337―1 | 小泉内閣の阿諛追従考 |
小泉首相は1980年代の中曽根登場以降主流となった政府与党タカ派系の行き着いた波止場でもある。今や、戦後我々の父母祖が営々と築いてきた反戦平和と経済的発展、国際協調路線という大枠の中での国富の発展が食い散らかされ、我等が政府官僚はもはや統治能力を喪失し、そういうこともあってアメ帝の新植民地化へ向かいつつあり、政治への失望から国民も又自嘲気味にこれを歓迎しつつあるやに見受けられる。 れんだいこは、それも良しかも知れないとも思う。しかし、アメ帝の新植民地化が甘い訳が無いとも思う。それは大和民族の解体であり、絆がズタズタにされる道のりであろう。大和民族の心を持たない種族には分からないだろうが、それは哀しいことである。思えば、かの日黒船が登場し、以来幕末の人々は世界史上に誇る賢明な道のりで危機を打開した。その後の歩みにおいて調子こいて大東亜共栄圏を構想する道に入り歴史を汚したが、それでもなお一点擁護するとすれば、日本も含めた東亜諸民族の独立を背骨にしていたことは疑い無い。日本を盟主化させた上でのご都合的なものでしかなかったとはいえ。 そして敗戦を迎え、国際情勢の僥倖に恵まれ、戦後の奇跡的復興を為し遂げた。その間国家の独立も勝ち取り、沖縄の返還にも漕ぎ着けた。その復興振りは驚異的であり、世界へ経済援助の何がしかというかそれ以上の貢献も為し得るところまで高度経済成長を達成した。その様は、諸外国から見て畏敬されるに値する「新建国神話」でもあった。 その日本が衝撃的な「ロッキード事件」に見舞われて以降、打つ手打つ手が逆目に廻り始めた。そういう風にインプットされたのかも知れない。あの時以来日本は変調に陥り、今もってその変調方向へ歩みを強めている。社会的にも御身第一保全型建前正論士がのさぼり始め、議論すれども何をなすべきかの段になるや尻込みする手合ばかりが上層部へ引き上げられていくことになった。仕事師が放逐され、必要悪が悪ゆえに弾劾され、何もせぬのが無難な処世法ばやりとなった。政治の経済の文化の難しい話を止して一言で述べれば、そういうメンタリティーが支配的になった社会へ移行したということである。 そして今迎えつつあるのが、小泉首相の下での親米ポチ化による国家主権溶解である。驚くことに、この道が日本が生き延びる最良策であると太鼓鳴らしつつの堂々たる弁明付きである。そったらことがある訳が無かろう。所詮安上がりの歴史観しか持たぬ者どもの気休めの戯言でしか無かろう。しかしいけない、自称インテリたちが口を揃えて追従している。愚の骨頂とはこういう様を云うのだろう。 経済危機の途方も無い進行を考えれば、もはやマッタ無しの極限状況に近づきつつある。我々は、我が社会を牛耳る極楽トンボ達を如何せん。これが目下喫急の政治課題になりつつある。出でよ再生左派よ!、公然登場し、国会、地方議会、街頭、職場、地域で時代を画せよ!。「あれもこれも、ええと思うことはいろいろやりなはれ。おらが一番、お前は引っ込んどれだけは云うたらあかん。共同や、そして相互に啓発や、そんなもんやで」。 以下、小泉内閣の阿諛追従劇をここに記していくことにする。頃合を見てれんだいこ風に纏め上げるつもりであるから、マスコミ各社が著作権棒を振り回さないよう望む。 2003.3.11日 れんだいこ拝 |
政府は12日、対イラク査察継続・強化などをうたった仏独露3カ国の共同宣言をけん制し、対米協調路線へと軸足を移す姿勢を鮮明にした。日本は米国がイラク攻撃に踏み切った場合「支持」表明に向け、新たな国連安保理決議を採択させたい考えだが、欧米主要国間の対立先鋭化という最悪のシナリオも視野に入れ、数の上では「劣勢」となった米英の側面支援に乗り出した格好だ。
福田康夫長官は12日の記者会見で、仏独露共同宣言に対し「イラクに誤ったメッセージを与える可能性がある。国際社会が同じ考えで対応すべきだ」と懸念を表明。川口順子外相も「意見対立があると、イラクに利用される」と、独仏露とは距離を置く姿勢を打ち出した。
国際協調を基本としてきた政府が仏独露の動きにクギを刺したのは、欧米主要国の主導権争いの構図が鮮明となり、「武力行使反対の国際世論に取り囲まれた米国に同盟国としてサインを送る必要がある」(外務省幹部)と判断したためだ。
政府は(1)国連安保理で新たな決議採択(2)イラク攻撃への支持表明――が基本戦略。このため、攻撃姿勢を強める米英には新たな安保理決議採択を求める一方、仏独露などには国際協調を重視し、対米対立が突出しないよう自制を促してきた。
米国は「安保理決議の履行を求める新決議なら歓迎する」(アーミテージ国務副長官)としているが、14日の国連安保理で「査察継続・強化」となり、仏独露が主導権を握れば、イラク攻撃回避に向け新決議が見送られる事態も想定される。
川口外相ら外務省幹部が2月に入って頻繁に小泉純一郎首相と打ち合わせを行い、「日米同盟の重要性を前面に出すべきではないか」と主張してきたのも、「国際協調重視から対米協調路線への地ならし」(外務省幹部)の側面もある。
「米英VS仏独露中の構図が決定的になれば、国際協調は意味がなくなる。日本は米国支持を鮮明にする必要がある。北朝鮮問題は米朝協議が第一で、イラク問題で日米が違う方向を向くことはあり得ない」というのが、外務省の本音だ。 【及川正也】
2003年02月15日[毎日新聞]イラク問題:日本政府、米英国連決議案を支持
政府は14日、米英が国連安全保障理事会に提出する予定の、対イラク攻撃を容認する新たな決議案を支持する方針を固め、新決議採択に向けた外交工作を始めた。イラク攻撃を待たず、新決議案提出の段階で武力行使を事実上容認することになり、攻撃時と併せて「2段階」で支持の姿勢を打ち出す方針だ。
