郵政造反組復党問題考

 (最新見直し2006.11.23日)

【復党誓約書】
 2,006.11.28付産経新聞朝刊3面が「復党誓約書」の文言をスクープした。これを転載する。(*注 細部の文言は議員によって異なる)
 このたび、復党を願い出るにあたり、党則第92条および党規律規約第9章1項の規定により平成17年10月28日付で「離党勧告」処分の対象になった行為については遺憾であり、重大な責任を認識しております。今後は広く国民の理解を得られるよう真摯な取り組みをして参ります。
 次のことを、自由民主党及び有権者に対し誓約いたします。
 党則を順守し、党員としての義務を忠実に履行するとともに、国民の奉仕者として党活動に尽力すること。
 安倍晋三首相の所信表明を全面支持するとともに、国民に約束し国会で成立した郵政民営化を含む第44回衆院総選挙の政権公約2005の実現にまい進し、国民の真の期待に応えるべく努力すること。
前項の誓約に違反した場合は政治家としての良心に基づき議員を辞職いたします。 本誓約書が公表されても異議ありません。

(私論.私見)

 「復党誓約書」の無いように大きな問題がある。誓約事項の1項、2項はまだしも、3項の「前項違背の場合には議員辞職」を要件としていることは、普通選挙代議員制の趣旨からして違憲の恐れがある。「前項違背の場合には再除名」を要件とするのならまだしも、議員辞職という生殺与奪まで握られることは如何。

 2006.11.29日 れんだいこ拝


Re:れんだいこのカンテラ時評235 れんだいこ 2006/11/26
 【自民党造反派の復党問題に寄せて、日共よ正気かよ】

 「自民党の造反議員復党問題お家騒動」が大詰めを迎えている。中川幹事長が迫る踏み絵方式に造反組筆頭の平沼元通産相が膝を屈するのかどうかに注目が集まっている。これに対して、ネット検索する限り日共を除く他党はコメントを控えている。これは、控えているのか、論評する能力を持たない故なのかのどちらであろうか。れんだいこは後者と見る。

 
そうした中で、日共は、2006.11.24日付の赤旗で、「狙いは“票と金”ご都合主義に国民も「あきれる」自民 郵政「造反組」の復党急ぐ」(ttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-11-24/2006112402_06_0.html)なる見出しで論評している。論評しないその他党派よりは公党の政治責任としてはマシであろう。が、論評内容が酷いとすれば如何せんか。例によって無署名記事であり、執筆責任者は分からないようにしてある。毎度のことながら姑息である。

 さて、日共は、如何なるスタンスでこの問題を採りあげているのだろうか。何と、「無節操あらわ」の小見出しで、「一年余りで手のひらを返すように復党させる―自民党の無節操ぶりがあらわになっています」と述べている。商業新聞や世論調査の声を紹介してこの見解を補強している。

 れんだいこのアンテナが作動するのでこれに言及する。まず、他党内事情干渉問題について確認しておきたい。日共は、自民党の党内事情に対して明らかに見解表明しているが、こうなると逆の場合にも是認されるべきであろう。党中央は今後、日共党内問題に対して他党が見解表明することを是認するのかどうか明らかにせよ。

 この質疑は、事情を知らない者には意味が解せ無いだろうが、事情通には重要な問いかけである。なぜなら、れんだいこの知る限り、手前は云う権利はあるが相手には認めないというのが宮顕系日共党中央の作法であるからである。宮顕系日共党中央は、かのリンチ事件でも、日中出版の出版差し止め事件でも「これは党内問題である。党中央が党員を例えば煮て食おうが焼いて食おうが、それは結社の自由である。他党が口を挟む問題ではない云々」として他党が容喙することを厳しく批判してきた経緯がある。

 次に論評内容の検討に入る。何たることか、郵政民営化法案に共に反対した造反議員に利するようコメントするのではなく、復党させるのは無節操として、受け入れようとする自民党執行部を批判している。一体、どういう神経をしているのであろうか。日共のこの見解も新たな腐敗妄言として刻まれるであろう。党内はこの論評に対しても同調するのであろうが、宮顕系党中央の50年余の洗脳で、ほぼ完全に脳死せしめられていることが分かる。

