新版/阿波踊り考

 更新日/2022(平成31.5.1栄和改元/栄和4).8.15日

 (吉備太郎のショートメッセージ)
 ここで、「阿波踊り考」をものしておく。「阿波踊りの歴史」、「阿波踊りの魅力」その他参照。

 2016.2.22日 吉備太郎拝


 吉備太郎の阿波踊り考その1  吉備太郎  投稿日:****年**月**日
 徳島の夏を彩る阿波踊り。本番を前にして夕方になると町のあちこちから独特のお囃子の音が聞こえてくる。徳島の人たちには小さい頃から身近に阿波踊りがあり、知らず知らずのうちに体に染みついている。阿波踊りの音色が聞こえて来ると自然に浮き浮きしてくる。

 阿波踊りは踊り手と鳴り物の競演である。共通しているのは、七五七五調二拍子の独特のリズムと、それを伴奏する鳴り物に合わせての踊り、踊りを浮かせるお囃子、掛け言葉である。鳴り物は鐘(鉦鼓、しょうこ)と太鼓と篠笛(しのぶえ)と三味線の和楽器からなる。各楽器がそれぞれの役割を果たしている。大太鼓は腹の底まで響きわたる躍動感で盛り上げる。この音色がどのようにしてできあがつたのかは分からないが、いつ聴いてもテンションが上がる名調子になっている。

 踊り手は連(れん)と呼ばれる踊り手の講集団に属しており、いわば連舞となっている。各連は、年齢、性別、職業等の様々な組み合わせからなり、ご縁で結ばれている。その連仲間が連特有の型を踊る。踊り手は天水とも呼ばれる。阿波踊りに絶対的な正調はない。正調はあるようでない、ないようであるという神様問答に似たものになっている。この合意のもとに各連ごとに趣向をこらし踊り方や演出を作り上げている。その為、連ごとに踊り方が違う。どの連も男踊りと女踊りに分かれて踊りを演出している。数十人もの天水が一糸乱れず鳴り物と息を合わせて揃った型を踊り、表現力、統一感、優雅さ、ダイナミックさなどを競っている。

 連で皆が心を合わせて踊るときに生まれる一体感は至福の楽しさで、自ずと連に対する帰属意識や誇りが生まれて来るようになっている。各員は、その型踊りの中で自分の踊りをパフォーマンスする。天水たちは、連の型を乱さない範囲で思い思いに踊ることが許されている。してみれば、阿波踊りは型に捉われながら且つ自分の踊りを演出する個性を表現する舞台でもある。阿波踊りの楽しさは踊ることそれ自体にあり、天水たちは踊りを通じて祭り特有の解放感(カタルシス)を味わう。自分たちが楽しむばかりではなく、磨き上げられた技術を観客に披露し、喜んで(時には驚いて)もらうことにも楽しみを感じている。観客の視線や反応が自分たちの踊りの励みにもなっている。これらの「競い」が見る側、踊る側の双方に余慶に楽しさをもたらす。阿波踊りを見る者までもが興奮に巻き込まれ、初めての方の中には鳥肌を立たせられる者もいる。私も私のオヤジもそうだった。 


  「阿波よしこの」歌は次の通り。

 エライヤッチャ  エライヤッチャ  ヨイヨイヨイヨイ
 踊る阿呆(あほう)に見る阿呆 同じ阿呆なら踊らな損々…
 ア、ヤットサァー ァ ヤットヤット♪
 ヨイサー ヤットサー
 ヤットサーヤットサー
 ア、ヤットヤット
 ヤットサー、ア、ヤットヤット

 「エライヤッチャ」には、関西弁で言うところの「えらいこっちゃ」みたいな感じの「大変だ」という意味がある。活気づけや、気合いを入れる意味合いがある。同じく関西弁の「どえらいやっちゃ」の感じで「すごいやつだなぁ」という意味もある。転じて「がんばってるなぁ」という意味で、お互いを認め合い励ます言葉としての意味もある。幕末の「ええじゃないか騒動」に由来する「ええじゃないか」を煽る意味も込められていると云う。「大変なことだがへこたれんぞ平気だぞ」と云う意味にもなる。「ヤットサ ァ ヤットヤット」には、「久しぶり、元気だった?」と言う意味が込められている。