政府は10日、ワシントンでの日米次官級戦略対話で、新たな決議採択を求めるのと併せて、決議採択への協力方針を米側に伝えており、北朝鮮の核問題を抱える日本にとって、日米同盟重視の立場を明確にする狙いもあるとみられる。
これを受け、政府は14日の国連安保理での対イラク国連査察団の追加報告後、決議の成否に向けた動きが活発化するとみて、米英を側面支援するため、イラク攻撃に慎重な非常任理事国に新決議案への同調を求める外交攻勢に乗り出した。
14日には小泉純一郎首相がチリのラゴス大統領と会談したほか、カメルーン、ギニアなどにも外交ルートを通じて新決議採択への協力を要請。また、メキシコにも15日に訪問する橋本龍太郎元首相を通じて働きかける方針だ。
政府は米国がイラク攻撃に踏み切れば、支持する方針を固めている。しかし、欧米主要国がイラク攻撃への態度を明確にする中、政府は03年度予算審議や世論への影響を考慮して態度表明を避けており、与野党内から批判が強まっていた。
新決議は、イラク攻撃容認の内容になるとみられ、新決議への支持は攻撃を支持することにつながるが、与党が攻撃支持で固まり、民主党も新決議採択を前提に攻撃容認の方針を示したことで、「政治環境は整った」(外務省幹部)と判断した。
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小泉首相は17日、米国のイラク攻撃に対して世界中で反戦運動が起きていることについて「イラクが正しいんだという誤ったメッセージを送らないよう、注意しなければならない」と述べた。今後の日本政府の対応については「早くイラクがきちんと(査察に)協力しなさいとメッセージを出す必要がある」と語った。いずれも首相官邸で記者団の質問に答えた。 |
【ニューヨーク佐藤由紀】原口幸市国連大使は18日、イラク問題に関する国連安全保障理事会の公開討論で演説し、「イラクが積極的に協力しない限り、査察継続は有効でない」として、米英が武力行使の容認を前提に作成している安保理決議への支持を表明した。公開討論は19日まで開かれ、安保理メンバー以外の約60カ国が意見表明を行うが、多くの国が平和的解決を求める中、原口大使の演説は米英との協調姿勢を明確に打ち出し、イラクには厳しい内容となった。
18日の公開討論で、査察継続の必要性を疑問視し、武力行使の可能性に触れたのは日本とオーストラリアだけ。イラクの協力ぶりを強く批判したクウェートを除けば、大多数が平和的解決を強調した。
原口大使は演説で、まず、イラクの大量破壊兵器の保有・拡散は「国際平和と安全に対する脅威であり、国際社会全体の問題だ」と指摘。「査察を継続・強化しても、イラクの消極的な協力姿勢が根本的に改善されない限り、大量破壊兵器の廃棄に結びつかず、査察継続の有効性は極めて疑問だ」と語った。
続いて、「安保理が結束して行動できなければ、国連の信頼性を傷つけ、イラクに間違ったメッセージを送る」と述べ、フランスやロシアを暗に批判したうえで、「国際社会の断固とした姿勢を明確な形で示す新たな安保理決議の採択が望ましい」と強調した。
オーストラリアは、イラクの非協力的な姿勢は国連決議の「重大な違反」に当たると明言したうえで、「イラクに義務を果たさせるよう、安保理は決定的な行動を起こすべきだ」として、武力行使の可能性を示唆した。
一方、イラクとの8年間の戦争を経験したイランは、イラクの大量破壊兵器の廃棄を訴えると同時に、性急な戦争に走るべきでない、と米国を批判した。
◆原口幸市国連大使の演説の骨子は次の通り。
・イラクの大量破壊兵器への対応は不十分
・問題の平和的解決はイラクの対応次第
・国際社会は団結してイラクに圧力を
・イラクの対応が変わらねば査察継続は疑問
・日本は新たな安保理決議の採択を望む
◆原口幸市国連大使が国連安保理で18日行った演説の要旨は次の通り。
イラクの大量破壊兵器問題は国際社会の平和と安全に対する脅威である。イラクは12年間、安保理決議を履行せず、国連の権威に挑戦している。日本は問題の平和的解決のため、イラクが能動的に疑惑を解消し、全ての安保理決議を履行するよう外交努力する。
問題の平和的解決が可能か否かはイラクの対応にかかっている。イラクの申告書は完全かつ正確な内容を含んでおらず、査察に対してもイラクは完全かつ自発的な協力はしていない。
世界各国で戦争反対の声が強く表明されていることは承知しており、日本は平和的解決の気持ちを共有している。しかし、問題の根本は、イラクが現在の態度を抜本的に改め、即時に積極的かつ無条件の査察に協力し、大量破壊兵器を破棄するかどうかだ。単に査察を継続・強化しても、これまでのイラクによる消極的な協力姿勢が抜本的に改められない限り、大量破壊兵器の廃棄に結びつかず、査察の継続の有効性に疑問が生じていることは否めない。
最も重要なことは、国際社会が今後も一致団結した行動をとり、イラクに圧力をかけることである。安保理が結束して行動できなければ、国連の信頼性を傷つけ、イラクに対して間違ったメッセージを送ることになる。
日本政府は、国際協調を重視し、国際社会の断固たる決意を明確な形で示す新たな安保理決議の採択が望ましいと考えている。イラクに残された時間は限られている。
日本政府は18日、イラク攻撃を念頭に置いた新たな決議採択を安保理に促したことで、国際社会に向かって事実上、「米国支持」を鮮明にさせた。査察継続にも疑問を呈し、日本としてのイラクへの「最後通告」の意味合いがある。
日本は米国が攻撃に踏み切れば「支持」する方針だが、国連安保理で演説した原口幸市国連大使は「武力行使」の是非には言及しなかった。国内世論への配慮と同時に、「イラク悪玉論」を浮き彫りにすることに重点を置いたためだ。