 日共見解の質が酷すぎよう。なるほど、造反議員は、党中央の民主集中制方針に反対し自由、自主、自律的に行動し、郵政民営化法案に反対した。そのせいで除名され、選挙区に刺客を送り込まれ酷い目にあった。宮顕式党内統制手法にすれば、至極当り前のことではあろう。しかしなぁ、政治運動的には、自民党造反議員は、郵政民営化法案反対という一点に於いては共同戦線的に同陣営の者たちではないのか。そういう連中を見る目線は温かく無くてはならない。これが正常な見識であろう。

 日共党中央は公然と逆裁定している。「造反議員復党問題」は来年夏の参院対策であり、政党助成金増額狙いであり、党利党略だとして批判している。しかしなぁ、そういうスタンスでの自民党執行部批判は明らかに片手落ちであろう。自民党造反議員の野ざらしを勧めるような見解を出すことがより酷いとは思わないのか。日共党中央は妙な見解を出すことで墓穴を掘っている。

 思えば、民主集中原則を振り回しての小泉の踏み絵手法といい、直ちに除名宣告といい、刺客送り込みといい、議院での席次イジメといい、宮顕ー不破式党内運営そのものである。端的に云えば、「大人気ない排除の論理の強権行使」であった。目下の復党に当っての白旗降参式踏み絵強要も然りであろう。党内運営に関する限り、小泉及び安倍政権はますます日共のマネをしてきている感がある。最近露呈しつつあるヤラセ質疑も、宮顕式党内論議のやり口そのものである。

 そういえば、日共は、党の憲法とも云える規約の改悪に着手し、強権的にやり終えた。その手法は、憲法改正はこういう風にやるんだと先例を示したことにもなろう。その日共が憲法改悪反対を唱えても、どこまで本気なのか分かったものではなかろう。どうせ口先だけで、裏では通じているのだろう。そう考えるべきだ。

 ちなみに、日共は、党規約の改定史を一切秘匿している。れんだいこも詳細が分からない。判明することは、まさに改悪に改悪を重ねてきているということである。監査なども酷いもので、わざわざ監査を受ける側が監査するというご法度の方式に改悪してきている。党内をそのようにしておきながら、世間に向っては政府自民党のやり方はケシカラン、民主主義を護れ云々と正義の批判をしているが、れんだいこには信じられない感性である。

 もとへ。自民党がそのように日共化しつつあることを踏まえ、我々は、戦後ルネサンスの再生運動に乗り出すべきではなかろうか。この座標では、面白いことに、政府自民党タカ派系と日共が共に統制式強権派なので、そして共にシオニスタンなので体制派になる。民主党の鳩山ー前原グループ、公明党がこれに列なる。

 我々は、党内反対派の棲息は当り前という組織論の下に党中央の指導性を認める運動を創出しよう。そういう党派が共同戦線運動目指せばよい。これこそ真性の左派運動である。れんだいこ命名では在地型社会主義運動となる。

 最新のヨーロッパでは、日本のマスコミでは新右翼運動と報道されているが、統制式左派運動を毛嫌いしている点で既成の左派運動ではないが、民族と国家の将来は自分たちで考え遣り繰りするという至極真っ当な運動を切り開きつつあり、れんだいこの目から見れば、在地型新社会主義運動と映る。こうなると、概念を緻密にしないとややこしくなろう。結論として、公認党派の指導部は篭絡されてしまっている故に、我々の手作りの運動を東西で創出せよ、ということになる。早くこの一致点が共有できんことを願う。

 2006.11.26日 れんだいこ
2006年11月24日(金)「しんぶん赤旗」
 狙いは“票と金”
 ご都合主義に国民も「あきれる」
 自民 郵政「造反組」の復党急ぐ

 自民党は郵政民営化「造反組」の復党に向けた動きを本格化させています。

 同党は二十一日、党本部で党紀委員会の懇談会を開き、郵政民営化「造反組」の復党について非公式に協議しました。翌二十二日には、中川秀直幹事長が「造反組」の窓口役の平沼赳夫元経済産業相と会談しました。中川幹事長ら執行部は月内を期限に復党申請を受け付けた上で、党紀委員会での審査など具体的な手続きに入る方針です。

 昨年九月の総選挙で小泉前首相は、“郵政民営化は改革の本丸”“郵政民営化の是非を問う選挙にしたい”と叫び、自民党はこれを唯一・最大の争点として押しだしました。郵政民営化に反対した議員は公認せず、「刺客」までたてて、民営化反対議員つぶしを“演出”しました。

