331―192 | イラクの対米英損害賠償請求権考 |
スケッチ風にしか書けないが、こたびのイラク戦争の奇怪さを思えば、イラクは米英軍その他支持国に対し国家的損害賠償責任を請求できると思われる。現下国際法学者の誰かが声を挙げれば面白いのだが、今のところとんと聞こえてこない。 こたびのイラク戦争は歴史が積み上げてきた様々な合意事項に幾つも明らかに違反している。れんだいこの思いつくままの根拠はこうだ。第一に、イラクの国家的損害賠償責任請求権を失効せしめるには、少なくとも国連決議が必要だ。こたびはそれも無い。無いと言い切るのは微妙なところがあるが、少なくとも軍事法廷が開催され吟味されねばならないと思われる。 第二に、「イラクの大量破壊兵器保有」を理由に戦争が発動されたが、国際法から見てかような交戦権が認められているのだろうか。主権国の主権概念が大きく狭められることになりはしないか。こたびの戦争は、この点で大きな禍根を残したと思われる。イラクは、この問題で国連に提訴せねばならないだろう。 次に、「イラクの大量破壊兵器保有」が証明されずあるいは否定されたら、どういうことになるのか。国際法学者はその学問的良心においてこれを理論化せねばならない義務があると思う。れんだいこには、どんな御用理論が登場するのか興味がある。 次に、こたびの戦争において、米英軍の戦争遂行手法は是認されるのか問われねばならない。一方的に制空権を制した上で大量爆撃が敢行されたが、地上軍の行為も含めて数々の見せしめ行為が為され過ぎたように思われる。
第三に、第二次世界大戦後の敗戦国日・独・伊は戦後賠償をしてきたが、日本では今日なおその損害賠償対応に苦慮している。最近の「苛酷労役補償」、「従軍慰安婦補償」なぞその例である。これらは、敗戦国故にもたらされる賠償責任問題なのであろうか。戦争事態にあっても為してはならない罪ゆえのことと理解しなければ説明が付かない。とすれば、こたびのイラク戦争で例え戦勝国側とは云え、米英軍は為してはならない犯罪を起こしたのであれば償わなければならないのではなかろうか。 れんだいこが拘るのは、戦争を安易に許容してはならない、国際社会は今後の戒めとして「代価が高くつく」ことを学び取らねばならない、と思う故である。ネオコン論理による「テロリスト及びその認定国家の世界史的追放」は正義の美名に隠れたサタン論理であることを見据え、これ以上許してはならないのではなかろうか。 興味深いことに彼らは、逆の「軍事法廷や戦犯法廷(特別法廷)」の設立準備を進めているようである。「自らの強い影響下で戦犯を裁く意向」のようだが、そのあまりにも見え透いたペテン論理は、過去の極東国際軍事裁判(東京裁判)の虚構性をも炙り出しことになるだろう。その意味では、奢り高ぶり「もっと掘るがままに」任せた方が良いのかも知れない。 2003.4.23日れんだいこ拝 |