しかし、演説の全体とたどれば、「平和的解決」より、軍事的圧力をかけることでイラクに「最後のチャンス」を与え、イラクがこれに応じなければ査察継続は無意味で、武力行使はやむを得ない、との米英サイドの立場を明確にした。
問題の根本は「イラクが態度を抜本的に改める」ことであり、そうでなければ「査察継続の有効性は疑問」と断じ、査察継続を求めて米英と対立する仏独露などと一線を画し、新決議採択を安保理に促して「日米同盟」路線を強調した。
ただ、イラク攻撃是非をめぐる舌戦は、大勢が平和的解決を主張し、日本は国際社会で突出する形となった。これを機に「米支持」方針が国内世論にどう影響を与えるか。野党は平和的解決を求める構えを強めており、政府が苦しい立場に追い込まれることも予想される。 【及川正也】
政府は19日、イラク攻撃があった場合の難民支援と周辺国支援のため、数億ドル規模を拠出する方向で調整を始めた。米国や国連の資金拠出要請に応じた措置。外務省は総額で4億ドル超を視野に入れており、攻撃開始直後に包括支援策として表明する。戦後復興も併せた非軍事的貢献で、日本の姿勢を国際社会にアピールする構えだ。また、中東諸国はイラク攻撃に反対・慎重姿勢をとっており、米英寄りの姿勢を鮮明にする日本への感情悪化を緩和する狙いもある。
国連は昨年12月と今月13日、イラク攻撃があった場合に備えた緊急人道援助計画に基づき、食糧不足やインフラ破壊により国内避難民が200万人、周辺国への難民流出が60万〜145万人に上ると想定。総計約1億2000万ドルの拠出を国連安保理メンバーに非公式に要請した。実際に攻撃が始まれば、さらに巨額の人道支援資金が必要になるとみられる。
こうした難民救済など人道的支援について外務省はすでに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)やNGO(非政府組織)を通じた資金援助の方針を、米国や国連に伝えている。とくに、難民の大量流入が見込まれるシリアとヨルダンに重点を置く方向だ。
01年の対テロ攻撃に伴うアフガニスタンへの人道支援では約1億ドルを拠出したが、「人口が密集しているイラクへの攻撃は被害も大きく、国連の予測を上回る難民流出が予想される」(外務省幹部)とみて「1億ドル超」を想定している。
また、周辺国支援は、石油供給停止など経済活動に対する影響が出た国に無償資金協力をする。対象国は、ヨルダン、シリア、エジプト、イエメン、パレスチナの4カ国1地域。アフガン攻撃時にパキスタンに周辺国支援として3億ドルを出していることから、同規模の支援を検討中だ。
外務省筋は「戦後の復興支援資金も加われば相当な規模になる」と語っている。外務省は国内の厳しい財政事情を踏まえ、首相官邸と協議したうえで、最終的な総額を確定させる考えだ。
イラク攻撃想定に伴い米は1月、日本に戦費負担を求めない意向を非公式に伝えている。 【高安厚至】
「パスカルの言葉がある。大義なき力は暴力である、と」――。昨年2月18日、小泉純一郎首相は来日したブッシュ米大統領に直言した。
直前の一般教書演説でイラク、イラン、北朝鮮を名指ししたブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言が物議を醸していたさなかの初来日。大統領は首相に「すべての選択肢をテーブルに載せている」とイラク攻撃を念頭に置いていることを示唆したが、首相はあえて自分の言葉で、国際社会の理解と支持のないイラク攻撃にクギを刺した。この発言は、周囲の日本政府関係者も驚かせた。
17世紀のフランスの科学者・思想家のパスカルは、自著「パンセ」の中で「力なき正義は無力であり、正義なき力は暴力である」と記している。「首相はこれをアレンジして大統領に自制を促したようだ」と、ある外務省関係者は言う。
7カ月後の9月12日。米国同時多発テロ1年を迎えたニューヨークで大統領に再会した首相は、「もう我慢の限界だ」とイラク攻撃にはやる大統領に「大義」を重ねて求め、「耐え難きを耐えるのも大事だ」と付け加えた。「2月よりもっと強い調子で大統領に戦争回避の努力を訴えた」(外務省筋)という。
「パンセ」の引用から1年。単独攻撃も辞さない米国への対応をめぐって国際社会は分裂し、日本は米国の武力行使「支持」へと傾いた。日本にとっての「大義」は見えてきたのか――。
昨年11月。国連はイラクに「無条件・無制限査察」を迫る安保理決議を採択し、米国のイラク攻撃に一定の歯止めをかけた。「米国の若者が死ぬのはブッシュ政権にとって得策ではない。我々はそう思い、いちるの望みを持った」。外務省筋はこう振り返る。
首相にとって、大義とは「国際協調」、すなわち国連のお墨付きを意味した。米国が単独攻撃に踏み切れば、日本の世論の反発も強まる。
しかし、今年1月28日の一般教書演説で大統領はイラクを「無法者の政権」と呼び、攻撃的トーンを一段と強めた。国際協調を犠牲にしてでも実力でフセイン政権を排除する、という米国の断固たる意思を感じ取った日本政府は、せめて新決議採択をと米国に要求する一方、「(新決議がなくとも)開戦は避けられないとハラを固めた」(外務省幹部)。
こうした中、湾岸戦争や米同時多発テロとは違って「切迫した危機」が見えにくいにもかかわらず、イラク攻撃への構えをとり続ける米国への反発から、世界で反戦運動が起きた。国際社会では「米英対仏独露」の対立が激しくなった。
2月22日。パウエル米国務長官を迎えた首相は会談冒頭から約20分間、熱弁をふるった。
「(今回は)米同時多発テロとは状況が違う。だからこそ国際協調が大事だ。最後まで忍耐強くやってほしい」。新決議のないまま米国が武力行使に踏み切れば、支持する「大義」が一層見えなくなる――。そんな苦悩がにじんでいた。