 女踊りでよく聞く囃子ことばには次のようなものがある。

 ひょうたんばかりが浮き物か 
 私の心も浮いてきた

 浮いて踊るは阿波踊り
 一かけ二かけ三かけて
 四(し)かけた踊りは止められぬ
 五かけ六かけ七かけて
 八(や)っぱり踊りは止められぬ
 ア、ヤットサー、ア、ヤットヤット

 笹山通れば笹ばかり 
 石山通れば石ばかり

 猪豆喰うて ホーイホイホイ
 新町橋までいかんかコイコイ
 お先のお方におまけなや 
 私しゃ負けるの大嫌い

 わたしゃ負けるの大嫌い 
 負けてお顔が立つものか

 ヤットサー ヤットヤット

 徳島県内の小・中・高校では体育の授業や体育祭などで「阿波おどり」を演目として採用している学校も多数あり、徳島県民の代表的な祭りである。

 阿波踊りは日本のみならず世界に誇る踊りであり、その発祥が阿波の徳島の宝であるところから徳島県民の誇りとなつている。世界ではブラジルのリオのカーニバル、ハワイのフラダンスが名高いが、阿波踊りはそれらに匹敵するどころか遜色ない優るとも劣らない世界最大級のダンスフェスティバル伝統芸能である。芸術的により高い境地を開拓しているとも評されよう。
 阿波踊りを意義づければ、先祖や同胞を敬い、ここまでの命の繋がりを感謝し、これからの命の繋がりを祈念し、老若男女が今現在共に生きている喜びを表現する踊りと云えよう。踊る者と見る者が一体となって共に楽しみ、今年も踊りができる平和を謳歌し、互いの繁栄を願い、徳島市中心街一円を踊りの渦に巻き込み興奮のるつぼと化すところに特徴がある。
 阿波踊りは、徳島城下の町人百姓たちが藩の禁止触れにも拘わらず伝統を守り抜き、時に応じて創造性を加えつつより楽しくより明るいものに仕上げていって今日に至っている。伝統の民衆芸能そのものの踊りです。この踊りには思想があり約束ごともある。但し、他の芸能にありがちな正調規律はない。あるのは阿波踊りの精神、リズム、囃子、鳴り物音曲であり、その土俵上で各連が自由自在自律的に連の踊りを創造し競い合うかのように演舞している姿が認められる。
 「日本三大盆踊り」は、阿波おどり(徳島市)、徹夜踊りで知られる郡上おどり(岐阜県郡上市)、西馬音内盆踊り(秋田県羽後町)。「日本三大流し踊り」は、阿波おどり(徳島市)、郡上おどり(岐阜県郡上市)、黒石よされ(青森県黒石市)。どちらにも阿波踊りが選ばれている。
 江戸時代から庶民に親しまれてきた阿波人形浄瑠璃も徳島の伝統文化である。いまなお徳島各地の神社の境内には、「農村舞台」と呼ばれる浄瑠璃のための舞台が作られており、車も入らないような山奥の神社で見る、木偶人形の踊りと三味線の響き。そしてストーリーに合わせて動くカラクリ舞台は、数百年前から変わらずに人々を楽しませている。

【阿波踊り唄/よしこの囃子】
 <はやし>※適宜挿入される
(ア ヤットサーヤットサー ア ヤットヤット)
(アーラエライヤッチャ エライヤッチャ ヨイヨイヨイヨイ)
○阿波の殿様 蜂須賀公が 今に残せし 阿波踊り(盆踊り)

