332―1 | 対イラク戦の戦費、財政・経済への影響 |
【イラク戦争:戦費は5兆6640億円 米国防総省】 |
各種情報によると、イラク戦争の準備から戦闘段階を経て今までに要した軍事的費用の総額が480億ドル(約5兆6640億円)に上ることが判明した。米国国防総省の会計担当次官の概算で、2003.3.20日から5.1日までの大規模戦闘段階に投入した戦費は約50億ドル。イラク周辺への兵員、装備の移動や関係施設の設営、整備など開戦前の準備に約300億ドルかかった。旧政権残存勢力のゲリラ攻撃に苦しみ15万人近い占領軍を減らせずにいる現状では、1カ月当たり39億〜40億ドルを消費しており、9月末までの今会計年度中のイラク戦争関連軍事費の総額は580億ドル(約6兆8440億円)に達する見通し。10月以降については不確定要素が多く、試算をしていないという。 米財務省によると、03年度の財政収支の内訳は、追加減税の実施などで歳入が前年比3.8%減の1兆7823億ドルと落ち込む一方、歳出がイラク戦争に伴う国防費膨張で、同比7.2%増の2兆1565億ドルに拡大した。 03年度の赤字は米行政管理予算局(OMB)が今年7月に示した予想額(4550億ドル)は下回ったが、米国内総生産(GDP)に占める財政赤字の比率は3.5%と、93年以来、10年ぶりの高水準。イラク戦後処理の難航などで赤字増勢が止まる気配はなく、04年度はイラク関連の追加支出870億ドルも加わり、赤字額が「5000億ドルを突破する見通し」(ボルテンOMB局長)だ。 スノー財務長官は、「(減税や超低金利の刺激効果による)経済成長の加速で税収も増えるので、赤字の抑制は可能」と楽観的な見方を示し、「今後5年以内に赤字規模を半減する」と強調している。 だがイラク復興が長期にわたるのは必至で、景気回復も税収を恒常的に押し上げるような力強さには達していない。来秋の大統領選を前に大胆な歳出削減も困難な情勢で、今後、財政規律喪失への懸念の高まりが市場で長期金利の急上昇や一段のドル売り圧力を生む恐れがある。[毎日新聞2003.10.21日] |
【イラク緊迫、欧州航空業界に打撃】米デルタ航空、12%の減便発表 【シカゴ=山下真一】米大手デルタ航空は24日、12%の減便を発表した。大西洋路線はボストン―ローマ線などの就航を延期するほか、国内線は運行頻度を減らす措置をとる。太平洋路線は変更しない。減便は最低4月末まで実施する予定だが、イラク戦争の影響が長引けばさらに延長する見通し。 戦争に伴うテロ発生の不安などから出張や旅行を見合わせる動きが増えていることに対応した措置。米業界ではすでにノースウエストが12%、ユナイテッドが8%など、大手が一斉に減便を決めている。 (11:00) |
日経【ロンドン=野沢正憲】イラク情勢の緊迫が欧州の航空各社の経営に打撃を及ぼし始めた。開戦やテロに対する懸念から、主要国の航空会社の2月の座席稼働率は軒並み前年実績を下回った。原油高騰による航空燃料の値上がりも採算悪化要因となっており、各社は運賃の値上げやリストラを急いでいる。
英最大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の2月の座席稼働率は70%と前年同月比で1.6ポイント低下した。マイナス転落は昨年7月以来。運賃を払った顧客をどれだけの距離運んだかを示す有償旅客キロ(輸送実績)も同5.6%減と2カ月連続の減少となった。同社は「戦争とテロの脅威が増えるにつれ、環境は厳しくなりつつある」と説明している。KLMオランダ航空も2月の稼働率が77.2%と同2.2ポイント低下。エールフランスは同1ポイントの低下となり、特に中東・アフリカ路線は5ポイント以上落ち込んだ。原油高騰によるジェット燃料の値上がりも痛手。欧州の石油製品市場ではジェット燃料のスポット価格が2月下旬以降、1トン当たり350ドルを超え、昨年11月の約1.5倍の水準に達した。 (16:00) フィンランド航空1200人削減、イラク戦争で 【ロンドン=野沢正憲、チューリヒ=磯山友幸】フィンランド航空は24日、2003年末までに全従業員の1割強に当たる1200人を削減すると発表した。イラク戦争に伴う需要減少に対応して年間経費の約1割に相当する1億6000万ユーロ(約205億円)のコストを削減する。 英最大手のブリティッシュ・エアウェイズ(BA)も今週中にもリストラ計画を明らかにするとみられている。 一方、航空大手スイスは同日、イラク戦争で安全対策費用が急増しているとして旅客から1人12スイスフラン(約1000円)を追加徴収することを決めた。対象はスイスが運行する全便で、3月26日から実施する。 緊急のルート変更に備えて燃料を多く積むことで飛行効率が悪化することや、空港での安全対策費の増加が理由。スイスは前期に大幅な赤字を計上、今期黒字化計画も断念した。コスト増を吸収する余力はなく、料金に上乗せすることにした。国際情勢が平常に戻り次第撤廃する。 (11:00) |
