331―14 | 対イラク戦勃発寸前段階(1) |
以下、対イラク戦勃発前の情況を記しておくことにする。今は情報貼り付け段階であるが、いずれれんだいこ流に纏めるつもりであるので、全方位著作権論者よ今暫しご協力をお願いする。 |
【英首相「安保理各国は今夜中に態度決定を」】 | ||
ブレア英首相は16日、アゾレス諸島から帰国の機中、イラク攻撃を容認する国連安保理の修正決議案について「安保理各国は今夜中に(賛否の)態度を決めなければならない」と述べた。英政府筋は決議採択に必要な9票が確保できなければ、採決を求めない考えを明らかにした。 ブレア首相は拒否権行使を公言しているフランスについて「一晩かかって考えが変わらなければ、その考えを変えさせるのは難しい」と述べ、決議採択は仏次第との見方を示した。ブレア首相は16日夜から17日にかけて仏独ロシアなど安保理各国首脳に電話で修正決議案への支持を求める。ただ十分な支持を得られるかどうかについては明言を避けた。 決議なしのイラク攻撃に反対する英国内世論については「合理的な分別のある行動を支持すると思う」と自信を示した。 [日経]
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[日経]イラン・シリア首脳、イラク攻撃反対で一致
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【バーレーン=岐部秀光】国営イラン通信によるとシリアのアサド大統領は16日、イランを訪問しハタミ大統領と会談、イラク攻撃への反対で一致した。両首脳は米政府に対し国連の枠組みでの問題解決を訴えた。
米政府が「テロ支援国家」と位置付ける両国はイラク後の次の標的となりかねないだけに、イラクへの武力行使で「先制攻撃」が黙認されることへの警戒が強い。 一方、イランのハラジ外相は17、18日の両日、イラク問題を話し合うためイエメン、サウジアラビアを訪問する。 |
[日経]仏大統領、イラク新決議拒否の姿勢変わらず
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【パリ=柴山重久】フランス大統領府は米英スペインの首脳会談が行われた後の16日夜、シラク大統領が対イラク武力行使を容認する国連安保理の修正決議案について「最後まで拒否する姿勢だ」と発表した。
大統領府は大統領が16日行ったCNNなど米テレビとのインタビューを引用。大統領は「査察を通じた平和的な解決策を求める仏の立場は変わらない」と語った。 シラク大統領は同日、査察の延長期間を、これまで求めていた4カ月から1カ月程度にまで短縮する用意があると表明した。この提案に対してはチェイニー米副大統領が「査察延長はフセイン・イラク大統領を助けるだけ」と即座に拒否する考えを表明した。 米英スペイン首脳会談では、17日の安保理協議で最終決着をはかるよう各理事国に促したが、仏大統領が改めて修正決議案に反対する立場を鮮明にしたことで、妥協が成立する可能性はほぼなくなりつつある。 |
[日経]米大統領「イラク問題の外交交渉、17日で打ち切り」
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【テルセイラ島(ポルトガル領アゾレス諸島)=森安健】ブッシュ米大統領は16日午後(日本時間17日未明)、大西洋アゾレス諸島でブレア英首相、アスナール・スペイン首相らとイラク情勢について緊急会談し、17日でイラク攻撃を正当化する国連安全保障理事会決議案を巡る外交交渉を打ち切ることで合意した。大統領は会談後の共同記者会見で「明日が世界にとって決定的な日となる」と述べ、開戦の最終判断を17日にも下すことを示唆した。
会談は約1時間にわたり、ドゥランバロゾ・ポルトガル首相も同席した。フライシャー米大統領報道官は会談後、記者団にブッシュ大統領が17日午後(日本時間18日午前)にも重大な演説を行う可能性があると述べた。これがイラクへの「最後通告」となり、米は新たな決議抜きで開戦に踏み切るとの観測が出ている。また米大統領らは「イラクの未来に関する宣言」と米欧同盟を確認する「大西洋宣言」からなる共同宣言を発表した。 (10:13) |
[日経]フセイン大統領、イラク攻撃への報復を警告
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【バーレーン=松尾博文】イラクのフセイン大統領は16日夜、軍司令官との会合で、米国が大規模なイラク攻撃に踏み切れば「世界中の陸、海、空での戦いとなるだろう」と語り、報復を警告した。イラク国営通信が伝えた。