○阿波の徳島 城下の町は 今も踊りの ぞめき唄

○月の眉山 浮かれて浮いて 様は踊りの 夕化粧

○秋の時雨れに 紅葉を染めて 流れ筏(いかだ)の 吉野川

○踊り踊らば 品よく踊れ 品の良い娘を 嫁にとる

○阿波の徳島 十郎兵衛娘 お鶴いとしや 巡礼歌

○巡礼お鶴の あの菅笠に いとし涙の 雨が降る

○手ぶり足ぶり 七つの海を 越えて見せたい 阿波踊り

○阿波の城山 昔も今も ぞめき踊りの 声がする

○野辺の草木は 刈り取られても 土に思いの 根を残す

○阿波へ阿波へと 流れる潮は やがて鳴門の 渦となる

○風がそよそよ 浮気の風で 滝の山から 花咲かす

○思う汐先 恋路の底へ 深う鳴門の 渦がまく

○阿波はよいとこ 蜂須賀様の お威勢踊に 夜が明ける

○滝の桜と 心の花を 徒に散らさす まぜが吹く

○まぜがそよそよ 浮名の風で 滝の山から 花咲かす

○盆の月夜は 新町川に 今も藍蔵 思い出す

○こうも鳴門で 未練の深み それで渦ほど 気がまわる

○盆に見せたい 編笠姿 誰と踊ろか 宵星に

○顔は見えねど 編笠越しに 主を見初めた 盆踊り

○阿波の踊り子 よしこの囃子 盆の三日を 町々へ

○盆の踊りと 眉山の桜 聞かせやりたい 阿波だより

○歌え歌えと 急き立てられて 歌いかねます ひよこ鳥

○ままよままよと 捨ておく気なら 初手に手出しは せぬがよい

○惚れた惚れぬは 目元で分かる 惚れた目元は 糸柳

○鳥もはらはら 夜もほのぼのと 鐘も鳴ります 寺々に

○越すに越したが 新町橋は 月を隠した 恋の闇
<唄ばやし>
●踊る阿呆に 見る阿呆 同じ阿呆なら 踊らにゃ損々

●新町橋まで行かんか 来い来い

●お先のお方に お負けなよ わたしは負けるの 大嫌い

●大谷通れば石ばかり 笹山通れば笹ばかり 猪豆喰うて ホーイホイホイ

●ひょうたんばかりが浮きものか 私の心も浮いてきた ホーラ浮いた浮いた

【日本舞踊考その1】
 長唄や三味線(しゃみせん)、太鼓の音に合わせて厳かに舞う日本舞踊は、日本の伝統としてまたは日本らしさの象徴として世界に誇れる文化となっている。日本舞踊とは、能、狂言、歌舞伎、文楽と並ぶ日本の伝統芸能のひとつで、歌舞伎舞踊の他、お祝いに踊る「ご祝儀物」、新しく作られた舞踊「新作・創作」、上方の舞踊「上方舞」を含めて呼んでいる。このような日本舞踊の起源を愚考しておく。「日本舞踊の起源」、「日本における盆踊りの変遷をご紹介!人が踊る理由も解説」、「阿波踊りの歴史」その他を参照する。
 現在、日本舞踊には花柳流、藤間流、若柳流、西川流、坂東流、そのほかに尾上流や吾妻流、橘流、市山流、泉流など、多くの流派が存在している。女子禁制の歌舞伎と違い多くの女性たちが活躍している。

【日本舞踊考その2】
 日本における「踊り」には、「民衆踊り」と特殊技能と舞台装置を必要とする「舞」の二種がある。総じて「日本舞踊」と呼ばれている。「邦舞」とも云う。日本舞踊は、大きく分けて「舞い」、「踊り」、「振り」の基本的な動きから成り立っている。「舞い」は歌や音楽に合わせて、すり足や静かな動きで舞台を廻る。「踊り」は軽快な歌や音楽に合わせて、足を踏み鳴らして拍子を取り、動きを演じる。「振り」は舞い踊りのアクセント的動きで仕草を表現する。
 日本舞踊は、盆踊りのようにやぐらを中心にして円になって踊るのが多い。これを輪踊りと云う。阿波踊りは流し踊りと云って、踊り子や鳴り物が隊列を組んでパレードの様に進行方向に向かって横一列に並んで踊る。流し踊りを見るための観客席を桟敷席と云う。他に踊り子が舞台上で踊る舞台踊りがある。

【阿波踊りの流派考】
 阿波踊りは二拍子で、手をあげてお囃子にあわせて踊る。阿波おどりの大きな特徴は振付けがないことで、手をあげて鳴り物(お囃子)に合わせて踊れば阿波おどりになる。