【[朝日新聞]イラク戦の長期化、日本のGDP1〜3%押し下げ予測】 |
米国のイラク攻撃が日本や世界の経済に与える影響について、日米の民間調査機関が複数のシナリオを前提にした試算をまとめた。攻撃が1カ月ほどで終われば影響は限定的だが、3カ月を超えると日本の実質経済成長率は1〜3%幅押し下げられると見る。 電力中央研究所の予測では、戦乱が長期化して湾岸地域の油田などに被害が出た場合、原油価格は1バレル=45ドル程度に上昇した後、30ドル超の水準にとどまる。1ドル=107円程度まで円高が進み、日本の成長率を1%幅押し下げるという。 米戦略国際研究所(CSIS)は、中東域内の産油施設に大被害が出れば原油価格は一時的に1バレル=80ドルに達する、と予想する。中国や東アジア諸国も中東への原油依存度が高いため、日本からの輸出にも悪影響が出そうだ。 戦争が長期化すると、戦費の増大が米国の財政赤字を拡大させ、長期金利を上昇させる。UFJ総合研究所は、米長期金利が1%幅上がった場合、個人消費や住宅投資が落ち込み、米国の実質成長率は0.4%幅下がると見ている。 一方、攻撃が1カ月ほどで終わり、産油施設に大きな被害が出なければ影響は軽微との見方が大半だ。CSISは、先行き不安が取り除かれることで、米国や日本の成長率はむしろ高まると予測している。 日本政府は03年度の実質成長率を0.6%と見込んでいるが、イラク情勢次第ではマイナス成長に陥る可能性もある。 (03/18 20:01) |
【米軍:治安悪化でイラク駐留予算不足が深刻化】 |
【ワシントン和田浩明】マイヤーズ米統合参謀本部議長は21日、米下院軍事委員会で証言し、04会計年度(9月末終了)の米軍イラク駐留予算が8月いっぱいで底を尽き、少なくとも40億ドル(約4370億円)が不足するとの国防総省の推計を明らかにした。 これとは別に、治安悪化への対処で米軍2万人の駐留期間を3カ月間延長する費用が、7億ドル(765億円)に達することの見通しも示した。 駐留予算が年度内に底をつくとの見通しは、イラク各地で発生している武装勢力との戦闘や掃討作戦による大幅な経費増などを反映したものだ。軍事委で同日証言したウルフォウィッツ国防副長官によると、3カ月前の時点で毎月の駐留費用は47億ドル(約5140億円)。マイヤーズ議長は「現在省内で不足分の算定と、原資のねん出方法などを検討中だ」と述べた。 これに関連し、マクレラン大統領報道官は同日の定例会見で「現場からは予算は十分と聞いているが、(ブッシュ)大統領が言っているように、必要なら手当てする」と述べた。 イラクの駐留・復興費用などとして、米議会は昨年10月に870億ドル(約9兆5000億円)の歳出法案を可決。ブッシュ政権は追加支出の必要性に言及していたが、議会への要請は大統領選後の今年11月以降を想定している。 05年度(今年10月〜来年9月)のイラクとアフガンの駐留関連予算額については、米行政予算管理局(OMB)のボルテン局長は今年2月、最大で50億ドルとの見通しを示したが、治安状況が悪化すればさらに増大する可能性も示唆していた。 毎日新聞 2004年4月22日 10時25分 |
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=KHP&PG=STORY&NGID=main&NWID=2004050601000360
250億ドルの軍費追加要請 米大統領選前に
2004.5.4日、【ワシントン5日共同】ブッシュ米大統領は5日、イラクとアフガニスタンでの米軍の軍事活動経費を賄うため、議会に対し250億ドル(約2兆7000億円)の追加予算措置を要請した。
イラクの治安状況の悪化に伴い大規模な駐留米軍の維持が必要となったためで、大統領は250億ドルの「臨時準備基金」の設立を求めた。当初は議会や世論の批判を避けるため、秋の大統領選後の予算要請を想定していたが、方針転換を迫られた。
イラク統治だけでなく財政運営面でも政権の見通しの甘さを露呈したことになり、大統領にとって政治的に大きな痛手となりそうだ。
250億ドルは2005会計年度(04年10月−05年9月)の修正歳出案として今月中にも正式に提出される見込み。ブッシュ大統領は今回の基金とは別にイラク関連で05年度の補正予算を議会に求める方針を示しており、この場合の補正の規模は500億−750億ドルに上るとの観測が浮上している
(私論.私見)