大統領はイラクが大量破壊兵器を保有しているとの指摘は「うそだ」と改めて強調。「米国はシオニスト(イスラエル)にはあらゆる兵器の生産を認めている」と批判、「誰が米国にイラクを裁く裁判官を命じたのか」と述べた。 サブリ外相も同日、アラブ首長国連邦(UAE)のテレビのインタビューで、「イラクは1時間で戦う準備が整う」と述べた。「何万人もの男女が殉教を志願し、都市や砂漠での戦いに備えている」として米軍への自爆攻撃の可能性を示唆した。 一方でイラク政府は同日、神経ガスVXの廃棄についての追加資料や、米国が生物兵器開発用と指摘している移動式実験施設に関するビデオや写真を提出したことを明らかにした。 |
[日経]安保理、17日にイラク問題最終協議へ
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【ニューヨーク=朝田武蔵】ロイター通信によると、国連安全保障理事会は17日午前10時(日本時間18日午前零時)から、イラク問題を協議するため非公式会合を開く。安保理は米英スペインが提出した対イラク修正決議案をめぐり、交渉が暗礁に乗り上げており、次回協議の日程が決まっていなかった。
ブッシュ米大統領は16日の英スペインとの首脳会談後、17日で国連外交交渉を打ち切る方針を表明。フランスは国連査察が期限内に終了するという条件付きで、武装解除の期限を約4カ月から30日に短縮する案を表明したが、決議案への拒否権行使の方針は変えていない。 3カ国が提出した修正決議案は武装解除の期限を17日としており、実効性が失われた形となっている。同日の安保理協議でフランスが反対姿勢を変えない場合、米英は採決を断念し、決議案を取り下げる最終判断を示すとみられ、昨年9月以降の安保理協議は重大な局面を迎える。 (i日経) |
【アンマン春日孝之】イラクのフセイン大統領は16日に開いた軍幹部との会合で、米国がイラクを攻撃すれば「空であれ、地上であれ、水中であれ、世界中で戦いが繰り広げられることを敵は悟るはずだ」と述べ、開戦に踏み切ろうとする米英への対決姿勢を鮮明にした。サブリ外相はこれに先立ち、アラブ首長国連邦の衛星テレビ「アル・アラビア」とのインタビューで「1時間以内に戦争が始まっても戦争の準備は出来ている。数万人のイラクの男女が敵との戦いで自発的に殉教者となることを志願した」と述べた。
イラク国営通信によると、フセイン大統領はまた、「武器がなければ剣と棒ででも戦うだろう」とも述べ、戦端が開いた場合は徹底抗戦する覚悟を示した。
一方、イラクのサブリ外相は16日、米、英、スペインの3ヶ国首脳会談を受け、近く開戦の可能性が高まったことに触れ、記者団に「我々はイラクの砂漠に侵略者を葬る準備が出来ている。イラクの土地に踏み入る者は誰も安全には出られない」と警告した。
また、3ヶ国首脳会談が大西洋のアゾレス諸島で開かれたことについて同外相は「世界から孤立した場所での開催は、ブッシュ(米大統領)とブレア(英首相)が戦争計画の結果、自ら陥った孤立の証明でもある」と述べ、対イラク戦は国連と国際社会への「暴挙」だと強調した。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-15:19 )
「世界にとって決定的な日となる」――。ブッシュ米大統領が17日で外交努力を打ち切ることを明確にしたことで、イラクへの武力行使は秒読みの段階となった。防衛態勢を整えるイラクからは国連査察団やメディア関係者が次々に出国し、「人間の盾」として残る日本人の家族は心配を募らせる。一方、開戦を前にスポーツ界では大会が延期されたり、海外への旅行者数が低迷するなど、影響は各方面に広がっている。
外務省邦人保護課によると、17日現在、イラクに滞在している日本人は38人。このうち国連や非政府組織(NGO)の職員、報道関係者らを除く10人が、イラク攻撃反対を訴えて入国し「人間の盾」に志願した人たちとみられる。新たに約10人が、20日に成田空港からヨルダンを経てバグダッドへ向かう計画を立てている。
同課の担当者は「事態は差し迫っている。現地の日本大使館職員はすでに引き上げたが、入国した人の滞在先が分かれば、引き続き電話などで退避を求めていく」と話している。
現在も「人間の盾」としてバグダッドに残っているとみられるフリーターの男性(23)の母親は「連絡はないし心配でならない。こんな事態で、現地にとどまることに何の意味があるのか」と話す。
■スポーツ
今月6日からアラブ首長国連邦(UAE)で開催された欧州男子ゴルフツアー、ドバイ・デザート・クラシック。タイガー・ウッズ(米国)は「この時期の中東遠征は賢明ではない」として欠場した。日本や米国などが参加し同国で25日から開催予定のサッカーの世界ユース選手権は延期が決まった。ドバイ政府観光商務局駐日代表事務所は「ドバイは安全でホテルの稼働率も8割に達する。誤った判断がされている」と嘆く。