 比較的自由度の高い踊りだが踊り方は大きく3つに分類できる。これを流派と云い「阿波踊り三大主流」と呼ぶ。それぞれ「のんき調」、「娯茶平調」、「阿呆調」(ごぢゃへいちょう)に分けられる。各連の踊りは三大主流のいずれかにあてはまるとされている。ここで各流派の違いについて確認しておく。「阿波踊り三大主流」は次の通り。四番目として「苔作調」も加えておく。
のんき調  老舗連「のんき連」から生まれた。「のんき調」の男踊りは、背筋を伸ばして、腰を曲げず膝を深く曲げることで腰を落としてぶらさず、つま先を立てて、大地を刻むような足運びする。上半身は自由に、明るく踊る。キレのある手さばきとリズムの中に個人の個性を織り込んで表現する踊りが特徴。女踊りは、スローテンポを基調とし、優しく女性らしい足運び、そして優雅に舞う上半身と、しなやかにのびる指先で踊る。三大主流の中では最も朗らかな雰囲気を持つのが特徴。
 のんき調の流れを汲むと考えられる連は、無双連、うずき連、新のんき連ほか。
娯茶平調  「ごぢゃへい」と読む。有名連「娯茶平」から生まれた。「オール前川娯茶平倶楽部」という名で活動しており、その時に指導に当たったのが有名な林鼓浪さん。寶船連長の曾祖父である市川寿三郎とも深い親交があった方で、寶船と娯茶平が歴史の中でつながっている。「娯茶平調」は、ゆったりとした正調のお囃子に合わせたスローダンスな動きが特徴。男踊りは地を這うように腰を低く落とし前傾姿勢、体を低く低く下げ、スローテンポなよしこの節に合わせ、ゆっくりタメの利いた渋い踊りが特徴。漁師の投網を表現すると云われる団扇さばきが有名で、すり足で歩みを進めていく。優美な女性による男踊り(女法被と呼ばれる)もある。
 娯茶平調の流れを汲むと考えられる連は、さゝ連、藝茶楽ほか。阿波踊りの神様として有名な四宮生重郎さんも、元々は娯茶平の連長。
阿呆調  有名連「阿呆連」から生まれた。「阿呆調」は、三大主流の中でも特に豪快に激しく踊ることが特徴で「暴れ踊り」とも呼ばれる。男踊りは前傾姿勢でリズミカルに動く。手には提灯を持つことが多く、その見事な手さばき、後ろ足をガンガン蹴り上げ、時に跳ねるように跳ぶところに特徴がある。手拭いで盗人被り(鉄火とも呼ぶ)をすることもある。凧をイメージした奴踊りや、男と女がぶつかる「団子」の流し踊りも有名。
 阿呆調の系譜と考えられるのは、殿様連、まんじ連ほか。
苔作調  徳島の連「苔作」から生まれた「苔作調」がある。鳴り物が大太鼓や締太鼓(しめだいこ)、鉦(かね)などの打楽器のみで編成されていることが特徴で、踊りや衣装はロック調、ストリート系などの独特なテイストのドカドカ系で、若者を中心に支持を集めている。
 苔作調の系譜と考えられるのは、徳島では大黒天連、双六連、七彩連ほか。

 さらに、従来の「跳ねるリズム(2拍子、浮き拍子)」だけでなくエイトビートを叩く鳴り物の連も登場するなど、多様化への道も進んでいく。

【阿波踊りの「男踊り」と「女踊り」】
 阿波踊りには豪快な「男踊り」と艶やかな「女踊り」の違いがある。これに、法被を着て元気よく踊る子ども踊りを踊る場合もある。
男踊り  半天(法被、はっぴ)を尻からげに着て踊る半天踊りと、男物の浴衣姿で踊る浴衣踊りがあり、いずれも頬かむりや鉢巻で足袋を履いて踊る。女踊りに比べて自由に大きく踊るダイナミックな動きが特徴となる。但し踊りの所作の振りは大小さまざまである。時には勇猛、時には滑稽ひょうきんに躍る。基本的には素手で踊るが団扇や提灯を持って踊ることもある。腰に瓢箪をつって踊る場合もある。この男踊りを女性の踊り手や少女が踊る場合もある。
女踊り  女物の浴衣を着て編み笠を深く被り、草履ではなく下駄を履いて踊り、どの踊り子も可愛らしい。その集団美に魅せられる。一般の浴衣と異なり、じゅばん、裾除け、手甲を付け黒繻子の半幅帯をお太鼓のように結ぶ。浴衣の柄は、コントラストの効いた踊り映えのする大柄なデザインが特徴。すり足で前進し、艶っぽく、優雅上品しなやかに踊るのが良いとされる。現在の女踊りは昔に比べて腕を高く上げるのが特徴。女踊りの動きが揃っている様子は集団美芸術そのもの。両手の動きのタイミング、腕を伸ばす角度、足を上げる高さなど完成度の高い踊りが見る者を圧倒する。
子ども踊り  連に子どもが所属している場合は、法被を着て元気よく子ども踊りを踊る。

