の獲得を通じて克服し、党と先進的集団−プロレタリア大衆の結合を推し進め、自然発生的武装闘争を目的意識的武装闘争に転化せんとする同盟の試みは、「党−先進的集団−大衆」次元の「運動−組織論」と一体となりつつ、まず戦略−戦術の措定として展開された。即ち、安保闘争をいかなる「性格、広さ、深さ」において位置付け、「いかに闘うか」であった。問題は安保闘争の「広さ、深さ、性格」を権力闘争の問題として把え、「世界性と一国性」「政治と軍事 」の矛盾の止揚−統一を、権力闘争−世界革命戦争に見合う(1)「党の改組」として、(2)先進的集団=S SL、キムの統合とその中核の軍隊化、(3)反帝統一戦線の限界−瓦解の世界=日本革命戦線への再編−止揚であったのである。

 八回大会は、下からの経済主義的−大衆運動主義的傾向、これと対照的な理論主義的、啓蒙主義的傾向の総集約点であり、実践的には事実上「安保闘争は何もやらない」という路線の確定大会であっ た。八回大会は、階級闘争の党的指導の実践的問題を、安保闘争の階級的攻防の性格を鮮明にせず、(イ)権力問題 =世界革命戦争の内容、(ロ)党の改組、党の軍団獲得、その一環としてのSSL・キムの建設・統合、(ハ )反帝統一戦線の権力闘争−世界革命戦争の統一戦線への再編−発展、という10.21以後の焦眉の課題が遂に提出−検討されなかった。

 逆に提起されたのは、
(イ) 過渡期世界の客観主義的受動主義的把握による、客観主義的立場論への世界同時革命論の変質。 
(ロ) 安保闘争の攻防の性格に対して、流通主義的経済学→恐慌帝国主義論に立脚し、恐慌の国独資による引き延しを軸にした世界階級危機論、国内攻撃主要論、恐慌対策 としての権力再編論。
(ハ) 統一戦線と戦術における中央権力闘争のバクロ闘争としての位置付け、反帝統一 戦線の一層の後退と経済主義的対応の路線。
(二) 党建設における精神主義と組織技術主義、政治的基準を喪 失した組織戦術一般論。
であった。    

 【第三節 4.28と同盟指導の危機→私設「九回大会」と赤軍派の誕生】
(2)
 同盟基幹官僚層として構成される中央派(彼らは自らをボルシェヴィキ派とし、いっているが)は、任務の実践的な克服のための政策を打ち出さず、一層緻密化することによって意識的に防衛せんとして、決定的な反動化を遂げ、レーニン主義の石女化=新スターリン主義、実践的存在としては現代のカウツキー、中央派とし ての役割を、理論的にも政治的にも組織的にも濃厚にし始めている。  

(イ)過渡期世界の歴史時代区分主義、客観主義的理解、総じてスターリン、ブバーリン主義的な全般的危 機論的把握と、世界同時革命−世界革命戦争のお説教と、革命の方向のお説教。彼等は、過渡期世界を世界プロレタリアートの世界武装プロレタリアートへの歴史的実践的到達点を前提に してその形成の在り方を解明しようとしない。即ち、歴史の客体から主体へと転化しつつある世界武装プロレ タリアートとしての世界プロレタリアートの実践的把え直し=攻撃的歴史観は一かけらもない。それ故にこそ、後期レーニン主義の混乱と第三インターの挫折の解明は全く出来ず、ボルシェヴィキとロシア革命が切り開い た世界プロレタリアートの世界武装プロレタリアートへの到達−成熟を前提にして、各国のプロレタリアート を、一国の支配階級に高めること自体が世界武装プロレタリアートとして当初からより意識的に、「世界同時革命、世界革命戦争、世界党−世界赤軍−世界革命戦線」の意識性をもってのみ、「世界−一国性」・「党と軍事」の矛盾を止揚する「党の改組」を可能にすることが理解出来ていない。