無節操あらわ

 それを、一年余りで手のひらを返すように復党させる―自民党の無節操ぶりがあらわになっています。「いくら党内事情とはいえ、国民をこれほどバカにしたご都合主義にはあきれ果ててしまう」(「朝日」十六日付「声」欄)など、国民の批判は強いものがあります。JNNの世論調査(十一、十二日実施)では復党に賛成31%に対し、反対は55%と大きく上回っています。

参院選有利に

 復党話の最大の動機は来年の参院選挙です。自民党の青木幹雄参院議員会長は、与党が過半数割れすれば「法案が通らず、安倍内閣も自民党も完全に死に体だ。衆院を解散して民意を問えということになる」(十二日)と危機感を抱いています。

 当面の復党対象者は、十二人の現職無所属議員。「刺客」を送りこまれても勝ちぬいた、これらの議員は後援会組織など支持基盤も強く、自民党にとっては、参院選勝利へどうしても支援=票が欲しいというわけです。

 同時に、金の問題もあります。年内に復党させれば十二人分の政党助成金として二億数千万円を自民党が手にすることができます。

 まったくの党利党略に、党内には国民の理解が得られないと懸念する声もありますが、首相周辺は「早期に復党を決めて有権者に説明した方が得策だと判断」(「朝日」十日付)したと報じられています。“早めに処理しておけば、参院選のころには有権者も忘れているだろう”という下心が透けて見えます。

2006年11月28日(火)「しんぶん赤旗」
 
政党の倫理問われる 自民党復党問題で市田氏

写真

(写真)記者会見する市田忠義書記局長=27日、国会内

 日本共産党の市田忠義書記局長は二十七日、国会内で記者会見し、郵政民営化に反対して自民党を離党した無所属議員の復党問題について記者団に問われ、「自民党内の話だから、私からとやかくいう性格の問題ではない」とのべた上で、「国民からみれば、参院選で勝つためなら、“なんでもあり”の党だと思う人もかなりいるだろう」とのべました。

 市田氏は、「昨年の衆院選で自民党は、郵政民営化の是非を最大の争点に掲げ、有権者は公約をみて投票した。その投票行動を自民党としてどう尊重するかという意味では、政党にとっての倫理とはなにかが問われる」とのべました。

 「防衛省」法案徹底的審議を

 また、市田氏は、「防衛省」法案をめぐり、民主党が条件付き賛成の方向で党内の意見集約をめざすとしている点と、国会内での野党間の連携との関係を記者団に問われ、「国会内での野党間の連携とは、一致点で力を合わせるということだ。防衛庁の省“昇格”問題で、民主党は別の考えをもつと伝えられているが、そういう場合に一致して行動できないのは当然だ。この問題で、もともと野党間の協力関係があったわけではない」とのべました。

 市田氏は、「防衛省」法案について、「自衛隊の海外での行動を本来任務に“格上げ”する法案であり、日本防衛が中心的な任務だといってきた従来の政府の見解をも超えるものだ」と指摘。「安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を可能にする方向で検討するといっていることと軌を一にした危険な内容だ。日本共産党は、あくまで反対する。徹底的な審議を行うべきだ」とのべました。

2006年11月29日(水)「しんぶん赤旗」

 「郵政選挙」は何だったのか 自民党 「復党」問題 国民よりカネと票


 安倍晋三首相は、郵政民営化「造反組」の衆院議員十一人について二十七日、復党を認めました。「郵政選挙」と銘打って、民営化の是非を唯一の争点として押し出して大勝した自民党が、わずか一年余で民営化反対の票までのみ込んだ形です。「政党にとっての倫理とはなにか」(日本共産党の市田忠義書記局長)が問われています。


 有権者だましだった

 二十八日付の各紙は、十一人の復党了承を「昨年の選挙の意義を根本から覆すことになりかねない」(「日経」)、「郵政解散すら有権者向けに演出した芝居だったと言われかねない」(「毎日」)と批判しています。

 それもそのはず。昨年の総選挙で、自民党は「郵政解散」「郵政選挙」と称し、衆院本会議で反対票を投じた議員は公認せず、対立候補まで送りこみました。それを「刺客」と称し、当時の小泉首相を先頭にした「劇場型選挙」で二百九十六議席を得ました。今度の“復党劇”はこの議席が国民だましによるものだったことを示しています。

 小泉首相は「自民党公認候補すべて郵政民営化賛成だ」とアピール。首相の「偉大なるイエスマン」を自称した武部勤幹事長(当時)は「刺客」候補の応援に奔走し、「なぜ郵政民営化が改革の本丸か、明確に訴えることのできる候補者を選ばなければならない」と訴えました。

