332―2 対イラク戦の秘密兵器考


米、超大型爆弾の実験成功=イラク戦での使用が狙い

 【ワシントン11日時事】米国防総省当局者は11日、米空軍が同日午後、フロリダ州のエグリン空軍基地の実験場で新型の超大型通常爆弾「大型衝撃波弾」(MOAB)の投下実験に成功したと言明した。
 米軍が現在保有している最大の通常爆弾は、重量1万5000ポンドの「デージーカッター」で、2001年末にアフガニスタンの山岳地帯で展開されたテロ組織アルカイダ追撃作戦などで使用された。
 しかし、MOABは2万1000ポンドと威力が40%も大きく、雷鳴のような巨大な爆発音が響く。原爆のきのこ雲とは異なるものの、爆発後に雲状の煙がもうもうと立ち上るという。大規模な軍隊の集結地や陣地への攻撃に適し、地下深くの標的破壊にも効果を発揮するとみられている。 (時事通信)
[3月12日11時4分更新]

通常兵器で最大の破壊力 新型10トン爆弾の実験成功−−米空軍

 【ワシントン中島哲夫】米空軍は11日、核兵器以外の通常爆弾としては最大の破壊力を持つ新型10トン爆弾の投下実験をフロリダ州の基地で初めて行い、成功したと発表した。

 この爆弾は「MOAB」または「すべての爆弾の母」と呼ばれ、衛星誘導方式で標的に可燃物を霧状に散布してから大爆発する仕組み。これまで最大で、アフガニスタン攻撃に使われた「BLU82」(通称デージー・カッター、7トン弱)より大きい。

 ラムズフェルド米国防長官はイラク攻撃で使うかどうかは明言しなかったが、「目標は(米国が率いる)連合軍の力量をはっきり示し、イラク軍の戦意をくじくことだ」などと述べ、巨大爆弾の心理的効果にも期待していることを示唆した。

 ■写真説明 11日、フロリダ州で行われた投下実験=ロイター

 (2003年3月13日毎日新聞朝刊から)

米国、対イラク戦に備えてさらに強力な劣化ウラン弾を準備?(下)
Elliot Borin

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2003年3月10日 2:00am PT  (3/12から続く)

 タングステンにはもう1つ、高価だという欠点がある。それにひきかえ、劣化ウランは非常に安い。米国内各地に設置された政府の貯蔵庫には、最新の調査によれば20万トン以上の劣化ウランが蓄えられているという。

 この増えすぎた核廃棄物を減らそうと、米国防省は、世界最大の劣化ウラン弾メーカーである米アライアント・テクシステムズ社(ATK)などの軍需メーカーに劣化ウランを無償で提供し、完成した武器を買い戻している。

 劣化ウランにもいくつか欠点がある。劣化ウランの放射能は純粋ウランの40%、半減期は45億年だ。さらに、非常に焼夷性が高く、衝撃を受けると原子炉さながらに燃え上がり、打ち込まれた弾頭の大部分は微細な放射性酸化物に変化する。この放射性酸化物が風に運ばれ、戦場から何キロも離れたところにいる一般市民が吸い込むことも考えられる。

 にもかかかわらず、国防総省と米復員軍人援護局の上層部は、劣化ウランは戦闘員にとっても非戦闘員にとっても100%無害であり、「湾岸戦争症候群」と呼ばれるいかなる症状にも関係ないと主張して譲らない。

 劣化ウランの無害性を主張するつもりで一番とんでもない発言をした政府関係者は、おそらくウィリアム・コーエン元国防長官だろう。コーエン氏はあるとき、劣化ウランは「有鉛塗料」に負けず劣らず安全だと発言したのだ。有鉛塗料は極端に毒性が高いため、1978年以降、連邦法により住宅への使用が禁じられている。

 だが、軍関係者の誰もがみな、劣化ウランの安全性を確信しているわけではない。

 1991年の初めに陸軍は、湾岸戦争中に使用された推定300トンの劣化ウラン弾が戦後に及ぼす影響を調べるため、物理学者のダグ・ロッケ氏を含めた調査チームをイラクに派遣した。1990年代半ばに、ロッケ氏は現役軍務に戻され、劣化ウラン汚染に対処するための訓練および管理方法を策定するプロジェクトの最高責任者に任命された。

 ロッケ氏は、「イラクやサウジアラビア、クウェートで戦闘中に劣化ウランを浴びた兵士」および、イラク、そして劣化ウラン兵器の実験や訓練が行なわれている米国内外の軍事施設で「劣化ウランを浴びた民間人全員について、健康調査を実施している」と話している。

 またロッケ氏によると、国防総省は湾岸戦争に先立って「かなりの危険性」を認識していたという。イラクがクウェートに侵攻する直前に、米陸軍の武器・弾薬・化学コマンドが出した報告書に、劣化ウランは「体内被曝によるガンと関係づけられる」という記述があったため、議論が起きた。

 ロッケ氏によれば、イラク入りした現地調査員が劣化ウランを使ったバンカーバスター爆弾の残骸を調べたところ、質量の40%が微細な放射性酸化物に変わり、残りの60%は被弾地域周辺に固形のまま残っていることがわかった。