 彼等は現代の権力闘争=武装蜂起が文字通り、世界=一国であり、長期の世界革命戦争てあり、世界プロ独で終ることを理解出来ず、依然とし てロシア革命をスターリニストと同様に普遍化し、現在に適用し、権力奪取→プロ独→世界革命戦争として「 段階的」「一国→世界」として考え、それ故に革命とプロ独は算術総和の寄せ集めであり、世界党も又、寄せ集め党としてしか把えないのだ。
 
(ロ)彼等の帝国主義把握と階級危機も、その根底において仏議長、岩田弘等に見られる如く、根本的に考えることなく、全般的危機を背景にした、国独資政策の積み上げによる人民への危機の転化→恐慌の矛盾の人民への累積→恐慌の爆発→革命であるのだ。権力再編は彼等にとって、人民の追撃に対する恐慌の回避と国独資政策から統制経済を貫徹する為の、本質的には反動の強化一般の、政策上の問題であるのだ。だから、階級闘争の大転換も実はせいぜい激突一般の程度であり、前段階蜂起、世界革命戦争ではないのだ。
 
(ハ)それ故、彼等にとって「世界性と一国性」及び「党と軍事」の矛盾の止揚としての「党の改組」も必然ではなく、せいぜい一国のプロレタリアートの最高の高次の自然発生性=ソヴィエト運動=「中央権力闘争とMSTのラセン的発展」となり、軍事は更にとってつけたものにすぎなくなるのだ。  
(二)逆論すれば、機能主義的であるが故に(おそらく出来はしないが)、党はそれに何の歴史観、革命論やその改組をなし得ていないが故に、決定的に軍事に排跪するのである。かつ、一国主義−軍事への排跪は、 彼等の「現代帝国主義論」からしての生産点闘争は、現代帝国主義の永続的侵略、抑圧=反革命戦争の動向と 権力再編から不可避に生み出させる新たな社会排外主義と社会改良主義との結合=「社会帝国主義」に対抗しえず、アナルコサンディカリズムか、社会帝国主義との間を動揺するのである。  

(ホ)この危機を、「雲の上」の未来からの説教と「党のための闘争」の空語的呼号によって隠蔽せんとし ても、このような神秘主義的、カリスマ政治が破産しなかった試しは史上かつてない。  

(3)
(イ)同盟内学生の最も良質の先進的集団を密集して結集した中大派も、その指導部にあっては七回大会 を否定し、八回大会路線にズブズブであればある程、その大衆の論理の把握の優位性が直接に党の論理と二重写しにされ、発展させることによってメンシェヴィキに転落し、実践的には全くの経済主義へと転落するのである。  

(ロ)中大の学生同志諸君は今一度、六十八〜六十九年東大闘争に至る全過程が、君達にとって最も深刻な危機としてあった事態を解明し、八回大会路線や叛旗がこれに応えているか否かを反省しなければならない。反帝統一戦線を全共闘、労評運動へと転化する路線が、現に今、貫徹しているかどうか自らのバリケードを自ら解かざるをえなかった危機を真剣に総括しなければならない。反帝統一戦線の再編は、権力闘争=世界革命 戦争を支える統一戦線=世界=日本革命戦線の獲得以外ないのだ。

(4)
 同盟中央は、七・六以降、我々の自己批判と大会出席要求を官僚主義的に握りつぶし、私設統制委をデッ チ上げることによって処分と二重写しにし、かかる術策でもって我々の九回大会への諸活動を地上から葬り去ろうとした。かかる我々の出席によって同盟総体の根底的危機がバクロされ、真の総括が要求されることに恐怖して、同盟中央は、自己批判−相互批判と全同盟的討論を封じ込め、私設分派会議として「九回大会」をデッチ上げたのである。我々はこれを大会として、その決議と共に認めるわけにはいかない。それ故、我々は、共産主義者同盟赤軍派を、この陰謀を粉砕し真の革命的九回大会をかち取ることをめざし、結成した。我々は、同盟の、国際共産主義運動における一○年の金字塔を、今その一切の革命的遺産を受け継ぎ、その未来を代表すべく闘 うことを宣言する。

