国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑(http://www.env.go.jp/nature/nationalgardens/chidori/)とは、支那事変以降の戦歿者の遺骨のうち、名前が分からなかったり、あるいは名前が分かっていても遺族が不明のため引き取り手のない遺骨を収容した国立の合葬墓地として1959(昭和34)年に建設された。30数万柱が無宗教形式によって供養されている。
他方、靖国神社は、明治維新以来の事変・戦争で亡くなった人々のうち身元が判明しているものにして、先の大戦では厚生省の祭神名票(FAQ4の項参照)に従って識別された240余万柱の英霊およびのいわゆる「昭和殉難者」(=A級戦犯及びB・C級戦犯)を神道形式により祀っているところである。
靖国神社は名の通り神道により英霊の御魂を祀る神社であるのに対し、千鳥ヶ淵戦没者墓苑は戦歿者の遺骨を納めた墓苑であるところに基本的な違いがある。
「戦歿者追悼の中心的施設は靖国神社である」との国民的共通認識があり、千鳥ヶ淵戦没者墓苑が注目されることは少ない。とはいえ、「靖国
vs 千鳥ヶ淵問題」が存在しており、イデオロギー的歴史観の対立軸が認められる。靖国神社はどちらかというと戦前日本の在り方を是認しており、かたや千鳥ヶ渕墓苑は戦後日本の在り方を是認するという風に位置づけられている。但し、千鳥ヶ渕には、昭和天皇御製の歌碑もある。
2005.5.6日 れんだいこ拝
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