【阿波踊りの演舞の種類
 阿波踊りは踊る場所や環境によって、様々な演舞の形がある。ここで演舞の種類を確認しておく。
流し踊り  大人数で隊列を組み、商店街や通りなどを練り歩くスタイルの踊りを云う。観客の目の前を踊り歩き、手を伸ばせば踊り手に手が届くくらい近い距離で踊るので観客との一体感や臨場感を生むのが特徴である。この流れで、「踊るアホウに見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃソンソン」の盛り上がりに繋がることになる。
舞台踊り  屋外や屋内のステージ上で踊る舞台踊りを云う。作り込まれた演出がされていることが多く見ごたえがあり、観客がじっくりと踊りを見て堪能することになる。
組踊り  舞台以外で踊るスペースを確保された所での踊るを云う。舞台踊りと同じように、凝ったフォーメーションや演技を行う。会場によっては踊り手を身近で見ることができ、舞台踊りよりも気軽に楽しむことができる。
輪踊り  公園や歩行者天国となった路上などで自然発生的に踊りが繰り広げられ、観客も一緒になって踊る踊りを云う。人が円になって集まる形から輪踊りと呼ばれている。流し踊りや舞台踊りと比べて、少人数で自由に踊ることができる。

【阿波踊りの楽器「鳴り物」】
 阿波踊りは特有の二拍子リズムで踊る。テンポは、早い連、遅い連と様々である。これらが連の個性を演出する重要な要素となっている。

 阿波踊りに用いられる楽器は「鳴り物」と総称される。阿波踊りは、踊り手と鳴り物の二重演舞になっている。 阿鳴り物は、踊り子の引き立て役として阿波おどりに欠かせない存在である。演舞場を通り抜ける際は、踊り子の後方にポジションをとる。基本的には以下の6つの楽器とその演奏者で構成される。
かね 音色  撞木(しゅもく:鉦を鳴らす棒)を用いてチリンチリン、カカンカンカの鋭く高く響く音を鳴らして演舞のリズムをリードする。演舞の踊り始めの時や、テンポアップする際の合図などを行い指揮者の役目を果たす。連では連長など阿波踊り熟練者が担当することが多い重要なポジションである。
ふえ 音色  メロディ楽器で主旋律を奏でる。日本の伝統的な横笛で篠竹で作られた「篠笛」が多く用いられる。情緒を感じる旋律を奏で、澄んだ音が特徴の楽器。合同演奏用に基本となるメロディのぞめき囃子があるが、メロディは連によって微妙に異なる。高い音を出すまでの難易度が高く、演奏者が減りつつある。
三味線 しゃみせん リズム  笛と対のメロディ楽器で、歯切れの良い音を奏でる。笛の調子に合わせて調律され、鳴り物の中では最前列で演奏される。
大太鼓 おおだいこ 響き  「ドンドン」と響く大きな豪快な音が特徴で、阿波踊りの躍動感やダイナミックさを演出する阿波踊り盛り上げの役割を担っている。重低音が踊り子や観客を高揚させる。重量は約10kg。鳴り物の中で最も大きな楽器で、お腹の前あたりで叩くことができるように、通常背中を通す紐がついている。大太鼓の音を十分に鳴らすためには、ある程度の筋力が必要となる。締太鼓と大太鼓は基本的に平胴太鼓と呼ばれる和太鼓を用いるのが一般的。連のスタイルにより洋太鼓を使用する場合もある。
締太鼓 しめだいこ 響き  大太鼓と比べて小ぶりな太鼓で、大太鼓よりも軽快な音を奏でる。太ももの付け根の下あたりで叩くことができるように、首から吊り下げられるよう固定されている。締め具合で調律できる太鼓であることから、笛や三味線の調子に合わせ、三味線の二弦または三弦(三下がり)の音に合わせて締めるのが基本になっている。大太鼓と揃って演奏されることが多い。
つづみ 音色  お囃子のアクセントとなる音色を奏でる楽器。張り扇で叩く大鼓と、手で叩く小鼓があり、それぞれ音色が異なる。ぞめき囃子の曲に合わせた鼓の「合いの手」を入れることで演奏を引き締める効果がある。裏打ちと表打ちを使い分ける演奏などから難易度が高いとされる。