 【第二章過渡期世界の革命とは何か  ──我々の革命論について──  】
 【第一節 歴史の主体としての革命武装プロレタリアート−過渡期世界とは何か】     
(1)
 過渡期世界は、帝国主義とブルジョアジーの支配する世界であると同時に、‐‐‐世界プロレタリアートが歴史の主体として登場し始めた世界である。かかるものとして資本主義から世界プロ独を結節点とする世界社会主義→共産主義への移行の歴史的過渡期である。‐‐‐ かかる階級闘争の世界史的変化を把え直 した、意識的なプロレタリアートとその前衛は、産業資本主義段階からの階級攻防が、ロシア革命を契機としてブルジョアジーの世界史的危機とプロレタリアートの世界武装 プロレタリアートへの成熟、かかる世界的闘争関係を到来せしめたことを前提に、革命論を獲得しなければな らない。

 それ故、権力闘争= 世界革命戦争は、世界党と単一プロレタリア先進集団を中核とする世界赤軍と、世界武装プロレタリアートの 世界革命遂行と世界プロレタリア独裁実現の機関=世界革命戦線(=世界革命戦線協議会)の三者の世界武装 プロレタリアートの内的結合関係をもってのみ勝利し得る。又、その世界武装プロレタリアートの「世界性と 一国性」・「政治と軍事」の矛盾は、唯一、前者の方向においてのみ止揚される。決してロシア革命の如く発展し、俗物的に描かれた一国の権力奪取→革命の輸出・飛火、政治革命→社会革命の二段階、算術総和革命ではない。我々はレーニンとロシア革命の被支配階級としてのプロレタリアートが世界史的制度のなかで、まず 一国の支配階級として自らを組織し直すことを通じてのみ唯一、初めて、世界プロレタリアートとしての運動を展開しうる。その歴史的要請に応えた世界史的な業績を基礎として、世界武装プロレタリアートから出発し、 レーニンとロシア革命の未完を完成させんとしているのである。それ故、我々の基準は、世界同時革命、世 界革命戦争、世界党−世界赤軍−世界革命戦争である。

 【第三章 戦後過渡期世界と世界階級危機】
 【第一節 現代帝国主義(その生成−発展−成熟−没落)】
 【A 現代帝国主義と過渡期世界】     
(1)
 現代帝国主義は、レーニンが「帝国主義」で解明した段階的本質運動を展開している。だが、この歴史的、 現実形態的総体の解明は、過渡期やその歴史認識を基礎に、独占の高度化−独占価格の成立をもって、より大規模に排出した資本の最高度の寄生性、腐朽性を物象化した特異な金融過剰資本の運動に媒介された、歴史的金融独占資本としての金融独占資本の段階的本質の現実形態的展開の解明がなされなければならない。  

(2)
 金融過剰資本は、ロシア革命以降、帝国主義が一層発展し、国内の個々の産業資本部門間の不均等発展から形成される生産と消費の不均衡制を独占の高度化−金融寡頭制の強化を通じて、より大規模に形成された。 他方、所与の市場価格を最大限利潤を追求すべく、かつ対外市場において高利潤を獲得すべく、一定の独占価格に維持することにおいて、生産と消費の自然的関係に対して投資規制、生産調整等を通じて金融過剰資本は慢性化した。  

(3)
 巨大金融独占の構成体であり、これに内包されている金融過剰資本の大規模な形成とその慢性的存在は、一国的規模において生産消費の不均等発展(平準化)とその不均衡性を拡大せしめる。このことは、帝国主義段階にあって、資本主義の矛盾は世界市場の分割と唯一世界的恐慌においてしか、資本主義的には解決し得な いことを意味する。更に、世界史的な歴史の発展から見れば、正に資本制生産が、世界市場を前提にしつつも、国民経済と私有財産制を基礎とするブルジョア国家、これを前提にしてしか世界市場に存在し得ない根底的矛盾を世界史的に露呈させたことを意味し、かつプロレタリア世界革命の不可避性を常態化し始めていることを意味する。まさ しく、金融過剰資本とその金融独占資本の運動に占める歴史的役割とは、かかる資本主義の矛盾を極限に成熟させ、これと一体に、直接的に資本の矛盾を闘争に形態転換せしめる契機を多大に形成する役割を担っている のである。  

