333―22 【「ネオコンは元第4インター・トロツキスト出自説」の根拠考】

【「ネオコンは元第4インター・トロツキスト出自説」の根拠考】
 「ネオコン・ドクトリン」の観点はいわゆる「ユダヤ・ロビー」由来のものであり、人脈的にも裏付けられる。ネオコン・グループにはニューヨーク出身のユダヤ系知識人が多い。ネオコン・イデオローグの双壁にアービング・クリストルともう一人、ユダヤ系知識人の言論誌「コメンタリー」の創刊者、ノーマン・ポドレツが居る。2人ともニューヨークの知的風土から育ったユダヤ人知識人である。

 このネオコンとトロツキズムとの関係が注目されている。実は強く繋がっており、ネオコンの始祖(ゴッドファーザー)にして総帥であるアーヴィング・クリストル元第四インターナショナルのメンバーであり、転向後ネオコンとして登場してきているという一事をもってしても関係の深さが判明する。クリストル自身が自著「トロツキストの思い出」で、「四〇年に大学を卒業するまで私は青年社会主義者同盟(第四インター)の一員だった。恋愛と同じで相手の女性は変質してもその経験は極めて価値がある」と語っている。

 ネオコンのイデオローグの一人にチャールズ・クラウトハマー (Charles Krauthammer) 氏がいる。【クラウトハマー氏関連サイト】は次の通り。
http://www.sankei.co.jp/news/030105/morning/05int003.htm (産経新聞)
http://www.worldtimes.co.jp/w/usa/news/030107-074132.html (世界日報)
http://www.getsuyou.com/bkno/kokusai/h14/h14_06.html (月曜評論)

 彼らは元第四インター系トロツキストであったり民主党の革新派からの「転向組」である。アービング・クリストルは、1970年代に左派の行き過ぎに嫌気が差して右に方向転換したと述べており、「現実に襲い掛かられた革新派」と自分たちを定義する。「現実を見て甘い社会主義革命の理想など捨てた」という意味であり、第四インター系トロツキズムからの右旋回の経歴を公言している。

 但し、ネオコンの思想家達はトロツキストと呼ばれることを避けている。しかし、米評論家マッカーシー氏は、 「国際主義と民主主義のためにトロツキスト(ロシア革命指導者トロツキーの信奉者)はいまも闘っている。ただ、彼らはネオコンの呼称を選んでいる」と見抜いており、他にも「『世界に米国の価値観を』という主張を見るとトロツキスト的な『世界革命』の夢を捨てていないようだ」(共同通信、京都新聞掲載より)との見方が披瀝されている。


 ネオコン・グループには次のような面々がいる。まず言論界を見てみると、「ネオコンの始祖」とされる評論家アービング・クリストル、その息子で保守系の政治週刊誌『ウィークリー・スタンダード』編集長のウィリアム・クリストル、コラムニストのチャールズ・クラウトハマー、ネオコンの“バイブル”『コメンタリー』誌元編集長・ノーマン・ボドレツ。今日、ネオコンは、ホワイトハウス中枢に進出している。ブッシュ政権のブッシュ大統領を筆頭にチェイニー副大統領、リビー首席補佐官、ローブ上級顧問、エリオット・エイブラハムズ国家安全保障会議中東部長、ジョン・ポルトン国務省副長官、ラムズフェルド国防長官ポール・ウルフォウィッツ国防副長官、ファイス国防総省次官、ロッドマン国防総省次官補、古参実力者リチャード・パール元国防次官補等々。

 ネオコンの台頭以来、米国政治をかってのように共和党、民主党に色分けして語ることができなくなった。
これがアメリカ史の必然的発展形態なのか、特殊一過性の現象なのか判断が難しい。




(私論.私見)