日本サッカー協会は3月下旬に予定の米国遠征をいったん中止したが、米サッカー協会から「米連邦捜査局(FBI)や米中央情報局(CIA)も動員し、国を挙げて守る」と説得され、予定通り遠征することに。24日からワシントンで開催されるスケート・フィギュア選手権の名誉会長にブッシュ米大統領夫妻が就任するなど、米国は自国でのスポーツ開催にこだわりを見せている。
■海 運
中東から原油を運ぶ海運各社にも緊張が高まっている。原油タンカーや自動車専用船をクウェート付近まで運航している。海運業者など104社で組織する日本船主協会の計算では、ペルシャ湾内に常時10隻前後の日本船が航行している。
日本郵船は昨年6月から準備を始め、イラク、クウェートの沿岸と港付近を最重要海域とするガイドラインを作成した。安全環境グループの石田隆丸グループ長は「攻撃開始から数時間後に戦況を見極め、安全な海域の線引きを具体的に固めたい」と話す。川崎汽船も昨年12月、安全運航チームが対策を立案した。
船員で組織する全日本海員組合の平山誠一国際汽船局長は「イラン・イラク戦争や湾岸戦争で、船員は恐怖に堪えながら日本のオイルロードを守った。これからも安全対策に万全を期す」と話す。
■旅行業界
JTBの2月の海外旅行件数はテロの影響が残っていた前年同月比の95%。西山恒夫広報室長は「2月の国連安保理で査察継続が決まった時、『明日からハワイに行きたい』と申し込んだケースもあった。お客様も状況を見て行動している」と話す。
日本旅行もテロ以前の水準には戻らない。鳥越則夫広報室長は「イラク攻撃だけではなく欧米でテロが起こると対策が難しい」と分析する。
11日に横浜から世界一周クルーズに出発した客船「飛鳥」。29日にドバイ、31日にオマーンのマスカットを回る予定だが、運航する郵船クルーズは「情勢によっては寄港地の変更もある」と話している。 【平井桂月】
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-15:14 )
【モスクワ町田幸彦】インタファクス通信によると、ロシアのフェドトフ外務次官は17日、米英などが提案した対イラク攻撃容認の国連修正決議案について、「国連安保理を通過する見込みはない」と述べた。外務次官は、決議案採決に際してロシアの拒否権行使の可能性に言及しなかったが、「我々は以前と同じようにいかなる新決議も不要と考えている」と語り、米英の決議案に反対する方針を強調した。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-18:54 )
【ニューヨーク佐藤由紀】国連の安全保障理事会は17日午前10時(日本時間18日午前0時)すぎから非公式協議を開き、イラク危機について討議する。米、英、スペインは、7日に共同提出した対イラク武力行使容認の修正決議案について決断を迫るとみられる。しかし、採択に必要な9カ国の支持を得る見込みは立っておらず、仮に9票を固めてもフランスが拒否権を行使する可能性が強い。米英は9票を確保した時のみ、仏の拒否権覚悟で採決を求める見通しで、現状では米英が決議案を取り下げ、協議打ち切りを宣言するとの見方が有力だ。
決議案が否決されたり、採択が不可能と判断した場合、ブッシュ米大統領は17日夜にも全米向けのテレビ演説でイラクへの最後通告を行う見込みだ。安保理は当初、同日午後3時に協議を開始する予定だったが、討議時間を増やすため、急きょ時間を繰り上げた。
この日の協議ではまた、イラク政府が国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長と国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長を招待している問題も話し合う。ブリクス委員長は査察継続を希望し、バグダッド訪問にも関心を示しているが、戦争が避けられない状況となってきたため、米英が反対することも考えられる。
修正決議案は、17日を最終期限としてイラクに完全な武装解除(大量破壊兵器廃棄)を要求。イラクがこれに応じない場合、米英は武力によって非武装化する方針だ。しかし、仏露独などは「決議案は武力行使に道を開く」として強く反対、米英スペインの3首脳会談後も反対の姿勢を崩していない。
3首脳会談で米英は、昨年11月に採択した安保理決議1441で、イラクへの武力行使が認められるとの見解を示したが、ブレア英首相は反戦論が強い国内世論を考慮して、武力行使容認の新決議採択のため外交努力を続けてきた。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-19:04 )