 「装備の汚染物質を調べてみると、ウラン酸化物やその他の危険物質、燃えずに残った爆薬の不安定な粒子、爆発で生じた副産物などが含まれていた。体内に吸い込んだり、経口摂取したり、傷口を通して入ったりする恐れのある、ウラン以外の放射性物質も検出された」とロッケ氏。

 「重さ180グラムから4.5キログラムまで、劣化ウランで作られた貫通体の大小さまざまな破片が自分の家の裏庭に散らばっていたらどうだろう。どんな形であれ、自分の庭がウランに汚染されたままにしておきたい人がいるだろうか?」

[日本語版:矢倉美登里/鎌田真由子]

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米軍、マイクロ波パルスでイラク軍を麻痺させる「電磁波爆弾」投入か

 米軍はイラク攻撃に、21世紀の奇襲作戦として「電磁波爆弾」を使うかもしれない。イラク軍の目と耳をふさぎ、意思疎通もできなくして、反撃を不可能にするのだ。

 機密扱いになっているこの爆弾は、強力なマイクロ波パルスを発生させる。このパルスによって、コンピューターを破壊し、レーダーを麻痺させ、無線を遮断し、壊滅的な停電を引き起こし、車両や航空機のエンジンの電子点火装置を機能しなくしてしまう。

 米国バージニア州アーリントンに拠点を置くシンクタンク、 http://www.lexingtoninstitute.org/ レキシントン研究所の防衛アナリスト、ローレン・トンプソン氏は、「この爆弾は、電子機器に依存するあらゆる敵に対して有効だ」と言う。

 現代の戦争では、銃や手榴弾のような原始的なものを除いて、あらゆる兵器が電子的に制御されている。そのため、米空軍の科学者たちは10年以上にわたって、建物や人間を傷つけずに電子機器を破壊できるような、強力なマイクロ波パルスを発生させる技術に取り組んできた。

 米国防総省は公式にはこの兵器の存在を認めていない。3月5日の国防総省の記者会見で、トミー・フランクス司令官は、「その件については知らないので何も話せない」と述べた。

 しかし、軍事アナリストたちは機密扱いでないいくつかの文書から、こうした装置がすでに開発されていることがうかがえると話している。

 「国防総省内部や軍事専門誌では、電磁波爆弾が試験中だという話があちこちでささやかれている」とトンプソン氏は言う。

 エレイン・M・ウォーリング空軍大佐は2000年に、ニューメキシコ州のカートランド空軍基地の科学者たちが最大でネバダ州のフーバーダムが1日に生産する量の10倍にあたるエネルギーを放射するマイクロ波の発生装置を開発した、という報告書を発表している。

 こうした強力なマイクロ波パルスは、建物や人間に影響を及ぼさずに電子機器を麻痺させることができるため、民間人に犠牲者を出したくない場合には魅力的な兵器となる。

 テストでは、このマイクロ波パルスをシリコンチップに放射すると、回路に過大な電流が流れてチップは溶けてしまった。だが実際の戦場では、最も強力な電磁波爆弾であっても、距離が大きくなると効果は急激に減少する。電磁波爆弾の威力は機密となっているが、軍事アナリストたちは効力の及ぶ範囲をせいぜい200〜300メートルと見込んでいる。

 この程度の範囲にしか影響しないのであれば、電磁波爆弾による攻撃は、病院や孤児院などの民間施設に被害を与えずにすむ。ただし、こういったインフラが軍事目標に隣接していたりネットワークでつながっていたりすれば、話は別だ。

 「たいていの場合、電磁波爆弾はこれまでの兵器より人道的だと思う」とトンプソン氏。

 アナリストたちは、この爆弾がどれだけの効果を上げるかということも予測がつかないと話している。マイクロ波パルスによって生じる過大な電流は、付近にある軍のスーパーコンピューターに直接流れる可能性もあるが、ただ地面に流れて何の害も及ぼさないということもありうる。

 「この爆弾は標的を定めにくい。エネルギーが電線などの導電性のある物質に吸収されると、その後どこに行ってしまうかはわからない」とトンプソン氏は言う。

 こうした不確定要素が多いため、電磁波爆弾は今回のイラク攻撃では大きな役割を果たせないかもしれない、と防衛政策のシンクタンクである http://globalsecurity.org/ グローバルセキュリティーの軍事アナリスト、ピアーズ・ウッド中佐は述べている。

 「何人かの司令官は実際にこの爆弾を試せるだろう」とウッド中佐は言う。「だが、これが倉庫にいっぱいあるというわけではない」

 軍事専門家たちは、電磁波が核兵器を使わなければ破壊できないほど地中深くに作られた地下施設に到達できるかどうかを、とくに知りたがっている。電磁波爆弾によって電力が供給されなくなると、照明、セキュリティー・システム、換気装置、コンピューターを使えなくなり、地下施設は居住不能になる可能性がある。

 ウッド中佐は、最終的には他の国々も強力なマイクロ波兵器を手に入れるかもしれないと言う。ハイテクに大きく依存している米軍は、こうした兵器にはとくに弱い。米軍は強力なマイクロ波を防ぐため、近いうちにすべての軍事用電子機器を金属で覆い、あらゆる配線に高性能のブレーカーをつけざるを得なくなるだろうと、ウッド中佐は予測している。

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[3月24日18時6分更新]