米国の開戦決意を変えられないなら、イラク攻撃の「大義」に代わる攻撃支持の名分をどこに見いだすか。浮上してきたのが、北朝鮮の核開発をめぐる脅威だった。
「東アジアには北朝鮮の問題があり、日本は欧州とは違う国益がある。イラクに対して国際社会が一致して対応できないと北朝鮮にも間違ったメッセージを送る」
2月19日、シラク仏大統領と電話協議した小泉首相はこう言った。冷戦が終わった欧州と、朝鮮半島という冷戦の残滓(ざんし)が近くにある日本は違う。イラク問題で国際社会が足並みを乱せば、北朝鮮はそれにつけ込んで瀬戸際外交をさらにエスカレートさせかねない――。首相は親日家のシラク大統領にこう訴え、「イラク問題での日本の立脚点は日米同盟」という立場を鮮明にさせた。
国際社会はもはや米国を支えることでしか結束維持はできない、というのが政府の結論だった。「大義」という名の国際社会の支持と理解は、いつのまにか、イラクの次に控える北朝鮮への抑止効果としての側面にすり替わっていった。
だが、パスカルを引用して「大義」を米国に説き、北朝鮮の脅威を仏に伝えたリーダーの率直な肉声は、国民には明確に響いてこない。川口順子外相は、国民との直接対話の場の1日のタウンミーティング(神奈川県横須賀市)でも「(武力行使への賛否を)今、言うことはできないし正しくない」と言った。
戦後、日本は日米安保条約に基づき、日米同盟を基軸に国の安全を確保してきた。しかし、同盟を重視して「米支持」を打ち出す政府と各種調査が示す国民の8割がイラク攻撃反対という世論との開きは大きい。
ある外務官僚は冗談めかして「日米関係を良くしよう、と取り組んできた人間は20人くらいしかいない。そのうち半分は外務官僚だ」と漏らす。日米安保体制とは一握りの外交当局者が危機管理してきた「密教の世界」(元外交官)だ。「米国についていくしかない」という政府当局者の論理と一般国民の実感、いわば草の根の「同盟意識」との溝が、イラク攻撃への日本政府の対応をめぐり噴出した形だ。
米国の同盟国カナダは先月25日、安保理の歩み寄りを狙って、武力行使の可否を「3月末」に設定する調停案を安保理構成国に打診した。中東地域に原油の88%を依存する日本も、国益を踏まえた独自のアプローチはできないのか。ある外務官僚は「カナダのような行動は日本にはできない」と語った。「金縛りの日米同盟」なのだ。
加藤朗・桜美林大学国際学部教授(国際安全保障論)は「イラク問題で日本は日米安保に軸足を置き、戦後復興資金を負担する従来の『カネで済ます外交』を続けようとしているが、中長期的に見れば、日米安保に代わる安保構想を自力で構築できるかが必ず問われるだろう」と話す。
「北朝鮮の脅威があるから米国のイラク攻撃を支持するなら、北朝鮮問題がある限り、日本は米追随から脱却できない」(外務省幹部)。イラクと北朝鮮の危機は、日本の安保論議の限界を浮き彫りにしている。 【及川正也、白戸圭一】
2003.03/02[朝日新聞]「新決議ないイラク攻撃でも米支持」自民・麻生政調会長 |
自民党の麻生太郎政調会長は2日、NHKの報道番組で、新たな国連安保理決議なしで米国がイラク攻撃に踏み切った場合の対応について「国連は日本を守ってくれない。日米安全保障条約が大きな要素を占める。支持という形でも、理解という形でもいいと思う」と述べ、日米同盟関係を重視する立場から米国を支持する考えを示した。
一方、公明党の北側一雄政調会長は同じ番組で、「国際社会が一致結束できるようにすることが極めて大事だ。そのあとのことを議論する状況ではない」と述べるにとどめた。同党はこれまで「新たな決議なしでは反対する」(冬柴鉄三幹事長)との立場だったが、与党内の足並みをそろえることを優先したものとみられる。( 20:47) |
小泉純一郎首相特使としてイラク入りした茂木敏充副外相とアジズ副首相の会談が不調に終わった4日、川口順子外相は「日本として言うべきことは伝えた」と述べ、これが日本としての「最後通告」であることを強調した。イラク特使派遣にはイラク攻撃容認に向けた節目とする狙いがにじみ、同時に派遣した周辺国特使は「戦後」をにらんだ布石、という日本の戦術が浮き上がる。
米国がイラク攻撃の姿勢を強めた2月初旬、首相官邸では安倍晋三官房副長官をイラクに特使として派遣する案が模索された。安倍氏は83年、イラン・イラク戦争で仲介外交を演じた父晋太郎外相秘書官としてイラクを訪問、フセイン大統領とも面識がある。しかし外務省は「イラクに利用される」と拒み、「安倍特使」は幻と消えた。
1カ月後。今度は外務省が動き、茂木副外相を小泉純一郎首相特使としてイラクに送った。3日のアジズ副首相との会談は2時間に及ぶ「武装解除」談判だったが、「米国の狙いは石油支配だ」と突っぱねられた。
特使派遣は2月24日、川口外相と外務省幹部の協議で決まった。同時にイラク周辺国への派遣も決め、米国の了解も取った。ある外務官僚は方針転換を「我々の予想を越えたさまざまな動きが起きたから」と話す。
2月5日のパウエル米国務長官の国連演説前、外務省は「パウエル証言で米英支持の流れが決まる」と読んでいた。しかし、パウエル長官の新証拠提示は効果を上げず、「米英対仏独露」の対決構図は深刻になった。外務省の誤算だった。
さらに、中東諸国にある日本の大使館や領事館から「イラク攻撃反対の世論が高い」との電報が次々に入った。中東勤務が長い外務省幹部は「日米同盟も大事だが、エネルギー安保の生命線の中東外交は死活問題」と危機感を露わにした。