【モスクワ町田幸彦】ロシア国内のロシア正教とイスラム教の高位聖職者代表団15人は17日、イラク・バグダッドを訪問するためモスクワをチャーター機で出発した。インタファクス通信によると、一行はバグダッドやイラク各地で平和祈願の催しに参加する。随行したハラフ駐露イラク大使は「来週、モスクワに戻る予定だ」と語った。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-19:06 )
【ワシントン河野俊史】対イラク武力行使容認決議案をめぐる国連安保理協議の打ち切りを決めた16日の3カ国首脳会談で、昨年9月から半年に及んだ米政府の国連外交は事実上、終止符を打った。ブッシュ大統領は全会一致で可決された安保理決議1441(昨年11月8日採択)ですでに武力行使は了承されていると強弁しているが、現時点で軍事行動に移るという米政府の提案が最後まで国際社会の同意を得られなかったことは、実質的に「ブッシュ外交」の失敗を意味する。ユニラテラリズム(単独行動主義)の批判をかわすためにあえて選択した「国連ルート」だったが、結局、国連の枠組みを無視して一方的な武力行使を目指す形になり、皮肉にもユニラテラリズムの本質を浮き彫りにした。
17日をイラクの武装解除(大量破壊兵器廃棄)期限にして、その直後に攻撃を構える修正決議案に支持を表明したのは、提案国の米、英、スペイン以外にはブルガリアだけだった。反対を明確にしたフランスやロシアばかりか、中間派の6カ国も今回は米国に追随するのをためらった。最後は経済支援と引き換えに押し切れると読んだ米政府には誤算だった。
米政府が安保理メンバーを説得できなかった理由について、キッシンジャー元米国務長官は16日のCNNテレビの番組で「同時多発テロ(01年9月)を体験した米国と、そうでない国の危機感の違い」を挙げた。しかし、イラクを切迫した脅威と見ることには米国内ですら異論が多く、他国に戦争の正当化を求めるには説得力が弱かった。
それ以上に批判や反感を呼んだのは、国際社会に対する米政府のスタンスだった。ブッシュ政権は2年前の発足後、地球温暖化防止のための京都議定書や、国際刑事裁判所(ICC)設置をめぐって国際社会と対立し、「米国が他よりも優越した存在だと信じ、国際機関に懐疑的だ」(16日付ワシントン・ポスト紙)と指摘されてきた。多くの国には、それが不遜な態度と映り、反米主義の引き金になった。
それにもかかわらず、ブッシュ政権は国際関係を軽視し、他国に理解を求める努力を怠ってきたといわれる。「要求するばかりで、相違点の溝を埋めようとしない」(同)といい、例えば協力の有無が焦点になっているトルコの問題でも、12年前の湾岸戦争時に父親のブッシュ元大統領がトルコの首脳に55〜60回も電話をしたのに対し、今回は3回だけだと同紙は指摘している。
また、安保理が査察による解決を模索している段階からペルシャ湾岸地域に膨大な数の米兵を展開し、攻撃態勢を既成事実化してしまったことへの批判も国際社会にくすぶっている。
「初めに攻撃ありき」という強引な手法が安保理メンバーの間に疑念を呼び、米国を孤立させた側面は否定できない。安保理決議1441は成果として残ったものの、米国の対イラク軍事行動は国連の枠組みに頼らない半年前の姿に戻る結果になった。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-19:34 )
【ウィーン福井聡】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は17日開いたIAEA定例理事会の場で、米国政府からイラク国内で活動しているIAEA査察官を撤退させるよう要請を受けたことを明らかにした。事務局長は国連安全保障理事会に米国からの要請を通知し、指示を仰いでいる。米国が対イラク開戦を前に、査察官の安全確保のために退去要請した可能性が強い。
事務局長は理事会で「昨夜、米政府から査察官をバグダッドから撤退させるよう要請された。国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)も同じ要請を受けている」と述べた。事務局長は直ちに国連安保理議長に連絡して指示を仰ぎ、アナン国連事務総長にも連絡したという。事務局長は「安保理はこの件を協議すると理解している。査察官の身の安全は当然最優先されるべきだと考える」と述べた。
イラク国内には現在135人の国連査察官が駐在している。すでにイラク脱出の準備を整えているといわれ、それぞれの査察官は脱出のための荷物を「最大15キロに抑えるよう」通知を受けているという。キプロスに滞在中の査察官はウィーンに帰国するよう通知を受けているとも報道されている。
ブッシュ米大統領は16日、「国連は、米国が対イラク戦争に踏み切るまで外交手段による事態解決にもう1日しか猶予はない」と述べている。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-21:16 )