(4)
 ブルジョアジーは、かかる金融独占資本の運動とその矛盾を拡大させ、プロレタリアートはこれに規制さ れつつ、資本と資本制生産関係を止揚する契機を直接的に与えられ、世界武装プロレタリアートの現実性をよ り一層成熟せしめるのである。世界武装プロレタリアートは現代帝国主義の運動とその矛盾の深化を通じ、自らをより形成し、資本主義の対立物、世界社会主義を準備するのである。

 【B 現代帝国主義の生成、発展】  
(1)・再建金本位制
 金融過剰資本の大規模な形成とその慢性化→国家間の不均衡発展とその不均衡性の増大に対して、他方、世界武装プロレタリアートの発現に対して、帝国主義とブルジョアジーは金融過剰資本とその慢性化を克服し、不均衡発展を均衡的に発展せしめるべく−世界恐慌と帝国主義強盗戦争への一挙的転化による資本主義的矛盾の解決を自然発生的即自的に行なうことを総括し、再建金本位制を獲得せんとし獲得した。かかる帝国主義の不均衡的発展の擬制的均衡的発展の経済「体制」の上に、ブルジョアジーの対他帝国主義−対世界武装プロレタリアート粉砕を統一せんとするベルサイユ−ワイマール体制が存在した。   

(2)・世界恐慌
 だが、米帝国主義の圧倒的な金融過剰資本と西欧帝国主義の不均衡発展と不均衡性の増大は、過去の資本主義の枢軸英帝の没落と将来の枢軸米帝の未熟性の不均衡性をもって、独帝の信用恐慌と米帝の株価の高騰をもって、不均衡を調整し得ず、不均衡発展と不均衡性を自然的なものにすることによって、二十九年以降、金融恐慌→過剰生産恐慌へと拡大していったのである。

 だが、かかる世界恐慌は産業資本主義段階の恐慌や帝国主義段階の国内の常態的恐慌と異なり、資本主義的矛盾の解決ではない。その反対のプロレタリア的解決を直接に準備するものであった。何故なら、もともと恐慌は消費に対して、過剰な生産力=生産手段−資本を暴力的に破壊し、生産と消費の関係を資本主義的に是正し、この過程において中小零細資本を整理し、資本の有機的構成を高度化し、より最大限の利潤を追求するものである。

 だが、帝国主義段階の世界恐慌はかかる産業資本段階、その移行期の植民地領有と恐慌の中から生れた金融独占資本とその過剰化した金融過剰資本に根拠を置き、その世界市場における不均衡発展の不均衡性から起こったのである以上、金融独占資本の暴力的破壊と金融過剰資本のスクラップ化を実現しない限り、その資本主義的克服を与えられない。だが、もともと金融独占は競争と恐慌の中から資本主義矛盾を解決し、資本主義的に止揚した資本形態であり、それ故に本来恐慌には無関係である。換言すれば、他の中小零細資本において資本主義的でありながらもこれと違って、金融独占と金融過剰資本は世界恐慌の過程であれ、自らを暴力的に解体しない。彼等は独占価格を維持し投資と生産を調整する。それ故にこそ、金融過剰資本は、より一層過剰化、 慢性化し、金融独占資本と金融過剰資本の唯一の資本主義的矛盾の解決形態、帝国主義強盗戦争に向かうのである。