日本は第1次石油ショック(73年)で、原油安定確保のため第3次中東戦争占領地からイスラエルの撤退を求める政府談話を発表した。以来、オマーン、サウジアラビアやシリアなどの最大の政府開発援助(ODA)供与国となり、独自の中東外交の礎を築いた。
今回のイラク対応で日本が「国際協調=新決議採択」を求めてきたのは表向き、日米同盟に基づき攻撃支持の「大義」を得て国民への説得材料とする狙いがあるが、裏には中東諸国に「顔向けできる状態」(同省筋)を作る思惑もあった。「イラク派遣はダメもとだ。むしろ重要な舞台装置は周辺国派遣だ」。外務省幹部はこう明かす。
イラクへの特使派遣が「米支持」への口実作りなら、周辺国派遣は戦後復興支援で中東安定化に参画する布石――。ちぐはぐに見える土壇場の特使外交は、対米、対中東という「二正面外交」を両立させる苦肉の策ということができよう。【白戸圭一】
小泉純一郎首相は6日の参院予算委員会で、米国などが国連安保理に提出した新決議案について「イラクのフセイン大統領に、本気で査察に協力しない限りは場合によっては戦争に入らざるを得ないという自覚を促すものだ」と述べ、武力行使を容認する意味も含めて決議案を支持する姿勢を強調した。
また、川口順子外相は「仏独露が武力行使をしてはいけないと言ったことがいかにイラクに間違ったメッセージを送っているか」と決議反対を宣言した3国を批判した。いずれも筆坂秀世氏(共産)の質問に答えた。
政府は8日、米国のイラク攻撃に対する貢献策の一環として、テロ対策支援法に基づき海上自衛隊がインド洋周辺で実施中の米艦艇などへの給油量を、大幅に積み増す検討を始めた。すでに、2月末の閣議で給油対象国を米英2カ国から仏、独、ニュージーランドも加えた5カ国に拡大することを決定。米側へも非公式に「燃料補給の増強は可能」と伝えている。自衛隊派遣はアフガニスタンでの対テロ活動支援のためだが、イラク攻撃に兵力を集中する米軍などの負担を軽減し「間接支援」するのが狙いだ。
米国はインド洋周辺への自衛隊派遣を高く評価。昨秋、対テロ活動の中心が地上でのテロリスト掃討から海上での逃亡阻止に移り、自衛隊の洋上補給が作戦全体に占める貢献度は高まっている。
海上作戦には現在、12カ国約50隻が参加。作戦の拡充に伴い日本の補給対象国を増やす割り当ても決められた。ただし、仏などへの補給量はあまり多くはなく、海自が補給する主要な対象はあくまでイラク攻撃の中心となる米英両国だ。
給油が始まった01年12月以降、米英両国に無償供与した燃料の総量は1年3カ月間で28万キロリットル、約106億円相当。米艦166回、英艦11回の計177回に上る。3日に1回のペースで補給してきた計算で、「米英の使用量の約4割を日本が負担している」(防衛庁幹部)という。イラク攻撃開始後はこの割合を増やし、少なくとも半分以上を日本の負担とする方向で検討している。
政府は01年度に予備費で173億円を用意したが、使ったのは91億円(うち提供燃料費は41億円)で、余力を残した。02年度は計166億円(2月までの提供燃料費は64億円)を計上している。 【伊藤智永】
◇テロ対策支援法
01年9月の米同時多発テロの脅威と戦う米軍などの活動を支援するための法律。自衛隊の活動範囲は、日本の領域▽公海とその上空▽相手国の同意がある場合の外国領域――で、戦闘行為が行われない地域における後方支援に限定。他国部隊に対する燃料や食料などの輸送や補給、傷病兵への医療活動、捜索救助活動、被災民救援活動などを行う。
[毎日新聞3月9日] ( 2003-03-09-03:01 )
【高安厚至、白戸圭一】
■崩れた勝算
「米国が新決議なしの攻撃に踏み切っても、日本は支持するという決意表明だ」。8日の川口順子外相の談話に、17日を大量破壊兵器廃棄の期限とする決議修正案を「支持する」と明記したことについて、外務省幹部はこう強調した。
外務省は8日午前、竹内行夫事務次官が関係局長ら幹部を緊急招集し、外相談話の文案を検討した。従来の米英決議案への支持に加え、修正案への「支持」も打ち出すことで一致。その後、首相官邸に持ち込み、官邸サイドも了解した。
政府はこれまで、攻撃反対の世論を説得したり原油を依存する中東諸国への配慮を示すため、攻撃支持の「大義」をはっきりさせようと、「国際協調イコール新決議採択」を米に求めてきた。この背景には「仏露は最後は米国と妥協し、決議は採択される」との「勝算」があった。
ところが仏露の対米姿勢は予想以上に固く、その後の反戦世論も大きな「誤算」だった。「北朝鮮問題がどうこうという前に、覚悟を決めて同盟の船に乗らなければ、同盟と国際協調の間で股裂きとなる」(外務省筋)という状況に追い込まれた格好になった。
91年の湾岸戦争は、武力行使支持が「日米同盟」と「国際協調」の二つを両立させる道だった。今回、いずれか一方を選ぶという「踏み絵」を踏まされた日本。外務省幹部の一人は「決議案採択後に日本が支持するというのでは『あんた誰だ』と言われる」と日米同盟重視を鮮明にする。だが、省内には「イラク攻撃は中東の不安定化要因になる」として「米追従」を疑問視する声もある。
■「大義」弱まり
決議抜きのイラク攻撃も覚悟――。政府にとって最悪のシナリオは現実味を帯びてきた。国際協調のシンボルである国連の後ろ盾を失ったままの「開戦」に備え、どういう論理立てで「攻撃支持」を打ち出すか、外務省は神経をとがらせ始めている。
小泉純一郎首相はこれまで、イラク攻撃支持の根拠を「国際協調」「日米同盟」の2本柱に求めてきた。「決議なし」では、攻撃支持の論拠が一気に弱まるのは避けられず、「日米同盟」だけで世論や国際社会を説得する困難を強いられるからだった。