【ロンドン福本容子】英政府は17日、在クウェートの英民間人に対し、即時同国から退去するよう指令を出した。クウェートには現在、米英軍が駐留し開戦の際は同国からイラク国内へ侵攻が予定されている。市民への退去令は、開戦の時期が迫っていることを示している。
政府は、対イラクへの攻撃が開始されれば「英国人を標的に生物・化学兵器を使用したテロが発生する危険がある」と警告した。
政府によると、クウェート国内には通常約8000人の英市民が駐在していたが、イラク情勢の緊迫化を受け現在約5000人に減少している模様。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-20:40 )
【モスクワ町田幸彦】ロシア外務省は17日、イラク国内に滞在しているロシア人に対し、出国するよう勧告を出した。イラクの在留ロシア人約700人の多くは帰国しているが、まだロシア大使館職員23人を含め約50人が残っている模様だ。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-21:19 )
【ロンドン岸本卓也】英政府は17日、緊急閣議を開き、国連安全保障理事会での対イラク武力行使容認決議案採択を断念して米国とともにイラクに武力行使を加えることを決定した。下院は18日に政府決定の是非を問う採決を行う。与党・労働党の左派系議員を中心に反対票を投じる動きがあるが、最大野党・保守党が武力行使を支持しているため政府決定は過半数の賛成を得て承認される見通し。閣議の開始直後にクック下院院内総務(閣僚)が武力行使に反対して辞任した。
閣議決定後、ストロー外相が政府決定を下院に報告した。武力行使に反対する世論に配慮した政府は新決議の採択に全力を挙げることを公約していた。外相は「フランスが拒否権行使を明らかにしたためにイラクが大量破壊兵器の廃棄を怠った」と述べ、新決議案を採択できなかった責任を仏に負わせた。
一方、辞任したクック下院院内総務は「閣僚として国際社会や国内からの強い支援を受けないままの武力行使に責任を負えない」と辞任の理由を説明した。閣内ではショート国際開発相が新決議なしの武力行使に反対して辞任を予告していたが、ブレア首相が慰留を続けているため、閣内にとどまる可能性もある。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-10:01 )
【ニューヨーク佐藤由紀】カナダのクレティエン首相は17日、下院での演説で、「カナダは国連安保理決議で支持されない武力行使には参加しない」と宣言した。この中で同首相は「わが国は安保理の承認を得た場合にのみ、軍事行動に参加することを明白にしてきた」と語った。
カナダは英国、豪州などと並ぶ米国の重要な同盟国。アフガニスタンでの対アルカイダ掃討作戦に参加し、米軍による砲撃で4人の戦死者を出した。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-10:12 )
【ニューヨーク佐藤由紀、ウィーン福井聡】AFP通信によると、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長のスポークスマンは17日、ブリクス委員長に対し、米政府がUNMOVICの査察官を退去させるよう求めたことを明らかにした。
一方、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長も17日開いたIAEA定例理事会で、米国政府からイラクで活動している査察官を撤退させるよう要請を受けたことを明らかにした。
ブリクス委員長、エルバラダイ事務局長の両氏は同日国連本部で開かれる安全保障理事会で、査察団を24時間以内にイラクから退去させることを勧告する見通しだ。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-08:34 )
フセイン大統領が亡命する可能性は小さく、米国は米東部時間19日(日本時間20日午前)にも、対イラク戦争を開始する見通しだ。
ブッシュ米政権はフセイン政権の打倒とイラクに民主政権を樹立することを目標に掲げており、徹底抗戦の構えのフセイン政権との激しい戦闘が予想される。
大統領は演説で、イラクが大量破壊兵器を保有していることは明らかであると述べ、「平和的武装解除は失敗」と断言。
フセイン大統領とその息子も亡命しなければならないと述べた上で、米国は昨年十一月の国連安保理決議1441などでイラク攻撃の国際法的根拠を得ていると明言。イラク軍にフセイン政権から離反するよう求めた。