 当時、武部氏は「造反組」に対し、「国民からみれば、公約っていったいなんだろうと、それが国民の大きな不信になっている」と非難していました。これはそっくりそのまま今の自民党にはねかえってきます。

 来年の参院選目当て

 民営化「反対」議員の復党は、来年の参院選をにらんだ「票とカネ」が狙いです。

 復党した十一人のうち八人までもが、自民党が最重点とする参院選での「一人区」と選挙区が重なります。しかも、復党議員は「刺客」を送りこまれてもなお、小選挙区で勝ちぬくなど固い支持基盤をもっているとされ、自民党としてのどから手がでるほど協力がほしいのです。

 また、十一人が復党することで、自民党への政党助成金が二億五千万円も増えることが明らかになっています。

 「選挙に有利なら理屈はいかようにもつく。なんとも旧来型の自民党らしい決着」(「朝日」二十八日付社説)です。

 昨年の総選挙で、小泉首相は「民営化賛成でなければ公認しないと、自民党は大きく変わった」(昨年八月二十日、神戸市内)とアピール。「古い自民党とたもとを分かった」(武部幹事長)とも訴えていました。これも国民をあざむくための方便だったといわれても仕方ありません。

 問われる首相の責任

 安倍首相は、内閣支持率の低下などを受け、「決して古い自民党に戻ることはない」と弁明に必死です。しかし、昨年の総選挙では幹事長代理として「争点は郵政民営化に賛成か反対かだ」と叫び、「造反組」非公認を「改革の覚悟」を示すものだと強調していました。その「造反組」議員の復党をあっさり認めたのは有権者への背信そのものです。復党にいたる対応を中川秀直幹事長に丸投げしたことで、党総裁としての指導力も問われています。

 国民は「参院選で勝つためなら、“なんでもあり”の党だ」(市田氏)ということを見抜いています。だからこそ、各種世論調査で、復党反対が六割を占め、内閣支持率も「毎日」14ポイント減、「日経」9ポイント減と軒なみ低下しているのです。(藤田健)


 昨年の総選挙で自民党は郵政民営化をどう訴えたか

 小泉純一郎首相(当時)

 自民党は変わった。変わりつつあるんです。…今度ははじめて自民党として「郵政民営化」賛成の候補者しか出していない。(2005年9月4日、東京都内)

 今回私はあえて自民党の支持基盤を壊してでも国民全体のことを考えればこれは避けられない改革だということで、自民党公認候補者すべて郵政民営化賛成だという人たちしか公認していない。(同8月30日、NHKインタビュー)

 民営化賛成でなければ公認しないと(自民党は)大きく変わった。…郵政民営化賛成の方、どうか自民党を支援いただきたい。(同8月20日、神戸市内)

 安倍晋三幹事長代理(当時)

 選挙の争点は明確だ。郵政民営化に賛成か反対か、民営化が代表する構造改革を前に進めるのか止めてしまうのかだ。(同9月5日、神戸市内)

 官から民へ大きな流れを作るためには、覚悟、決意を示さなければならない。長い間、自民党を支持していただいた郵政関連団体の支援を得られない。(それでも)改革をしなければならない私たちの断固たる決意を示したい。(同8月27日、名古屋市内)


 安倍首相の「同志」 ゾロゾロ

 復党願を出した衆院議員には、安倍首相と政治行動をともにしてきた「同志」や「靖国」派がぞろぞろといます。(表参照)

 古屋圭司議員は、右翼改憲団体・日本会議と連携して教育基本法改悪を推進してきた「教育基本法改正促進委員会」の副委員長、古川禎久議員も同委員会の事務局次長を務めています。

 また、保利耕輔議員は昨年の総選挙まで、教基法改悪法案のとりまとめをしてきた「与党教育基本法改正検討会」の座長を務めてきました。

表
2006年11月29日(水)「しんぶん赤旗」

 穀田議員、『週刊新潮』を告訴

 日本共産党の穀田恵二国対委員長は二十八日、同氏を誹謗(ひぼう)・中傷した『週刊新潮』十一月九日号の記事について、同誌編集長と記事作成者および事実無根の情報を提供した「早川幸男」ら三人を、名誉棄損罪で、東京地検に告訴し、被告人らを厳重に処罰するよう求めました。





(私論.私見)