このため首相は、日露戦争後の日比谷焼き討ちや60年の日米安保反対デモまで引き合いに出し、「世論に従って政治をすると間違う場合もある」(6日の参院予算委)と正面突破の構えもみせてきた。しかし、国民を説得する手だては見当たらないのが実情だ。
外務省が検討しているのは(1)国際社会の平和と安全に責任を持つ国連安保理が最終判断しなかった(2)日本は茂木敏充副外相のイラク派遣の結果、イラクは大量破壊兵器破棄の意思がないと判断した(3)攻撃は米英単独ではなく、「国際社会対イラク」は保たれている(4)大量破壊兵器は日本自身の問題であり国際社会の一員として協力が必要――というものだが、苦しい論法にも映る。
しかも、これに成算があるわけではない。政府はパウエル米国務長官の「新証拠開示」を機に2月6日以降、早々と攻撃容認決議支持を表明したが、逆に国際社会では突出した。「これが世論の反発の一因になった」(自民党幹部)との見方もあり、世論対策の立て直しは容易ではない。
米英が攻撃を強行すれば、開戦後の対応にも影響する。「戦後」の支援策の柱に据えたい復興支援新法の国会提出を困難視する声も聞かれる。北朝鮮の緊迫化もにらんで、今国会での成立を目指す有事関連法案もおぼつかなくなる。ある自民党幹部は「新決議なしの支持は、日本が、単独行動主義を強める米国の戦争に加担していると見られる」と話した。
[毎日新聞3月9日] ( 2003-03-09-00:11 )
川口順子外相は8日午後、米英などが国連安保理に提出した修正決議案について「国際協調を貫き、国際社会が一致してイラクに対し圧力をかけ、イラクが自ら武装解除するための最後の努力を行うものとして、これを支持する。また、わが国としては国際協調が達成されるよう引き続き外交努力を行っていく」とする談話を発表した。
[毎日新聞3月8日] ( 2003-03-08-14:17 )
[朝日新聞]小泉首相が仏外相皮肉る 「舞い上がっている」
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「ちょっと舞い上がっているようだね」。小泉首相は11日の与党3党首会談で、イラク問題で査察継続を訴えて米英と対立するフランスのドビルパン外相を皮肉った。イラク問題の影響もあり支持率が下落気味の首相のあてこすりだったのか。 出席者によると、首相は、イラク問題を協議する中で外相について「彼は国内で人気が80%らしいね。僕は80%でも、あそこまで舞い上がらなかったけど」と話した。 米英のイラク攻撃を支持すれば、内閣支持率はさらに10%下がると言われている首相だけに、気にかかるのは「評判」らしい。公明党の神崎代表が「イラクがなぜ悪いのか具体的な説明が必要だ」と指摘した際も、首相は「そうだよな。フセイン(イラク大統領)よりブッシュ(米大統領)の方が悪いという恐ろしい雰囲気がある」。 (03/12 09:10) |
[朝日新聞]「まとめる努力を」 福田長官が仏大統領批判
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福田官房長官は12日午前の記者会見で、イラク問題でフランスのシラク大統領が英米などの国連安保理決議案に拒否権を行使する姿勢を示していることについて「拒否権と言う前に、まとめる努力をしてほしい。国連の権威を傷つけないよう努力してほしい」と述べ、フランスの姿勢を批判した。
また、福田氏は、安保理で中間派の6カ国が武装解除の期限を45日間延長する再修正案を示したことについて「イラクが本当に査察に協力するのかどうかということもある。(期限が)ズルズルずれてしまうことはよくない」と否定的な見解を示した。 (03/12 13:03) |
【ワシントン佐藤千矢子】ホワイトハウスのフライシャー大統領報道官は10日の会見で、小泉純一郎首相とブッシュ大統領の同日の電話協議に触れ「大統領は修正決議案に対する首相の支持と、イラクの武装解除のため他の諸国とともに最大限の圧力をかけようとする日本の努力に感謝した」と述べ、米英スペインが国連安全保障理事会に提出したイラク攻撃容認の修正決議案への日本の支持と多数派工作努力にブッシュ大統領が深く感謝していることを強調した。
また北朝鮮の核兵器開発計画について「両首脳は国際社会全体に対する脅威であり、解決のため日米韓の緊密な連携を維持しながら国際的な取り組みを続けることで合意した」と説明した。
[毎日新聞3月11日] ( 2003-03-11-13:25 )
安倍晋三官房副長官は15日、札幌市内などで講演し、イラク問題をめぐる国連安保理の協議が不調に終わった場合の対応について「日本の抑止力は、自衛隊と米軍で完全になる。同盟関係は助け合いだ。日本はイラクに攻撃はしないが、米国にどういう立場を示すかが問われる。日米同盟を考慮するのは当然だ」と述べ、米国などが新決議なしで武力行使に踏み切った場合でも支持するとの姿勢を示した。そのうえで安倍氏は「その時が来れば、小泉純一郎首相が国民にしっかりと誠意をもって説明する」と語った。 【中澤雄大】
[毎日新聞3月15日] ( 2003-03-15-19:31 )
政府は15日、新たな国連安保理決議がないまま米国がイラク攻撃に踏み切った場合、過去のイラク関連諸決議を武力行使「支持」の根拠とする方針を最終的に固めた。開戦時に発表する小泉純一郎首相談話に盛り込む。米国が決議なしの攻撃に言及し始めたことから、湾岸戦争時の武力行使容認決議など従来のイラク関連3決議でも開戦は正当化されるとの論拠も準備し対応する。ただ、政府は新決議が必要との立場を再三明確にしてきており、過去の決議を根拠にした支持表明の是非は論議となりそうだ。