米英軍は25万人以上の兵力、空母6隻などの戦力をイラク周辺に集結させ攻撃態勢を整えており、40万人弱のイラク軍と対峙(たいじ)している。(ワシントン共同)
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-11:04 )
同事務総長はまた、職員退去に伴い、「人道物資購入のためのイラク原油輸出計画」が中断されると安保理に伝えた。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-10:42 )
【アンマン小倉孝保】AFP通信によると、イラクのフセイン大統領は17日、同国が過去に大量破壊兵器を保有していたことを自ら認めた。一方で大統領は今は所持していないと主張した。大統領の長男ウダイ氏が経営するユース・テレビが報じたとしている。
米英の攻撃が秒読みとなる中、土壇場での攻撃回避を狙ったものと見られる。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-01:19 )
【モスクワ町田幸彦】インタファクス通信によると、プーチン・ロシア大統領は17日、イラク問題について「我々は平和的手段による解決だけに賛成する。その他のどのような展開があっても、それは間違っている」と述べ、米英の対イラク武力行使に反対する立場が変わらないことを改めて強調した。大統領は、開戦になった場合「最も深刻な結果を伴うことになる。死傷者を出し、国際情勢全体を不安定にする」と警告した。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-23:13 )
国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長は17日、イラク査察の作業計画として作成した「武装解除に関する未解決の任務」を安保理に提出。19日の協議はこの作業計画などに基づいた論議を行うものとみられる。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-11:27 )
【アンマン小倉孝保】ブッシュ米大統領は17日、演説でフセイン・イラク大統領に48時間以内の亡命を要求したが、この演説を前にイラクのサブリ外相は同日、バグダッドで記者団に対し、亡命を拒否する姿勢を示した。
サブリ外相は、イラク国内では「どんな子供も、ブッシュ(大統領)が成功できない指導者だと認識している」と指摘。「平和を維持するためには、世界一の戦争好きが旅立つべきだ」と、ブッシュ大統領こそ退陣すべきだと反発した。
フセイン大統領は16日、軍幹部らを前に、米軍が開戦すれば「世界的な戦争に拡大する」と警告しており、今回のサブリ外相発言は、大統領が自らの亡命で戦争を回避する事態を想定していないことを確認するものといえる。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-11:30 )
【ワシントン佐藤千矢子】ブッシュ米大統領の17日夜の最後通告を受けて、近く予想される米英軍などによる対イラク攻撃は、開戦から3〜4日間に、湾岸戦争(91年)時の約10倍にあたる約3000発の精密誘導爆弾や巡航ミサイルで大規模空爆を行った後、クウェート側から地上軍を侵攻させ、首都バグダッドを陥落させる作戦となる見込みだ。米国はイラク軍との圧倒的な軍事力の差を背景に短期決着に自信をみせる。だが、フセイン政権が生物・化学兵器を使った反撃に出る可能性や焦土作戦に出る恐れもあり、米軍が予想通りの勝利を収められるかどうかには不確定な要素も多い。
ペルシャ湾岸地域には現在、湾岸戦争時の約半数の米軍23万5000人、英軍4万5000人の計28万人が展開。このうち地上軍の拠点クウェートには計17万4000人が集結する。
空爆では、イラクの大量破壊兵器関連施設、防空施設、政治・軍事拠点を標的に、精密誘導爆弾を搭載したB2爆撃機やF117戦闘機、巡航ミサイル「トマホーク」などを投入する見通し。湾岸戦争時に米軍が地上軍投入まで38日間の空爆を行ったのと比べると、今回は「空爆と地上戦がほぼ同時に始まる」(米政府高官)とみられる。
ただ空爆後、クウェートとトルコの南北から地上軍がイラクに侵攻する当初の計画は、今月初め、トルコ国会が米軍駐留を拒否し、大きな狂いが生じた。トルコはエルドアン新政権が米軍駐留案を国会に再提出する動きを見せているが、仮に承認されても攻撃態勢が整うまでに約1カ月を要するとされ、米地上軍はクウェートを主力とせざるをえない。このため、イラク北部クルド人自治区には米特殊部隊がすでに投入されており、クウェートなどから米兵士を輸送機で移動させるとの情報もある。