【阿波おどり演舞場】
 8月12日から15日までの4日間、「徳島市阿波おどり」が開催される。阿波踊りを観る場所はおもに、演舞場と「おどりロード・おどり広場」の2つ。いずれの場所も、開催期間中は多くの観客が集まる。それぞれの特徴を紹介しよう。

・演舞場
 踊り子が踊り歩く道の両端に、ひな壇状の観覧席が設けられている会場。市内には4つの有料演舞場と、2つの無料演舞場がある。いずれの演舞場も18時から。開演し、22時半に終了となる。有料演舞場は特別席と指定席、自由席に分けてチケットが販売されている。演舞場には有名連が多く出場するため、特に見晴らしのいい席が人気だ。

 有料館内会場演舞場
アスティとくしま 11日前夜祭 一日3回公演
12日~15日 11:00~、14:00~の2回公演
あわぎんホール 12日~15日 一日3回公演
阿波おどり会館 12日~15日 11:00~、13:00~、15:00~の2回公演

 有料戸外会場演舞場
演舞場 全長 収容能力
市役所前演舞場 110m 6,000人
藍場浜演舞場 122m 8,000人
紺屋町演舞場 104m 4,500人
南内町演舞場 118m 5,000人

無料演舞場
両国本町演舞場
新町橋演舞場  
元町おどり広場  
徳島市役所前市民広場 市役所入り口前
新町橋東おどり広場  
両国橋南おどり広場 公園内の舞台
両国橋南詰おどりロード  
よんでんおどり広場

 にわか連集合会場演舞場
元町おどり広場 18:30~、20:30~
徳島市役所前市民広場 18:30~、20:30~ 市役所入り口前

【「世界阿波おどりサミット」開催、「世界阿波おどり宣言」採択】
 2019(令和元)年11月02日、国内外から阿波おどりに取り組む人々が集い、踊る意義を語り合う「世界阿波おどりサミット」が徳島市のアスティとくしまで初開催された。徳島県と県観光協会が主催。国内の阿波おどり開催地の団体に加え、欧米やブラジル、台湾からも踊り手らが参加した。シンポジウムでは11団体の代表者が各自の取り組みを紹介。阿波おどりが世界中に広まっていることを報告した。

 米ニューヨークから来た西谷尚武さんは、現地に徳島県人会があるのに踊りのグループ(連)がないことを疑問に思い、昨年連を発足。連長に就任した。現在は約45人が所属。「夢は5番街で練り踊ること」と笑顔で語った。。
 世界阿波おどり宣言の採択について」参照。
 「世界阿波おどり宣言」は、各阿波おどり団体の代表者の皆様が集い、「阿波おどり」の理念や未来のあり方について話し合い、共通認識を持つことができた内容を、将来に引き継ぐ指針として取りまとめたもの。当日、阿波おどり「ちびっ子」たちがら「世界阿波おどり宣言」を読み上げき、会場において採択された。
 世界阿波おどり宣言(宣言全文)は次の通り。
 400年以上の歴史を誇る「阿波おどり」は、最高のワクワク感・ドキドキ感を与えてくれる伝統芸能、「世界に誇る徳島の宝」。徳島から全国各地へ、また国境を越え、世界に拡がり、「平和の象徴」として、国籍や人種、宗教や言語などを超え、「よしこののリズム」が人を笑顔にしています。 私たちは、これからも手を携え、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃそんそん」の言葉どおり、「誰もが参加できる」阿波おどりの魅力を世界に伝え、「おもてなしの心」を繋ぎながら、おどりの輪をさらに広げ、「阿波おどり」を「世界の宝」に育ててまいります。
 令和元年11月2日

【阿波おどり会館】
 徳島市にある「阿波おどり会館」はJR徳島駅から徒歩10分。徳島が誇る伝統芸能・阿波おどりの魅力を発信することを目的とした施設。5階建てのビルの中には、阿波おどりにまつわる多彩なフロアが揃っており、なかでも人気なのが阿波おどりの公演を行う「阿波おどりホール」。1階には、鳴門わかめや、なると金時、すだちなど徳島県全域の名産品や、藍染めや阿波和紙などの伝統工芸の商品を販売する徳島県物産観光交流プラザ「あるでよ徳島」が入っている。編笠や下駄、印籠などの阿波おどり関連グッズも品揃え豊富。

 徳島県徳島市新町橋2丁目20番地
 TEL.088-611-1611 
 FAX.088-611-1612  




(私論.私見)