333―23 【トロツキズム的マルクス主義の予備知識】

【トロツキズム的マルクス主義の予備知識】

 トロツキズムとネオコンの思想的接合ぶりは偶然か必然か、かく問題が設定できる。これを以下検証する。

 こういう説が有る。マルクスやトロツキーはユダヤ人であり、労働者階級による世界革命を通じて、階級支配を廃絶し共産主義社会を建設することを究極的目的としていたが、偶然かどうか当時よりユダヤ人が世界連邦的に構想していた「選民選良による世界政府樹立」運動の動きに対して考察を加えていない。これはおかしなことである。今日では「国際金融資本」問題として対置できるが、マルクス主義はこの問題を脇に置いている。

 このユダヤ人の特殊な世界構想について、マルクスは「ヤダヤ人問題について」で考察しているのかも知れない。が、一般に流布されておらず、従ってれんだいこも知らない。れんだいこの知識を標準とすれば他の多くの者も知らないということになろう。従って、「今日では『国際金融資本』問題として対置できるが、マルクス主義はこの問題を脇に置いている」という指摘は妥当だろう。 

 レーニンは『帝国主義論』において、世界は以前の産業資本主義の時代から、産業資本と銀行資本の結合した金融資本の支配する時代に入ったという理論を創造したが、国家独占資本主義段階へ到達した資本主義の変容分析の為の理論であり、「国際金融資本」の動きからは論じていない。

 この観点に立てば、日露戦争も容貌を一変する。日露戦争とは、英国という国家を政治的に乗っ取った「国際金融資本(=近代世界の経済支配層)」が、西欧東北部から中東、中央アジア、極東と繋がるユーラシア大陸に長く広く横わるロシアを、政治的に乗っ取るか、疲弊化させ、対抗勢力として骨抜きにしたいと考えために日本を利用した戦争だとも考えられる。「国際金融資本」は、左右の政治的勢力をあたかも対立するものであるかのように操りながら、どちらに転んでもいいように保険をかけつつ「ワン・ワールド」化していくことに戦略を置いている。

 理論以前に、レーニンやトロツキーの金主(パトロン)が誰であったかを確認すれば、彼らの“素性”や“狙い”は推定できる。ロシア革命はレーニンやトロツキーなどのユダヤ人が中心になって行われた革命である。トロツキーは、「国際金融資本」がロシア正教国家ロシアを政治的に乗っ取るために送り込んだ革命家、と考えられる。こうなると、ソ連とは「国際金融資本」の思惑に叶った社会主義国家であった、ということになる。ところが、レーニン政権の跡目を相続したスターリンは生粋のロシア大国主義者であった。とはいえ、スターリンも「国際金融資本」に篭絡されていくことになる。

 トロツキー派はスターリン派との権力闘争に敗れ、トロツキーはメキシコへ亡命を余儀なくされた。トロツキーは最後まで世界同時革命を目指したが、この論理は直接的に「国際金融資本」の思惑に叶う面があり、そういうこともあってトロツキーの思想がネオコンたちに引き継がれているのには相応の分けがある、とも読める。





(私論.私見)