トルコは米軍の領空通過も今のところ認めていない。このため、米軍は先週、地中海に展開中の2隻の空母の艦隊のうち約10隻を紅海に移動させ、サウジアラビアの上空を横切って巡航ミサイル「トマホーク」を撃ち込めるようにした。
米軍は、湾岸戦争当時、イラクが多数の油田に火を放つ作戦に出たことを踏まえ、米陸軍第101空てい師団や海兵隊旅団などを投入、まず油田などの重要施設制圧を図る構えだ。また、ブッシュ大統領は17日の演説で、「死に体政権のために戦うな」とイラク軍兵士に投降を促し、命令に従い生物・化学兵器を使用すれば「戦犯として処罰される」と警告した。イラク軍の総兵力は約40万人とされる。だが、多くの兵士の士気はすでに低下しているとされることを踏まえ、戦意喪失を狙って揺さぶりをかけたものだ。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-17:45 )
18日午前10時すぎ(日本時間)から始まったブッシュ米大統領の最後通告演説。世界はどのように受け止めたのか。
■米国
米カンザス州の会計士、アンドリュー・ハーストさん(34)は「イラクはテロリストと関係があり、米国に対する潜在的脅威だ。国連は査察を12年間続けたが、イラクは協力しなかった。もう待てないのは当然だ」と大統領演説を支持する。世界的な反戦運動については「気持ちは分かるが、イラク民主化への正当な戦争だ」と話した。
一方、カリフォルニア州の技術者、シーン・ギャラハーさん(33)は「ブッシュ政権は最初、大量破壊兵器の武装解除が目的だと言っていたが、演説ではフセインの亡命か戦争かを迫った。何のための戦争かが分からない。査察を続けて平和的に解決することは可能なはずだ」と話した。
ブッシュ政権支持者の中にも、強硬な演説の内容に戸惑いが広がった。ワシントン州の会社員、クレイグ・コガさん(30)は「外交による解決が機能しないから、イラク侵攻はやむをえない」と話しながらも「米国だけで戦争すると、イラクの人々に反米感情を抱かせる。大統領は世界の理解を得るよう努力すべきだった」と求めた。【ワシントン斗ケ沢秀俊】
■韓国
昨年発生した米軍装甲車による女子中学生死亡事件をきっかけに反米感情が広がり、大学や街頭でイラク攻撃反対の署名運動が続いている韓国では、大統領演説に怒りの声が上がった。
ソウル市の男性会社員、金申基(キムシンギ)さん(41)は「攻撃は既定路線になっていたので、ブッシュ演説内容には驚かなかった。だが、第二次大戦後、米国が主導して設立された国連という枠組みを米国が自らの手で壊したことになる」と非難した。イラク攻撃の理由については「攻撃に大義名分がない。世界の人が納得できない戦争で、罪のない生命と財産が破壊される。言葉にならないほどの怒りを感じる」と話した。 【ソウル堀信一郎】
■ヨルダン
イラクから逃れてきた知識人たちは複雑な思いで演説を聞いた。
94年からヨルダンで暮らす作家のアリ・アルサダニさん(41)は、「水底に沈む墓」という本を出版した後、政府の当局者が自宅を訪れ尋問するようになった。「墓はフセイン大統領の墓を指すのか。彼の死を願うのか」と問いただされ、身の危険を感じ、脱出した。
「政権交代は歓迎するが、市民が傷つけられる戦争は絶対にいやだ。日本は広島や長崎の悲劇を経験したのに、なぜ米国の言いなりになるのか」と訴える。
元高校教師のハッサン・ナッセルさん(42)は、湾岸戦争直後のフセイン倒閣の反乱運動に加わったが鎮圧され、米軍に保護され、オーストラリアで市民権を得た。「私が反体制派に属しているため、祖国に残る母も兄弟も、政府の監視下にある」と言う。手紙を書く時は偽名を使い、電話もできない。「湾岸戦争では、親しい教師仲間が空爆で死んだ。フセインは静かに大統領の座を去ってほしい」と話した。 【アンマン山本紀子】
■ペルシャ湾
ペルシャ湾に展開する空母キティホーク艦内では、イラクに対するブッシュ米大統領の最後通告演説が行われた18日未明(日本時間同日午前)、夜勤の一般乗員が食堂の衛星テレビの前に集まり、演説の映像に見入った。
航空部門で電子技術を担当するジェフ・ハワード軍曹(33)は「大統領の演説は説得力があったと思う。湾岸戦争から十数年、我々は十分に待った。サダム(フセイン大統領)が去るべき時が来た」と語り、開戦に意欲を示した。一方で、記者の質問への回答を拒む兵士も少なくなかった。
艦内では天候悪化が見込まれる19日以降の攻撃開始を予想する声があり、クラスター爆弾を弾頭にセットした誘導ミサイルが飛行甲板わきに用意されるなど、実戦に向けた準備が急ピッチで進められている。【米空母キティホーク艦上(ペルシャ湾北部)井上卓弥】
■豪州