 他方、中小零細資本のスクラップ化と金融独占体における投資と生産における調整を通じて、独占と価格の維持は、各個別部門間の不均衡性を異常に発展させ、本来の自然敵資本制生産を長期に停滞させ、これ等総体の労働者、人民への矛盾の転化をもって過剰労働力の暴力的破壊を深化せしめ、二十九年以降、世界武装プロ レタリアートを登場させ、前段階蜂起−世界革命戦争の資本主義の矛盾のプロレタリア的解決を準備せしめたのである。世界市場の縮小を条件に金融過剰資本の一層の慢性的な過剰化は本来の資本制生産を停滞させ、その本来の運動への回復を世界市場の拡大−占有を行なうに至るまで限界づけるのである。金融独占資本は、世界市場の獲得をもって自律的に回復を可能とするのである。これが世界革命を客観的に準備し、かつ世界武装 プロレタリアートが増幅交互媒介的に資本の自動回復性を疎外したのである。  

(3)・管理通貨制−統制経済
 金融過剰資本の慢性化−生産の停滞に対して管理通貨制(通貨、貿易の管理)を槓杆に、ブルジョアジーは、 世界武装プロレタリアートを、反革命的に粉砕しつつ、資本の生産−流通活動の外からこれに外的に介入し、 生産を治性(ママ)化させ、自律的回復力を促進させ、金融独占資本と金融過剰資本−商品を世界市場に向け、 その獲得に向けさせんとする。これが統制経済政策である。管理通貨制−統制経済は世界恐慌の終熄過程で列 強間に一斉に採用され、これを媒介にしつつ、帝国主義の資本主義的矛盾の解決=帝国主義強盗戦争に突入し た。即ち、管理通貨制−統制経済は再建金本位制の崩壊−世界恐慌と裏腹な関係をもって形成された。何故な ら、かかる現代帝国主義国家の特異な経済政策−機構は、世界恐慌を通した各国における金融過剰資本の慢性化と経済の停滞を活性化させ、資本本来の運動を助長するものとしてあり、かつ、かかる政策が一般化し得る のは、とりもなおさず恐慌による過剰資本が慢性化している、そのことによって、採り得たからに他ならない。 決して国家やブルジョアジーの欲意(ママ)によって採り得るものではない。確かに、世界恐慌以前にも戦時経済政策が幾つかの国で採用されはしていたものの、再建金本位制を槓杆に、金融過剰資本の慢性化は一応の 解決を与えられており、一般的常態的な「政策−機構−体制」的な性格のものではなかった。ニューディール経済、ナチス経済、日本ファシズム経済、戦時経済等である。それ故、管理通貨制−統制経済政策は、帝国主義の金融過剰資本を内包した金融独占資本の矛盾の解決形態ではなく、この資本主義的矛盾の解決=市場占有 −帝国主義強盗戦争へと媒介する政策である。だが、現代帝国主義においては、とりわけ世界恐慌期に全面化し、典型化した、金融過剰資本の慢性化と経済の停滞(=自動回復性の極度の脆弱制)を、政策的に回転−活性化せしめる決定的媒介政策であり、金融独占資本の不可欠な運動様式−機構であるのだ。

 かかる金融過剰資本を慢性化させた金融独占資本の運動に対してブルジョアジーは、国家を通じ政治−経済 一体に世界武装プロレタリアートを弾圧し、その運動を促進せしめた。それ故、我々は現代帝国主義の、その国家をかかる経済側面を土台に本質的に把えねばならぬ。この意味において帝国主義列強の諸国家形態はニュ ーディール国家、ファシズム国家、人民戦線国家であれ、普遍的であるのだ。

(4)・帝国主義強盗戦争
 各帝国主義列強の管理通貨制−統制経済を槓杆にしての大恐慌を乗り切りつつの市場再分割−帝国主義強盗 戦争は、ストレートに帝国主義間戦争−ベルサイユ、ワイマール体制の解体に至らず、ナチスのソ連侵略抑圧 =反革命戦争として展開されつつ、帝国主義間強盗戦争へとその形態を転化せしめた。これはブルジョアジーの侵略と反革命の不統一性の、主観的、対自的に、統一克服せんとする顕れである。


 【纏めきれず、再度中折れ】




(私論.私見)