政府は開戦時に首相が発表する談話について、新決議の有無によって2通りの文案を準備。新決議があればそれを支持の根拠とする方針だが、決議なしの場合でも支持する方針を田中均外務審議官や山崎拓自民党幹事長らが明言している。
その際、政府が念頭に置くのは(1)武力行使容認決議(678決議、90年11月)(2)湾岸戦争停戦決議(687決議、91年4月)(3)イラクの武装解除に「最後の機会」を与えた決議(1441決議、昨年11月)。(1)と(2)は98年12月、米英が査察協力拒否を理由にイラクを空爆した時、政府の支持表明の根拠となった。
政府は日米同盟を重視し、米国のイラク攻撃を支持する方針だが、その際も新決議採択を「非常に望ましい」(川口順子外相)としてきた。新決議で安保理が結束しなければ「国際協調」と「日米同盟」の両立が困難になり、世論の強い反発が予想されるためだ。
だが、新決議なしで開戦の可能性も出てきたため、過去の決議でも武力行使は容認されるとの構えもとる。国連決議違反を前面に出すことで、日米同盟一辺倒との印象を薄める狙いもある。
新決議なしの武力行使は国連憲章違反との指摘もあるが、首相は14日、記者団に「米国は1441決議で十分だ(と言っている)。どう国連決議を解釈するか国によって違う」と述べ、必ずしも違反にはあたらないという見解を強調した。
[毎日新聞3月16日] ( 2003-03-16-03:01 )
小泉純一郎首相は17日昼、米国が同日で安保理協議を打ち切ると決めたことについて「(米を)支持している。すでに前から支持している。今までの国連決議で(武力行使は)可能だと思う」と述べた。また「国連も真剣に受け止めるべきだ。国連の権威が問われている」と、国際社会が一致して対応する必要性を強調。さらに「イラクが真剣、深刻に受け止めるべきだ。戦争か平和か、イラクにかかっている」とも述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-13:16 )
米英が国連安保理決議なしで開戦に踏み切る可能性が出てきたことについて川口順子外相は17日午前、首相官邸で記者団に「(そうなるかどうかは)まさに安保理の最後の外交努力によるのではないか」と、17日の安保理の議論を見守る考えを示した。これに先立ち、外相は福田康夫官房長官と首相官邸でイラク情勢について協議した。
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-12:16 )
外務省は16日、局再編を柱とする組織・機構改革で、現在の領事移住部を格上げして「領事局」を新設する方針を固めた。また、国際情報局を廃止し、地域局の情報・分析部門を掌握する「情報統括官」を新設する方向で最終調整に入った。局から部への格下げも取りざたされた条約局は現状を維持する方向。25日にもまとめる最終報告に盛り込む方針。
中央省庁改革関連法で官房・局数は11と定められており、同省は「2局新設・2局廃止」を軸に調整してきた。
昨年12月の中間報告で検討課題とされた領事移住部の格上げは、米同時多発テロに代表される国際テロなど邦人保護や危機管理機能の重要性が増したことや、「在外邦人は貴重な情報源」との考え方から、領事局新設が最終的に固まった。
一方、中間報告で「再編・改組を含めた抜本的見直し」を指摘された国際情報局は、「縦割りから水平的な組織」に再編させ、廃止して地域局に機能分散させる方向。情報統括官を新設し、総合的な情報構築機能を強化、政策立案に生かす。
また、外交政策の柱に掲げる「平和の定着」や「人間の安全保障」の実施態勢強化に向け、国際社会協力部を「国際協力局」に格上げする一方、中南米局を北米局に統合し「米州局」とする方向で検討が進んでいる。 【及川正也、高安厚至】
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-03:01 )
自民党の青木幹雄参院幹事長は16日のNHKの番組で、米国がイラク攻撃に踏み切った場合の日本の対応について「イラクが大量破壊兵器を廃棄する約束を守っていないという前提で議論すべきであり、日本は北朝鮮問題を一切考えないで米国との関係を論じることはできない」と述べた。北朝鮮への対応などを考慮して米国支持を打ち出すべきだとの考えを示したものだ。
一方、与党内で小泉純一郎首相に経済政策の転換を要求する声が強まっていることに関して、「非常に危機的な経済状況で、時間もない。首相は王道を歩むと言うが、大胆かつ柔軟にやる時期ではないか」と述べ、財政出動などの政策転換を強く求めた。与党内で高まる竹中平蔵金融・経済財政担当相の更迭論については「これからの結果を見て、いろいろ首相が考えるだろう」と含みを持たせた。 【犬飼直幸】
[毎日新聞3月16日] ( 2003-03-16-19:27 )
川口順子外相は19日午前の衆院外務委員会で、仏が米英による対イラク武力行使に反対していることについて「言い続けることは簡単だが、(米国が)ソリューション(解決策)であることに自信を持っている仏は甘えているとも言える」と述べ、仏の対応を厳しく批判した。
これに関連して外相は「あるフランス人がこう言った。『米国はプロブレム(問題)だが米国しか背負えない』。米国がソリューションであり続けるよう一緒にやっていることが重要だ」と強調し、米国との同盟関係を最重視していく考えを改めて示した。伊藤英成氏(民主)の質問に答えた。
[毎日新聞3月19日] ( 2003-03-19-11:59 )