軍事行動への参加を首相が発表したオーストラリアでは18日正午、すべてのテレビ局がブッシュ米大統領の演説を生中継し、昼食時の市民が不安そうに聴き入った。会社役員のアラン・ミラードさん(65)は「豪州は政治的にも経済的にも米国に依存するところが大きい。ブッシュ大統領のやり方は乱暴だが、これまで何回もデッドラインがあった。ハッピーではないが、仕方ない結果だと思う」と話した。【シドニー堀内宏明】
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-14:44 )
小泉純一郎首相は18日、首相官邸でゴルバチョフ元ソ連大統領の表敬訪問を受けた。元大統領はブッシュ米大統領がイラクのフセイン大統領に最後通告を突き付けたことに関連し「戦争という手段は長期的な視点に立った政策とはなり得ない」と懸念を示したうえで「フセイン大統領の辞任がベストの方策だ」と述べた。首相は「まさにブッシュ大統領が演説で(フセイン大統領の)国外退去に言及した。わずかな可能性だが実現すれば武力行使は避けられる」と応じ、「戦争の可能性が強いが、今後も国際協調と日米同盟の両立に努力する」と語った。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-18:30 )
【ロンドン岸本卓也】英政府のハント保健担当政務次官は18日、政府の対イラク武力行使決定に抗議し辞意を表明した。閣僚・政務次官の辞任はクック下院院内総務(閣僚)に続いて2人目。与党・労働党内部では、国連決議を得ない武力行使に反対する動きが活発化し、閣僚や政務次官の辞任がさらに続く可能性がある。政府は同日中に下院に武力行使を承認する動議を提出するが、反対する与党議員が大量に出る事態になれば、ブレア首相の政権基盤は大きく揺らぐ。
17日にクック院内総務は下院での辞任演説で「国際社会も国内も支持していない戦争を行うことに責任を持てない」と述べた。演説後に議員の間に大きな拍手が沸き起こった。英BBC放送は「英議会史上で辞任演説が賞賛されたのは異例」と伝えた。
一方、国連決議なしに武力行使が行われた場合に辞任すると予告していたショート国際開発相は18日、当面は辞任しない意向を明らかにした。同相はブレア首相からイラクの復興支援への貢献を懇願されている。しかし、イラク市民に多大の巻き添え犠牲者が出るような事態になれば辞任するとの構えを捨てていない。
下院では最大野党の保守党が武力行使に賛成しているため、政府の動議は承認される見通しだが、与党・労働党議員410人のうち半数以上が反対に回れば、ブレア首相が政権を維持するのは困難となる。下院は2月26日に米英スペインが共同で国連に提案した武力行使容認決議案を支持したが、採決では与党議員の3分の1近い122人が反対票を投じている。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-19:50 )
【ワシントン中島哲夫】18日付の米紙ワシントン・ポストは、米国、英国、スペインが国連安保理に共同提出していた対イラク武力行使容認決議案は結局、ブルガリアを加えた4カ国の賛成しか確保できず、米英はこれを確認して決議案を取り下げたと報じた。
ブッシュ大統領をはじめ米英政府首脳は、主にフランスが拒否権行使に固執したことで「安保理は責任を果たすことに失敗した」と非難しているが、実情は米英の多数派工作の失敗だったことになる。
米英が激しい説得工作をかけた中間派6カ国の大使の一人は「これは国連創設以来、最も徹底的、驚異的な敗北だ。米国がこれほど孤立した時はなかった」と述べたと同紙は伝えている。
ブッシュ大統領は16日の英国、スペインとの首脳会談の際、17日を外交努力の最終日とすると宣言したが、同紙によると、米英政府はその数時間後に、15理事国のうち11カ国の反対は崩れず説得工作の継続は無意味だと判断。ブッシュ大統領は17日朝の米国家安全保障会議(NSC)で決議案取り下げを決めた。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-19:50 )
【ワシントン竹川正記】ホワイトハウスは17日、戦費や当面の戦後処理のための補正予算案を議会に提出する準備に本格着手した。米AP通信などによると、総額は900億ドル(約11兆円)規模に上る見通し。開戦後数日以内に正式に議会に提案する方針で、関係筋によると、21日にも大統領が発表する見通し。
補正予算案は、戦闘を「1カ月以内で終了させる」短期決戦と想定。爆撃など直接戦費のほか、イスラエルなど周辺国への支援、イラク国民への医薬品・食糧などの人道支援、当面の戦後駐留経費なども含むという。ただ「予見不可能な要素が多く、イラク戦の総費用を見積もるのは困難」(米政府筋)で、戦争が長引いたり、治安維持のための戦後の駐留が長期化したりすれば、追加補正予算の必要に迫られる可能性も強い。
[毎日新聞3月18日] ( 2003-03-18-19:26 )