小泉純一郎首相は19日の参院本会議で、新たな国連決議なしのイラク攻撃について「イラクに対する武力行使は国連憲章に合致する」と述べた。首相は、ブッシュ米大統領が過去の国連決議のもとで武力行使によるイラクの大量破壊兵器の廃棄権限を与えられていると述べたことを取り上げ、国連憲章違反に当たらないとの見解を初めて示した。さらに首相は国連決議なしの対イラク攻撃支持を改めて表明。世論の反発が強いことに対しては「大多数の理解を得にくい問題であっても、政治家として進めなければならない政策は決然として進めなければならないときもある」と述べた。
小泉首相は19日昼、ブッシュ大統領が戦争回避の条件として突きつけた亡命をフセイン・イラク大統領が拒否したことについて「判断を誤ったと思いますね」と記者団に述べ、フセイン大統領の対応を批判した。
[毎日新聞3月19日] ( 2003-03-19-13:10 )
小泉純一郎首相は20日午後3時半、衆院本会議で米英のイラク攻撃開始に対する政府の対処方針について報告した。米国の武力行使開始への支持を改めて表明するとともに、人道支援や難民支援、復興支援に向け、安全保障会議(議長・小泉首相)やテロ対策強化や在留邦人保護などの「緊急対応措置」を決定。全閣僚が参加する「緊急対策本部」(小泉本部長)を設置し、安全対策や経済混乱回避に努めることを報告した。
首相は、「平和的解決の機会が与えられながら、大量破壊兵器の破棄に協力せず、米国が武力行使に至ったのはやむを得ない」とし、国内の警備、航行船舶の安全確保、原油の安定供給や為替安定などの経済的混乱の回避、自衛隊機による物資輸送などの人道支援に積極的に取り組むことを表明した。
[毎日新聞3月20日] ( 2003-03-20-16:08 )
外務省は20日、米英のイラク攻撃開始を受け全大使館・領事館に対し、(1)在留邦人に対する迅速な注意喚起(2)邦人がテロなどに巻き込まれた場合の安否確認(3)テロなどの情報の迅速な報告(4)大使館や領事館、日本人学校の警備強化――を緊急に指示した。
[毎日新聞3月20日] ( 2003-03-20-18:19 )
政府が20日午後発表した小泉純一郎首相の談話の要旨は次の通り。
我が国は一貫してイラクの大量破壊兵器問題について、国際協調のもと平和的解決を目指し独自の外交努力を続けてきた。しかしイラクは12年間にわたり、17本の国連安保理決議に違反し続けた。国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後の最後まで国際社会の努力に応えようとしなかった。
このような認識のもと、我が国自身の国益を踏まえ、かつ国際社会の責任ある一員として、我が国の同盟国である米国をはじめとする国々によるこの度のイラクに対する武力行使を支持する。
戦闘が国際社会へのイラクの脅威を取り除く形で終結することを望む。イラクが一日も早く再建されるよう国際社会の復旧・復興支援が重要だ。イラク及び周辺地域の平和と安定の回復が日本にも重要だとの認識から積極的に対応する。
政府は、的確な情報把握と国民に対する十分な情報提供に努める。
1 緊急対処方針
イラクとその周辺の邦人の安全確保▽国内重要施設、在日米軍施設などの警戒態勢の強化・徹底▽船舶の航行安全確保▽原油の安定供給など世界と日本の経済システムの混乱回避措置を講じる▽被災民支援と、国連平和維持活動(PKO)協力法での周辺国への緊急人道支援の実施。
2 今後の検討項目
武力行使によるイラク周辺地域の経済的影響を緩和するための支援▽イラクでの大量破壊兵器・遺棄機雷等の処理、復旧・復興支援や人道支援等のための所要の措置。
3 アフガニスタンなどでテロとの闘いを続ける諸外国の軍隊等への、テロ対策支援法に基づく支援の継続・強化。
[毎日新聞3月20日] ( 2003-03-20-18:43 )
[朝日]「戦争は本当に最後の手段だった」 官房長官
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福田官房長官は20日午後の会見で、米軍によるイラク攻撃開始について「残念ということに尽きる」と所感を表明した。「戦争か平和かといえば、戦争しない方が良いに決まっている」としながらも「大量破壊兵器を除去して、平和な世界を実現するために実行した」と述べた。
また、「国民世論は戦争よりも平和を支持する声が強かったが」と言う問いに対しては「フセインという独裁者は自国民に対してさえも圧政を加えていた。それを忘れて戦争か平和を語るのは寂しい。戦争は本当に『最後の手段』だった」と政府の判断の正当性を強調した。 (03/20 17:03) |
米英がイラクと開戦した20日、与党3党は「日米同盟重視」の立場から政府支持で足並みを揃えた。自民党の山崎拓幹事長は「(米英の)武力行使が早期に終了し、イラク国民が一日も早く平和で安定した生活を回復することを心から願う」と記者団に語り、イラク攻撃終了後に国連の枠組みで復興支援を行うことを提唱し始めた。保守新党の二階俊博幹事長は「有事関連3法案が早期処理できれば、復興支援新法(の審議)もスムーズに運ぶ。新法の成立に向けて努力したい」と山崎氏にエールを送った。公明党の神崎武法代表は20日、「公明党も政府と同じ立場だ」とイラク攻撃を容認した。
一方、野党はイラク攻撃を「国連の意思を無視した行動」と批判のトーンを上げた。民主党の菅直人代表は20日夕、都内の街頭演説で「国連を無視する米国の一国主義的行動は世界にとって大きなマイナス。日本を米国に言うべきことを言わねばならない」と訴えた。社民党の土井たか子党首は常任幹事会で「戦争が当たり前という風潮をはねのけなければならない」と強調。共産党の志位和夫委員長も街頭演説などで「開戦批判」を展開し、自由党は決議なしの開戦は「マイナスが多い」とする小沢一郎党首の声明を発表した。
[毎日新聞3月20日] ( 2003-03-20-19:10 )